取適法の対象になる?資本金・従業員数と取引内容のかんたん判定

取適法の対象になる?資本金・従業員数と取引内容のかんたん判定
取適法(中小受託取引適正化法)で一番多い不安は、「うちは対象なの?」です。
ここが分からないと、発注書や支払いの見直しも進みません。
Day2では、難しい言い回しは避けて、対象の考え方と、実務で必ず押さえたい最低ラインを整理します。
「全部を完璧に」は目指さず、まずは“事故が起きにくい形”を作りましょう。
取適法の対象は「取引の内容」×「資本金 or 従業員数」
取適法は、ざっくり言うと「発注する側」と「受ける側」の力関係が偏りやすい取引で、 弱い立場になりやすい側(中小の受託側)を守るためのルールです。
対象になるかどうかは、次の2つを組み合わせて考えます。
- 取引の内容:何を委託(外注)しているか
- 会社の規模:資本金、または従業員数(どちらかで判定)
ポイントは、従来の「資本金」だけでなく、従業員数の基準でも対象になる場面が増えることです。
「資本金が小さいから関係ない」と決めつけるのは危険になりやすい、ということです。
対象になりやすい取引の種類(ざっくり)
取適法の対象は、主に「事業としてよく行われる委託」です。細かい分類はありますが、 現場でよく出るものを“ざっくり”まとめると次のようになります。
- ものづくりの委託:部品や商品を作ってもらう
- 修理の委託:修理やメンテナンスを頼む
- IT・制作の委託:システム、アプリ、サイト、デザイン、文章、動画など
- 作業・サービスの委託:業務代行、清掃、運用、サポートなど
- 運送(物流)の委託:運ぶ仕事を頼む(今回の改正で注目されやすい領域)
ここで大切なのは、「うちは何を外注しているか」を洗い出して、取引の形を見える化することです。
見える化すると、対象判定もしやすくなり、社内の運用も整えやすくなります。
委託側の4つの義務(これだけは必須)
取適法は「やってはいけないこと」も多いですが、まずは委託(発注)する側が必ず押さえるべき最低ラインを固めるのが先です。 ここを押さえるだけで、トラブルの多くが予防できます。
1) 発注内容を“はっきり”伝える(明示する)
発注時点で、少なくとも次のような内容が分かるようにしておきます。 口頭だけでは「言った/言わない」が起きやすいので、メールや発注書など、あとで確認できる形に寄せるのが安全です。
- 何を、どこまでやってもらうのか(範囲)
- いくら払うのか(代金)
- いつ支払うのか(支払期日)
- どう支払うのか(支払方法)
2) 取引の記録を作って保存する(あとで確認できるように)
「発注した内容」「変更した内容」「支払った内容」が追えるように、記録を残しておくことが大切です。
現場では、メール・チャット・発注書PDFなどをフォルダでまとめておくだけでも、かなりリスクが下がります。
3) 支払期日を決めて、遅らせない
支払いが遅れると、受託側の資金繰りに直撃します。
だからこそ、支払期日を明確にし、検収や社内処理が理由でズルズル遅れないようにすることが大切です。
4) 遅れたり、条件を勝手に変えたりしない
実務で多いのは、次のような“じわじわ効く”トラブルです。
- 支払いが遅れる(検収が終わらない、経理処理が後回しなど)
- あとから減額する(「予算が厳しい」「思ったのと違う」など)
- やり直しや追加を、無償で求める(範囲が曖昧なまま)
こうした事態を防ぐためには、「発注内容の明確化」と「変更時のルール化」がセットになります。
変更が起きやすい業種ほど、ここをテンプレで固めるのが効果的です。
よくあるNG行為(現場で起こりがちな例つき)
取適法では、委託側(発注側)がやってはいけない行為が複数あります。
ここでは、現場でよくある形に置き換えて紹介します。自社のやり方に似ているものがないか確認してみてください。
よくあるNGの例
- 完成したのに受け取らない:納品できているのに「やっぱり要らない」と受領を断る
- 支払いを遅らせる:期日を過ぎる/検収を引き延ばす/実質的に支払いを先延ばしにする
- あとから減額する:合意した金額を、後出しで下げる
- 受け取った後に返品させる:受領後に一方的に戻させる
- 相場より明らかに低い単価で押し切る:話し合いをせずに低単価で固定する
- 特定の購入や利用を強制する:指定のツールやサービスを使わせる、買わせる
- 相談や指摘を理由に不利益を与える:交渉したら取引を切る、発注を止める
- 追加ややり直しを無償で押しつける:受託側の責任ではないのに、タダで対応させる
- 価格の話し合いを避けて一方的に決める:協議の要請を無視・先延ばしして、こちらの都合だけで決める
とくに、最近トラブルになりやすいのは次の2つです。
- 価格の話し合いを避けて、一方的に決める
- 支払い方法が複雑で、受託側に不利になっている
ここは「悪気がなくても」起きます。だからこそ、運用で防ぐのが一番確実です。
次のDay3では、実際に揉めやすい業種(物流、建設、IT、広告・制作など)と、揉め方のパターンを具体的に見ていきます。
まとめ+要約
- 取適法の対象は「取引内容」×「資本金 or 従業員数」で考える(従業員数基準で対象が広がりやすい)
- 外注の種類を洗い出すと、対象判定と社内整備が一気にラクになる
- 委託側は「明示」「記録」「支払」「変更のルール化」を最低ラインとして固める
- トラブルが多いのは「価格の話し合いを避ける」「支払いを遅らせる」「無償の追加・やり直し」
FAQ(3問)
Q1. 発注内容の明示って、口頭でもいいですか?
A. 口頭だけはおすすめしません。後から確認できる形(メールや発注書)にしておくと、 「言った/言わない」や、範囲のズレが大幅に減ります。
Q2. 検収が長い取引ですが、支払いはどう考えればいいですか?
A. 「いつ受領した扱いになるか」「検収はいつまでに終えるか」を、取引ごとに整理しておくのが現実的です。 検収が長いほど、支払い遅れの原因になります。まずは検収フローを短くする工夫から始めるとスムーズです。
Q3. 受託側(受ける側)は何を準備すべきですか?
A. まずは「範囲・金額・納期」を着手前に確認し、変更が出たら「追加見積り(または納期調整)」をセットで返すことです。 あわせて、やり取りを文章で残すだけでも守りが強くなります。
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