取適法対応の実務テンプレ|発注・変更・価格協議・支払いを事故らせない

取適法対応の実務テンプレ|発注・変更・価格協議・支払いを事故らせない

取適法の対応は、知識を詰め込むほど苦しくなりがちです。
でも実際に必要なのは「条文暗記」ではなく、現場で迷わない型(テンプレ)です。

Day4では、委託する側(発注側)・受託する側(受ける側)の両方が使えるように、
発注・変更・価格協議・支払いの4点を、今日から回せる形に落とし込みます。

なぜテンプレが必要なのか(事故の原因は「曖昧さ」)

取引トラブルの多くは、誰かが悪いから起きるわけではありません。
「忙しい」「いつもこうだから」「前もこれで回ってた」——その結果、曖昧なまま進んでしまうことが原因です。

そして、曖昧さが残ったまま進むと、最後にだいたいこの3つで揉めます。

  • 追加・変更(どこまでが範囲内?)
  • 価格(その追加は無料?有料?)
  • 支払い(いつ払う?検収はいつ終わる?)

テンプレは、この3つを「毎回同じやり方で処理する」ための道具です。
人によって対応がバラバラだと、現場は必ず燃えます。だからこそ、型で守るのが一番ラクです。


委託(発注)側:最低限の運用テンプレ(発注/変更/支払)

委託側は、まず「相手に分かる形で出す」「変更は後出しにしない」「支払いを遅らせない」を固めるのが最短です。
ここを整えると、受託側との関係も安定し、結果的に品質も納期も良くなりやすいです。

テンプレA:発注メール(これ1通で最低限を押さえる)

口頭やチャットだけで進めると、あとで確認できずに揉めます。
まずはメール(またはチャット)で、次の項目をセットにして送る運用にします。

必ず入れる項目(最低限)

  • 依頼内容(範囲):何を、どこまでやるか
  • 納期:いつまでに必要か
  • 金額:税込/税抜、経費の扱いも
  • 支払条件:支払日・支払方法

そのまま使える文面例

件名:作業依頼(◯◯)について
本文:
・依頼内容:◯◯(範囲:◯◯まで)
・納期:◯月◯日
・金額:◯◯円(税抜/税込:◯◯)※経費は◯◯
・支払条件:◯月◯日払い/支払方法:◯◯
上記内容で進めてよろしければご返信ください。相違があればご指摘ください。

テンプレB:変更・追加の扱い(“無償の追加”を生まない)

変更や追加が出るのは普通です。問題は「追加なのに、追加扱いになっていない」ことです。
ここをテンプレ化すると、揉め事が一気に減ります。

変更が出たら、必ず3点をセットで出す

  • 変更点:何が増える/変わるのか(追加・削除・修正)
  • 影響:費用 or 納期(どちらが動くか)
  • 合意:いつ合意したか(メール返信でもOK)

そのまま使える文面例

件名:変更依頼(◯◯)について
本文:
追加(変更)内容:◯◯
影響:①追加費用 ◯◯円(または)②納期を◯月◯日に変更
上記で進めてよろしければ、ご承認の返信をお願いします。

※ここで大事なのは、「費用も納期も何も動かない」状態を作らないことです。
追加が出たら、少なくとも「費用」か「納期」のどちらかは動きます。動かないなら、どこかが無理をしています。

テンプレC:価格協議(避けない・先延ばししない)

価格の話は気まずいものです。だから先延ばしになり、関係が悪化しがちです。
ここは「交渉」ではなく、前提条件をそろえる“確認作業”にすると進みやすくなります。

委託側がやるべき流れ(簡単)

  1. 協議の要請が来たら、まず日程を決める(先延ばししない)
  2. 条件(範囲・数量・納期・品質基準)を整理する
  3. 改定が必要かを判断し、根拠をメモに残す
  4. 決まった内容を文章で残す

そのまま使える文面例

件名:価格条件の確認(協議)について
本文:
価格条件について一度確認の場を設けさせてください。
前提(仕様・数量・納期)をそろえた上で、今後の条件を整理したく存じます。
候補日:◯/◯(◯)◯時、◯/◯(◯)◯時、◯/◯(◯)◯時

テンプレD:支払い管理(遅れを仕組みで防ぐ)

支払いが遅れる原因は、だいたい次の2つです。

  • 検収(確認)の期限が決まっていない
  • 社内処理の都合で、支払日が後ろにずれる

そこで、次のルールを決めておくと現場が安定します。

  • 検収期限:受領から◯営業日以内
  • 検収での指摘は「まとめて一度」で出す(小出しにしない)
  • 支払日:毎月◯日(固定)/例外は事前合意
  • 支払方法:シンプルに(相殺や手数料負担はルール化)

