2025年、駆け込み保険の解約返戻金ピークに備える法人の節税対策とは?


2019年に実施された生命保険の税務取り扱い改正により、多くの法人が「駆け込み」で保険契約を締結しました。
あれから数年が経過し、2025年には多くの契約で解約返戻金がピークを迎えると予測されています。
その返戻金、どう活用するべきか、そしてどのような対策があるのか。
今回は、法人経営者や役員の皆さまが今こそ考えておくべきポイントをご紹介します。
目次
1. なぜ2025年が「解約返戻金の山」なのか
2. 解約返戻金を受け取るリスクと課税の注意点
3. 今からできる3つの具体的な対策
4. 専門家と一緒に考える重要性
5. よくある質問(FAQ)
1. なぜ2025年が「解約返戻金の山」なのか
2019年、生命保険に関する税制が改正され、「節税商品」としての法人契約保険が大きく制限されました。
これを受け、制度変更直前に多くの法人が慌てて保険に加入。
その結果、5年や6年といった返戻率のピークを迎える期間が2025年前後に集中しています。
特に全損・一部損金型の逓増定期保険などは、解約返戻金が一気に上がるタイミングがあり、対応を誤ると課税インパクトが甚大です。
2. 解約返戻金を受け取るリスクと課税の注意点
返戻金を受け取る=利益が出る、という構造になります。
当然、その分に対して法人税等が課税され、せっかくの繰り延べ効果が台無しになるケースもあります。
特に、
- 業績が好調で他にも利益が出ている
- 他の資産と重なり一気に課税対象が増える
- 解約のタイミングを読まずに満期を迎えてしまう
といった状況にある法人は、特に注意が必要です。
3. 今からできる3つの具体的な対策
① 解約時期の分散
契約を複数本に分けている場合、それぞれの解約時期をズラすことで、単年での利益圧縮を防げます。
② 他の損金算入対策との併用
たとえば、固定資産の購入、社屋の改修、退職金の準備など、他の損金項目と組み合わせることでトータルの節税効果を高められます。
③ 事前に含み益を把握したうえで中途解約も検討
ピーク前の返戻率であっても、トータルで見れば損をせず、税負担を分散させることが可能なケースもあります。
4. 専門家と一緒に考える重要性
保険は「契約したら終わり」ではありません。
特に法人契約の生命保険は、税務・会計・キャッシュフロー・経営戦略すべてと関係します。
そのため、今のうちに税理士・保険代理店・経営コンサルタントなどと連携し、事前の分析と方針決定が欠かせません。
5. よくある質問(FAQ)
Q1. 解約せずに契約を継続する選択肢もありますか?
はい。
解約返戻金のピーク後に返戻率が下がる契約もありますが、保障内容や保険料負担とのバランスで判断が必要です。
Q2. 解約返戻金を退職金の支払いに充てることは可能ですか?
可能です。
退職金の支出は損金となり、返戻金による益金との相殺が可能です。
ただし、社内規程と整合性をとる必要があります。
まとめ
2019年の税制改正前に駆け込みで契約された法人保険は、2025年に解約返戻金がピークを迎えることで、節税どころか課税強化になりかねません。
今からでも遅くありません。契約内容を整理し、利益圧縮の対策や他の損金とのバランスを図ることで、効果的な税務対応が可能になります。
まずは「自社の保険はどうなっているか」を確認し、専門家とともに最善策を検討しましょう。