副業×税のルール完全ガイド|20万円ルール/雑所得・事業所得の線引き/住民税の“見え方”(2025)

副業×税のルール完全ガイド|20万円ルール/雑所得・事業所得の線引き/住民税の“見え方”(2025)
はじめに
「20万円以内なら何もしなくてOK」と思っていたら、住民税の通知でヒヤリ、会社に気づかれないか心配…。
収入と所得の違い、20万円ルールの正しい範囲、雑所得と事業所得の線引き、そして住民税の見え方まで、今日ここで整理すれば不安はゼロに。
本稿は、副業会社員が最初に押さえるべき法則をシンプルに解説します。難しい言葉は避け、実例・チェックリスト・FAQで使うところだけ理解できる構成にしています。
正社員の副業実施率
およそ2.5%。副業を希望する人は7.7%とされ、実施より希望が上回ります。(公的調査ベース)
まず覚える3語
収入−経費=所得。
判定や申告の基準は所得であることが多いです。
20万円ルール:ここを間違えると危険(判定の条件とNG例)
俗にいう「20万円ルール」は、所得税の確定申告を省略できる特例のことです。次の条件に当てはまるとき、原則として確定申告を省略できます(住民税は後述)。
判定のポイント(最短理解)
- 判定は“収入”ではなく“所得(= 収入−経費)”。
- 給与が1か所で年末調整済みかつ給与収入2,000万円以下。
- 給与以外(雑・事業・不動産など)の所得合計が20万円以下。
- 給与が2か所以上の場合は、年末調整されなかった給与の収入+他の所得と合算して判定します。
- 「副業の売上が20万円以下ならOK」→ ❌ 売上ではなく“所得”で判定します。
- 「1つ1つの副業で20万円以下ならOK」→ ❌ 複数の副業所得は合算します。
- 「20万円以下なら何も申告しなくてよい」→ ❌ 住民税は原則申告が必要です(確定申告をしない場合)。
- 「医療費控除だけ出して副業は書かない」→ ❌ 確定申告をするなら副業も含めて申告します。
メモ:原稿料・講演料などで源泉徴収(10.21%など)がされている場合、申告で還付になることがあります。
ただし申告するなら、20万円以下でも副業分を含めて計上します。
雑所得と事業所得の線引き(300万円基準と実態判断)
副業の所得は、大きく雑所得か事業所得に分かれます。判断は規模・継続反復性・独立性・営利性などの実態で行います。
- 概ねの目安:収入規模が300万円超のようなケースや、帳簿をつけて独立継続的に行っている場合は事業所得と判断されやすい。
- 300万円以下の小規模な活動は、雑所得として扱うのが一般的。ただし、実態が事業に該当すれば事業所得となり得ます。
- 雑所得(業務)でも帳簿や証憑の保存が必要になるケースがあります(収入規模等により異なる)。
ポイント: 青色申告特別控除(最大65万円)等のメリットは事業所得でのみ使えます。開業届・承認申請の要否などの手続きはDay4で実務解説します。
住民税の“見え方”と普通徴収/特別徴収の現実
1) 給与の副業がある場合
複数の勤務先から給与を受け取っていると、すべての給与を合算して住民税が計算され、主たる勤務先から特別徴収(天引き)されます。副業の給与分だけを普通徴収にすることは基本できません。
※ 勤務先に送られる税額通知は「税額のみ」の様式で、所得の内訳は記載されない運用が多いです(個人用通知は内訳記載の圧着はがき等)。
2) 事業・雑所得(給与以外の副業)の場合
確定申告書の第二表にある「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」で、自分で納付(普通徴収)を選べる余地があります。ただし、自治体の裁量により認められないケースもあります。
3つのケーススタディ(判定→やること)
ケースA:売上40万円、経費25万円(ハンドメイド販売)
- 所得=40万−25万=15万円(雑所得想定)
- 所得税:20万円以下で、給与1か所・年末調整済みなら申告省略OK(ただし医療費控除などで申告する場合は計上)。
- 住民税:所得税の申告をしないなら、市区町村へ住民税の申告が必要。
ケースB:売上180万円、経費60万円(ライティング業)
- 所得=180万−60万=120万円(実態により事業所得の可能性)
- 所得税:確定申告必須。源泉徴収がある原稿料は還付の可能性。
- 住民税:確定申告書第二表で自分で納付(普通徴収)にチェック可(自治体判断あり)。
ケースC:本業+夕方アルバイト(給与が2か所)
- 所得税:年末調整されなかった給与の収入と他の所得を合算して20万円超なら申告必要。
- 住民税:全給与合算→主たる会社で特別徴収。副業給与だけ普通徴収はできないのが一般的。
今日のチェックリスト
- 今年の副業の売上と経費を一覧化 → 所得を算出した
- 自分は給与1か所・年末調整済みかを確認した
- 副業が給与か給与以外かで、住民税の扱いを把握した
- 来年の申告方針(雑所得/事業所得、普通徴収の可否)をメモした
- 医療費・ふるさと納税等を出すなら、副業も一緒に申告することを理解した
FAQ
Q1. 20万円の判定で、交通費や道具代はどう扱いますか?
A. 必要経費に該当するものは収入から差し引きます。判定は所得(収入−経費)で行います。
Q2. 会社に副業が知られるのが心配です。
A. 給与の副業は住民税が全給与合算で主たる会社から特別徴収されます。税額通知は勤務先向け様式では税額のみ記載が基本です。給与以外の副業は、確定申告書で普通徴収を選べる余地があります(自治体判断)。
Q3. フリマアプリで家の不用品を売った利益は課税?
A. 生活用の中古品の売却は原則非課税です。ただし、営利目的の仕入販売や高額な貴金属等は扱いが異なる場合があります。
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