中小企業のBCP事例|名古屋市で起きがちな失敗7つと改善ステップ(感震・固定・個包装)


中小企業のBCP事例|名古屋市で起きがちな失敗7つと改善ステップ(感震・固定・個包装)
名古屋市内の製造・物流・オフィス事業所で見られる「BCPが動かない理由」を7つの型に整理し、現場での直し方を手順化しました。
港湾近接と内陸事業所の両ケースを想定しています。
1) 事例A:港湾近接の製造(従業員25名)
課題の実像
- 高棚・部品ラックが未固定、フォークリフト通路に可燃物が散在。
- 感震ブレーカー未設置。分電盤位置が一部の担当者しか把握していない。
- 夜間シフトに安否確認の責任者が不在。初期消火器はあるが実地訓練が少ない。
- 在庫・金型の退避計画が口頭レベル。重要書類はキャビネットで散在。
改善ステップ
- 棚・機器の固定:アンカー・L金具・耐震ベルト、サーバラックも同時に固定。
- 感震遮断:主配電への感震ブレーカー設置。可燃物を低減し離隔を確保。
- 初動10分の役割表:通報→初期消火→避難誘導→点呼の順で人員を割当て、夜間表も別作成。
- 退避計画:金型・重要在庫の「低位置・固定棚」「キャスター台車」で迅速移動。
- 重要書類・現金の持出キット:耐火ポーチに集約し、鍵付き保管+担当者2名ルール。
2) 事例B:内陸EC(オフィス+倉庫/20名)
課題の実像
- クラウド運用は進むが「通信断」を前提にしたオフライン代替がない。
- 個包装備蓄・簡易トイレ不足。女性用品とアレルギー配慮が未整備。
- 安否確認はメッセンジャー任せで、会社→家族の優先順位が曖昧。
- 物流停止に対する代替SKU・配送モード(陸・海)の設計がない。
改善ステップ
- 通信代替:衛星メッセージ/簡易無線、モバイルバッテリー+ソーラーパネル。
- 備蓄の粒度:水3L/人/日、個包装食、簡易トイレ(1人5回/日)、女性用品、アレルギー対応食。
- 安否の優先順位:まず会社の点呼→所定時間に家族連絡を許可。テンプレ文を配布。
- 代替SKU:人気商品の簡易版・代替素材の同梱パッケージを事前合意。
3) 失敗の型〈7つ〉と現場の直し方
- 役割不明・指揮系統不在:指揮者→各班長→班員の三段階。代行者も明記。
- 固定・遮断が後回し:最小コストで最大効果。固定→感震遮断→可燃物整理から着手。
- 備蓄が「箱だけ」:人数・日数・個包装・アレルギー・女性用品・トイレの6点で見直し。
- 通信が単線:社内チャット+SMS+個人携帯+無線/衛星の多系統化。
- 紙の帳票がゼロ:回線断前提で発注・出荷・検品の紙テンプレを用意。
- サプライヤが単一:主要品目は上限コストを事前合意し、最大3社に分散。
- 訓練が避難だけ:10→30→120→24→72分・時間のタイムラインで段階訓練。
4) 改善の順番:固定→遮断→備蓄→通信→代替
- 固定:棚・サーバ・什器。通路確保。
- 遮断:感震ブレーカー・ガス遮断・スプリンクラー点検。
- 備蓄:水・食・トイレ・PPE・女性用品・常備薬・カバー食。
- 通信:安否SaaS+紙名簿、無線/衛星メッセージ。
- 代替:拠点・SKU・輸送モード(陸/海)・在庫二拠点化。
5) 調達・協定・保険の見直しポイント
- サプライヤ分散:見積と仕様を平時に三者で合意。品質差の許容範囲を文書化。
- 地域連携:商工会・近隣企業と相互応援覚書。津波一時避難ビルの共用検討。
- 保険:地震保険、動産・利益補償。免責・待機期間・臨時費用の範囲を確認。
6) 訓練設計とKPI(四半期運用)
- 机上訓練:役割表の確認、If-Thenの分岐演習。
- 集合訓練:初期消火、負傷者搬送、避難誘導、点呼。
- 想定外演習:通信断・夜間・要配慮者・火災の同時多発をロール。
- KPI:参加率>90%、初動10分完了率>95%、総合訓練所要<60分、是正件数の推移。
まとめ
多くの失敗は順番の問題です。
まず固定と感震遮断で出火・転倒を抑え、つぎに個包装備蓄と通信多系統で自走性を確保し、最後に代替拠点・代替SKUで復旧速度を上げます。
FAQ
- 感震ブレーカーはどこから導入しますか?
- 可燃物が多い階・配電盤の系統から段階導入し、将来的に全館へ拡大します。
- 発電機は必須ですか?
- まずは蓄電+ソーラーで小電力を確保し、用途(冷蔵/IT/ポンプ)が明確なら発電機を追加します。
- 在庫はどの程度持つべきですか?
- 人×72時間の生活備蓄に加え、主要製品の安全在庫と代替SKUを定義します。
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