従業員50人未満でも義務対象に:2025年改正「労働施策総合推進法」とカスハラ対策

2025年6月4日、労働施策総合推進法が改正され、従業員を雇用しているすべての事業者に対し、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務化されました。
これにより、従業員50人未満の個人事業主や小規模企業も対象になります。
「小規模だから関係ない」は通用しません。
本記事では、現状の対策の傾向を踏まえたうえで、負担の少ない現実的な対応方法を解説します。

目次

法改正の要点と小規模事業者への影響

改正労働施策総合推進法では、「全ての事業主」に対し、職場におけるハラスメント防止措置を講じることが義務とされました。
従来は大企業中心だった行政の指導対象が、中小・小規模事業者にも拡大。
形式的な対策だけでなく、「就業環境の改善」が求められます。

現場で見られるカスハラ事例

小規模事業所では、以下のような事例が報告されています:

  • レジや窓口での長時間のクレーム対応
  • 電話口での繰り返しの怒号や人格否定
  • 取引先からの一方的な納期変更や無理な依頼

これらのケースでは、従業員の精神的な負担が大きく、離職やモチベーション低下の原因になります。

50人未満の事業者における現実的な対策

  • 「簡易的な方針」の掲示:「不当な言動には対応しない」という方針を紙1枚で提示するだけでも抑止力になります。
  • 共有ノートやチャットでの記録:従業員同士で「今日こんな対応があった」と記録を残すことで、対応の統一化や証拠保全が可能です。
  • 責任者1人の相談対応:専門部署がなくても、相談先を「経営者または〇〇さん」と決めておくだけで十分な一歩です。
  • 厚労省の無料資料を活用:あかるい職場応援団などの資料を印刷・配布するのも有効です。

対応を怠った場合のリスクと注意点

以下のようなリスクが考えられます:

  • 被害者による労基署や労働局への通報
  • 行政からの是正勧告や調査
  • 口コミサイトやSNSでの reputational damage

義務違反に対して罰則はないものの、社会的信用や雇用維持に大きな影響を与えかねません。

まとめ:まずは小さく始めるカスハラ対策

2025年の法改正により、規模にかかわらず、すべての雇用主にカスハラ対策が求められています。
従業員50人未満の事業者にとっても、難しく考えすぎず、「何か一つからでも始める」ことが重要です。
大切なのは、従業員の安心を守る姿勢です。

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