Day1で全体像を掴んだら、Day2は実装です。
以下のステップで、未対応から“運用できる”状態まで一気に進めます。


目次(トピッククラスタ)

  • ステップ0:ギャップ診断(現行制度×必要要件)
  • ステップ1:選択措置の決定(職種別ポートフォリオと意見聴取)
  • ステップ2:個別周知・意向確認の運用設計(様式・フロー・記録)
  • ステップ3:就業規則・社内規程・労使協定の整備
  • ステップ4:勤怠・人事システム改修(時間単位取得、月10日集計)
  • ステップ5:ライン長研修(抑制行為のNG集/面談スキル)
  • ステップ6:モニタリングKPIと助成金の活用
  • 【付録】文例・テンプレート

ステップ0:ギャップ診断

現行→改正後に必要な要件を洗い出します。


  • 対象者定義(年齢帯/育児段階)
  • 選択措置(2つ以上)の有無・中身(回数/単位/対象職種)
  • 個別周知・意向確認の運用(対象・時期・方法)
  • 記録・保管(監査/労基署対応)

クイックチェック(Yes/No)

  • 月10日テレワークの仕組み(勤怠・申請・費用負担)は整っているか?
  • 年10日の養育両立支援休暇は、時間単位で申請できるか?
  • 1日6時間の短時間勤務の設定・賃金設計・評価制度は整合しているか?
  • 1歳11か月〜2歳11か月の間に、対象者へ個別周知・意向確認を確実に実施できるか?

ステップ1:選択措置の決定(職種別ポートフォリオ)

推奨パターン例


  • 事務/バックオフィス:①始業時刻等の変更+②テレワーク(時間単位)
  • 開発/企画:②テレワーク+④養育両立支援休暇(時間単位)
  • 店舗/製造:⑤短時間勤務+③保育施設の設置運営等(提携ベビーシッター補助)

※ 選定時は過半数労組等の意見聴取を忘れずに。
職種・事業所で差異を設ける場合は合理性の根拠を文書化。


ステップ2:個別周知・意向確認の運用設計

  • 対象者抽出:人事システムで「子の年齢」をキーに月次抽出。
  • スケジュール:子が3歳になる前の1年間で通知→面談→記録の3点セット。
  • 様式・フォーム:厚労省の様式例をベースに社内様式化。
  • 記録:面談記録、メール履歴、同意書、申請書を人事台帳に紐付け。

面談チェックリスト(抜粋)

  • 就業上の希望(時間帯・場所・制度の選択・利用期間)
  • 業務量や配置の配慮可能性(繁閑/代替要員/派遣活用)
  • 利用抑制になりうる表現の回避(NGワード集を事前共有)
  • フォロー面談の設定(復職直後、利用期間中の定期面談)

ステップ3:就業規則・社内規程・労使協定

改定の主な論点


  • 養育両立支援休暇(目的、対象、付与日数、申請単位=時間/半日/日、賃金取扱い、代替要員、繰越/端数処理)
  • テレワーク(対象、回数・単位、費用負担、セキュリティ、在宅手当、労災/安全衛生)
  • 短時間勤務(所定時間、割増/控除、評価/昇給、職務設計)
  • 申請・承認・利用停止/変更の手続、ハラスメント防止条項

就業規則 追記文例(抜粋)

第○条(養育両立支援休暇) 当社は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対し、年10日を上限として時間単位で取得可能な養育両立支援休暇を設ける。取得目的、申請手続、賃金の取扱いその他の事項は別に定める規程による。

ステップ4:勤怠・人事システム改修

  • 時間単位申請/承認フロー(API/ワークフロー)
  • 月10日カウンタ(テレワーク)
  • 自動リマインド(対象者の1歳11か月到達時)

ステップ5:ライン長研修

  • 面談ロールプレイ、抑制的発言のNG集、配置替えと業務量調整の考え方。

ステップ6:KPIと助成金の活用

KPI例

  • 育児関連制度の利用率/不承認率
  • 男性育休の取得率・平均日数
  • 面談実施率・期限内実施率

助成金(代表例):育児休業等支援コース(取得時/復帰時)、出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース 等。
最新の要件・金額は厚労省資料を確認のうえ申請計画に反映。


【付録】テンプレート集(コピペOK)

1)個別周知メール(例)

件名:柔軟な働き方の制度(対象者のご案内)/面談のご希望確認
〇〇様のご家庭状況に応じてご活用いただける制度をご案内します。
対象措置は次のとおりです:
①始業時刻等の変更
②テレワーク(月10日)
③保育施設の設置運営等
④養育両立支援休暇(年10日・時間単位)
⑤短時間勤務(1日6時間)。
申出先:
人事労務部。面談(オンライン可)・書面・メールのいずれかで意向確認を実施します。
詳細は添付の社内様式をご覧ください。


2)面談記録シート(項目)

  • 希望する制度/利用期間/勤務時間帯・勤務地
  • 業務量・配置の配慮希望と会社の対応方針
  • 次回フォロー面談の日程
  • 利用抑制につながる発言の有無(チェック欄)

3)90日実行ロードマップ

  • Day1–30:現状診断→選択措置の案作成→労組等意見聴取→経営決裁
  • Day31–60:就業規則・規程改定、勤怠/人事システム改修、様式整備
  • Day61–90:社内告知→対象者抽出→個別周知・面談→初回運用→KPI設定・助成金準備

まとめ

  • 2つ以上の選択措置を制度化し、対象者には個別周知・意向確認期限内に実施。
    記録・面談・KPIで“回る運用”に。
  • 規程・システム・教育を同時並行で整備。助成金も活用してコストを抑えましょう。

FAQ(3問)

Q1. 選択措置は事業場ごとに異なる設計でもよいですか?

可能です。合理性を説明できるよう職種・事業所の事情を文書化し、周知も分かりやすく分割しましょう。


Q2. 労使協定は必須ですか?

すべてが協定必須ではありませんが、時間単位取得や短時間勤務の細部は協定または規程で明確化しましょう。意見聴取の記録も保管してください。


Q3. 助成金はどれを選べばいい?

まずは「育児休業等支援コース」「出生時両立支援コース」を確認。自社の取得・復帰プロセスに沿って申請計画を立てるのがコツです。


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