中小企業の通信費はどこでムダが生まれる?まずは“混在リスク”の棚卸しから

中小企業の通信費はどこでムダが生まれる?まずは“混在リスク”の棚卸しから
はじめに
多くの小規模事業では、個人名義のスマホや自宅回線を“とりあえず”仕事にも使っています。
その結果、毎月の通信費は膨らみ、事故時の責任分界も曖昧に。
まずは現状を見える化し、ムダとリスクの源泉を特定しましょう。
今日のゴールは「事実ベースの一覧表」を作り、どこから手を付けるか明確にすることです。
目次
- “混在”の何が問題か:コスト・コンプラ・BCP
- 5つの棚卸しシート(回線/端末/契約/運用/リスク)
- 即日できる可視化:請求書→台帳→仮説の作り方
本文
3-1. “混在”の何が問題か
- コスト:家族割・個人プランのまま事業利用→業務外オプションや過剰ギガで割高化。
- コンプラ:名義が個人→事故時の責任分界・証跡管理が困難。領収・計上も煩雑。
- BCP:固定回線の単系統依存→障害時に全業務停止。モバイル冗長や予備回線なし。
- セキュリティ:業務データが私物端末に分散。MDM不在、暗号化・遠隔ワイプ未整備。
5つの棚卸しシート(雛形)
(A) 回線台帳
| 区分 | 目的 | 種別 | 事業/個人 | 名義 | 料金(概算) | データ量 | 契約期間 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 携帯1 | 外出業務 | MNO/MVNO | 事業 | 法人/個人 | ||||
| 固定1 | オフィス | FTTH/ケーブル/5G固定 | 事業 | 法人/個人 |
(B) 端末・機器台帳(スマホ、ルータ、PBX、UTM、NAS など)
(C) 契約・オプション(音声かけ放題、海外ローミング、固定IP、クラウドPBX ほか)
(D) 運用ルール(SIM貸与規程、BYOD可否、紛失時フロー、パッチ適用)
(E) リスク管理(MDM、EDR、VPN、ゼロトラスト、バックアップ、サイバー保険)
統計インサイト(2024–2025最新)
- 企業のクラウドサービス利用は約8割。
- テレワーク導入企業は約5割(前年から減少傾向)。一方、雇用者では制度あり20.9%。
- OS更新実施73.0%/ウイルス対策定義更新71.4%と基礎対策は一定普及。教育は未実施63.6%、投資「していない/不明」約7割。投資しない理由の最多は「必要性を感じない」44%。
- ランサムウェア被害は前年比+37%。インターネットバンキング不正送金は4,369件・約86.9億円(2024年)。
- 中小企業はソフトウェア投資比率が大企業より低位、デジタル未着手層が一定数。
即日できる可視化フロー
- 請求書を全て一箇所へ(紙/メール/ポータルを月次で回収)
- 台帳へ転記(名義・用途・金額・更新月)
- “仮説タグ”付け:不要/過大/名義変更/冗長化要
- トップ3課題を宣言(例:個人名義→法人へ、固定回線の冗長化、MDM導入)
5) まとめ
要約:混在の可視化→優先課題の宣言までを1日で完了。明日以降の見直しはこの台帳が基盤です。
6) FAQ(3問)
- 個人名義のままでも経費計上できますか? → 会計上は可能でも、事故対応や証跡の観点では法人名義化が望ましいです。
- 最初に削るべきオプションは? → 利用実績の薄いかけ放題・国際ローミング・重複セキュリティを優先します。
- BYODはやめるべき? → 一律禁止ではなく、MDMとデータ分離・ワイプ条件を明文化しましょう。
📩 あなたの状況に合わせた具体的なアドバイスが欲しい方は、LINEで相談するから気軽にご相談ください。