取適法コンプライアンス体制の作り方—社内規程・教育・モニタリングの実装手順

取適法コンプライアンス体制の作り方—社内規程・教育・モニタリングの実装手順

シリーズ最終回は「社内に根づかせる」。責任体制、対象判定フロー、教育・監査、そしてフリーランス法との並走を一気通貫の運用として設計します。

体制設計(責任者・関与部署・判断フロー)

基本体制

  • 責任者:コンプラ責任者(法務/経営企画)
  • 実務部門:購買・経理・各事業部
  • 監査:内部監査/第三者レビュー(年1回)

意思決定基準

  • 価格協議のエスカレーション閾値(例:増減±5%超)
  • 期日遅延の速報ルール(即日法務・経理へ共有)

案件開始前の対象判定フロー

  1. 取引類型を確認(製造/修理/特定運送/情報成果物/役務提供)。
  2. 自社と相手方の資本金従業員数を把握。
  3. 基準表に当て込み、対象関係かを発注時点で判断(継続取引でも都度点検)。

注意:中小同士でも相手がさらに小さい場合は自社が委託側として義務・禁止の射程に入ります。サイズ感の思い込みは禁物です。

教育・監査(見積→協議→契約→検収→支払→保存)

  • 年次eラーニング:用語(委託事業者/中小受託事業者)、禁止行為、支払ルール。
  • 月次モニタリング:
    • 支払サイト分布(60日超がないか)
    • 支払手段(手形が混入していないか)
    • 価格協議の未対応・未記録の検知

フリーランス法との並走チェック

相手が個人の受託者(従業員なし)の場合、フリーランス・事業者間取引適正化等法による取引条件の明示報酬支払期日就業環境への配慮も確認します。実務では両法チェックリストを一枚化し、案件開始時に二重チェックを行うのが安全です。

公式情報・説明会の活用

  • 公的機関の特設ページ・リーフレット・Q&Aの定期ウォッチ
  • 説明会(オンライン含む)で運用解釈や最新の留意点をアップデート

まとめ

  • 発注前の対象判定→標準書式→モニタリングの三点セットが肝。
  • フリーランス法取適法一体運用で抜け漏れ防止。
  • 公式資料・説明会を定期ウォッチしてアップデート。

FAQ

Q1. いつのタイミングで従業員基準を判定する?
発注時点の常時使用する従業員数で判断するのが原則。継続取引でも都度確認を。
Q2. 物流委託は何が変わる?
対象取引に特定運送委託が追加。荷待ち・荷役等の課題に対応する狙いが背景にあります。
Q3. 社内規程はどこから着手?
①発注明示テンプレ、②支払規程(60日内・手形禁止・遅延利息)、③保存規程(2年)、④価格協議手順の4点改訂から着手すると効果的です。

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