見積比較がブレない「条件表」の作り方と、補償・免責・メンテの最適化|Day4

見積比較がブレない「条件表」の作り方と、補償・免責・メンテの最適化

はじめに

保険会社ごとの前提が異なると、見積の比較は不可能です。
ここでは、統一の条件表エビデンスを武器に、補償・免責・メンテ・タイミングを最適化する実務手順を示します。


統一「条件表」テンプレ(コピーして使える)

項目記入内容(例)注記
物件情報所在地/構造(RC/SRC)/築年/戸数・階数/延床最新版図面のリンクを添付
共有範囲の定義廊下・階段・EV・屋上防水・外壁・配管(縦横) 等共有/専有の線引き表を添付
評価方法・付保割合再調達 or 時価、付保割合◯◯%、重要部位は100%過少付保の回避を明記
補償金額・限度額物的損害:◯◯億円/施設賠償:◯億円 等想定最大損失から逆算
免責金額一般:◯万円/漏水:◯万円/水災:◯万円小口事故運用との整合
特約の要・不要不要特約:△△、必要特約:□□費用対効果と重複に注意
地震保険付保方針(全体/部分/限度額)耐震性能・地域性・予算
事故履歴(5年)件数・金額・原因・再発有無台帳URL・写真を添付
メンテ履歴・予定屋上防水(20XX年)、竪管更新(計画中) 等診断レポートの要約も
その他条件長期契約可否、告知事項、希望開始日総会承認スケジュール

※この表をそのまま各社へ提示し、質問/変更は表に追記して全社へ同報すると比較の純度が保てます。


補償内容の精査(特約の棚卸し/付保割合)

不要特約の整理

  • 各戸で対応すべき性質の特約は組合から外す
  • 重複補償(別契約でカバー済み)を見直す
  • 限度額の実効性(想定被害と乖離していないか)

付保割合の再設計

全額が難しい場合は、重要部分(構造・防水・主要設備)を優先して段階的に適正化。


免責の設計(財政余力×事故頻度)

判断観点チェック設計のヒント
事故頻度・金額分布小口が多い/少ない、再発の有無多頻度なら免責UP+自費運用で抑制
財政余力修繕積立金/臨時徴収の可否免責UPは現金余力が前提
承認フロー閾値・二者承認・記録様式台帳化し学習サイクルへ接続
総コスト=年間保険料+(平均事故件数×自費分)+予防メンテ費用。免責UP×予防工事の組み合わせで最小化を狙います。

メンテ戦略と更新タイミング(工事後の再見積)

タイミング戦略

  • 給排水更新や屋上防水工事に、写真・診断書を添えて再見積依頼
  • 市況が悪化傾向のときは早期打診で枠確保
  • 長期契約(例:5年)は割引を検討。ただし中途解約規定と将来の条件変更リスクを併記

エビデンスの集め方

  • 診断レポート(要約1枚+詳細)
  • 工事写真(Before/After)、仕様書、検収書
  • 事故台帳(件数・金額・原因・再発有無)

RFPメール文例(見積依頼テンプレ)

コピペ用

件名:マンション共有部分火災保険 見積依頼(◯◯管理組合)

◯◯保険会社 御中
平素よりお世話になっております。◯◯マンション管理組合です。
添付の「見積条件表(統一フォーマット)」に基づき、見積をご提示ください。

【提出期限】YYYY/MM/DD(◯◯:◯◯)
【添付】1) 見積条件表 2) 共有/専有線引き表 3) 事故台帳(5年) 4) 診断/工事エビデンス
【留意点】各項目の質問は本メールへの返信でお寄せください。重要事項は条件表へ追記し、全社に共有します。

以上、よろしくお願いいたします。
◯◯マンション管理組合 理事長 ◯◯ ◯◯
連絡先:xxx-xxxx-xxxx / mail@example.com

まとめ

条件表の統一→補償精査→免責設計→メンテ→最適タイミングの順で、比較の純度と交渉力を最大化。
エビデンスを積み上げ、再見積の節目を設計しましょう。


FAQ(よくある質問)

Q1. 見積は何社から取る?
A. 3社以上。条件表の統一で純粋比較が可能に。
Q2. 長期契約は常に有利?
A. 市況次第。割引と引き換えに将来変更リスク・中途解約規定を確認。
Q3. 診断の頻度は?
A. 築年・事故状況により1〜3年感覚が目安。高頻度事故部位は短サイクル。

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※本記事は一般情報です。最終判断は各社の約款・管理規約・物件状況をご確認ください。