【事例】診断→対策→更新で“総コスト”を下げる方法|マンション共有部分の火災保険

【事例】診断→対策→更新で“総コスト”を下げる方法
はじめに
現場で効いたのは、診断先行→対策(工事・免責設計)→更新交渉の順序でした。
条件いじりだけでは翌年また跳ねることが多いからです。
ここでは架空の事例を通じて、再現性のある手順を確認します。
ケース1:築25年・漏水多発マンション(架空の具体例)
課題
- 竪管周りの漏水が年3〜4件発生
- 請求はできたが事故頻度の高さで翌年見積が上振れ
- 小口事故の対応に時間と調整コストがかかる
診断
- 第三者のマンション診断で、配管更新の優先順位と範囲を特定
- 屋上防水・外装も点検し、再発箇所と潜在箇所の洗い出し
対策
- 給排水更新計画を段階導入(優先階から)
- 免責を高め小口事故は原則自費に切替
- 申請基準と報告様式(写真・原因・再発有無)を標準化
結果(例:KPIの推移)
| 指標 | Before(前年) | After(翌年) | メモ |
|---|---|---|---|
| 年間事故件数 | 4件 | 1〜2件 | 配管更新の効果+運用ルール |
| 平均支払額(1件あたり) | 35万円 | 20万円 | 小口自費化で申請減 |
| 見積の上振れ幅 | +30〜40% | ±0〜+10% | 多頻度リスクの緩和 |
ポイント:条件交渉の前に“建物側の変化”を作る。診断→予防工事→証跡(写真・報告書)→再見積依頼が王道です。
プロセスのタイムライン
- 台帳と事故履歴の整備(過去5年)
- 第三者診断の実施とレポート受領
- 優先順位にもとづく予防工事(配管・防水など)
- 免責水準と申請閾値の再設計
- エビデンス添付で保険会社へ再見積依頼
ケース2:過少付保の是正と回復力の向上
課題
- 評価額が実態より低く、大規模事故時の保険金不足の懸念
- 特約が積み上がり、費用対効果が不明瞭
診断
- 資産台帳・図面・工事履歴から評価額を再算定(外装・設備を反映)
- 特約の要不要をゼロベースで棚卸し
対策
- 付保割合を適正化(重要部分を優先、段階的に全体へ)
- 不要特約を整理し、限度額設計でバランスを確保
結果(例:リスク耐性)
回復力↑ 大事故時の資金ギャップ縮小
透明性↑ 何を守り、何を諦めるかが明確に
合意形成↑ 理事会・総会での説明が容易に
小口事故マネジメント(運用ルール例)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 閾値 | 見積10〜30万円未満は原則自費(理事会承認) |
| 記録 | 写真・原因・再発対策を台帳化(案件ID付与) |
| 学習 | 半年ごとに再発ランキングを共有し、予防工事に反映 |
| 承認 | 役員の二者承認+管理会社確認(期間・金額で権限分掌) |
※自費対応の可否は、修繕積立金の余力や合意形成の状況に左右されます。財政と運用体制のバランスを見て設定してください。
まとめ
条件交渉の前に診断。小口事故の運用設計と台帳化で多頻度リスクを抑制し、評価額の適正化で大事故時の回復力を確保。
エビデンスを添えて再見積を依頼することで、中長期の総コスト最適化が実現しやすくなります。
FAQ(よくある質問)
Q1. 診断は誰に依頼?
A. 建築・設備の第三者診断サービスや管理会社のメニューを活用。配管・防水・外装・電気・機械設備の優先順位を示すレポートが望ましいです。
Q2. 免責を上げて本当に得?
A. 事故頻度・金額分布によります。台帳データにもとづき、閾値と承認フローを決めてから導入しましょう。
Q3. 小口事故は申請した方が得?
A. 多頻度申請は翌年の料率悪化に繋がる可能性。自費化+再発防止に予算を回すルールが有効です。
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※本記事は学習用の架空事例です。実際の設計は約款・管理規約・物件状況により異なります。