受託(受ける)側:自分を守るテンプレ(確認/追加見積り/支払の確認)

受託側で一番つらいのは、「言いづらいことを言えないまま、抱え込む」ことです。
そこでおすすめなのは、強く言うのではなく、“確認として文章で残す”やり方です。

テンプレE:着手前の確認(短文でOK)

着手前にこれだけ確認しておくと、範囲ズレが激減します。

件名:作業条件の確認(◯◯)
本文:
念のため確認です。下記条件で進めます。
・範囲:◯◯(成果物:◯◯)
・納期:◯月◯日
・金額:◯◯円(税抜/税込)
・修正:軽微な修正は◯回まで(大幅変更は別途ご相談)
相違があればご連絡ください。

テンプレF:追加依頼が来たとき(角が立たない返し)

追加依頼に「できません」と返すのは角が立ちます。
でも「はい、無料でやります」だと自分が潰れます。
そこで、次の形がちょうどよいです。

件名:追加ご依頼分の確認(◯◯)
本文:
ご依頼ありがとうございます。追加部分が◯◯のため、
①追加費用のお見積り(または)②納期調整について、ご相談させてください。
まずは追加内容の範囲を整理したく、こちらで想定する範囲は◯◯です。相違があればご指摘ください。

テンプレG:価格協議の切り出し(“お願い”にしない)

価格の話は、「お願い」になると負けやすくなります。
そこで、条件変更を理由にした「確認」として出します。

件名:価格条件の確認(協議)のお願い
本文:
条件変更(工数増/コスト上昇等)があるため、次回以降の単価について一度協議をお願いできますでしょうか。
前提条件(範囲・納期・品質基準)をそろえて整理したく存じます。
候補日:◯/◯(◯)◯時、◯/◯(◯)◯時、◯/◯(◯)◯時

テンプレH:支払いの確認(催促ではなく確認)

支払いが遅れそうなときは、感情を入れずに「事実確認」で出すのが安全です。

件名:お支払い予定日の確認(◯◯)
本文:
念のため確認です。◯月分(請求書No.◯◯)のお支払い予定日をご教示ください。
当方の入金確認の都合上、予定日が分かると助かります。よろしくお願いいたします。


記録を残すコツ(メールでもチャットでもOK)

記録は「立派な書類」にする必要はありません。
大切なのは、次の2点です。

  • 合意した内容(範囲・金額・納期・支払)
  • 変わった内容(追加・変更・延期・改定)

これが追えるように、次の運用がおすすめです。

  • 案件ごとにフォルダを作る(メールなら件名統一でもOK)
  • 「発注」「変更」「請求」「支払」の4つを必ず残す
  • チャットの場合は、重要合意だけメールにまとめて送る(ログが流れやすいので)

いざ揉めたときに強いのは、「長文」ではなく「短文の合意が積み重なっている状態」です。
その形を目指すと、普段の仕事もスムーズになります。


“やりすぎない”導入順(今日からできる3ステップ)

いきなり完璧を目指すと、現場は止まります。
まずは、次の順で入れると失敗しにくいです。

ステップ1:発注(着手前)のテンプレだけ入れる

「範囲・納期・金額・支払」を出すだけで、トラブルの半分は減ります。

ステップ2:変更が出たら“必ず一回止める”ルールを入れる

追加が出たら、費用か納期のどちらかを動かす。
これができると、無償対応の抱え込みが減ります。

ステップ3:価格協議と支払い確認を“事実ベース”で回す

気まずい話ほど、テンプレで淡々と出す。
感情が入らないだけで、関係が壊れにくくなります。

次のDay5では、これまでの内容をまとめて、委託側・受託側それぞれの「最終チェックリスト」と、 よくある相談パターンを整理します。

まとめ+要約

  • 取引トラブルの原因は「曖昧さ」。テンプレで「追加・価格・支払い」を固定すると事故が減る
  • 委託側は「発注メール」「変更指示」「価格協議」「支払管理」を型にする
  • 受託側は「着手前確認」「追加は追加で返す」「協議は確認として出す」「支払は事実確認」で守れる
  • 記録は長文より短文の合意の積み重ね。案件フォルダで追える形にする

FAQ(3問)

Q1. 発注書のシステムがありません。メールだけでも大丈夫ですか?

A. まずはメール(またはチャット)で十分スタートできます。重要なのは「範囲・納期・金額・支払」が追えることです。 形よりも、毎回同じ運用で残ることを優先してください。

Q2. 追加対応で揉めそうなとき、どう返すのが安全ですか?

A. 「対応は可能です」と言ったうえで、「追加費用 or 納期調整の相談」をセットにして返すのが安全です。 これだけで“無料の追加”が標準になるのを防げます。

Q3. 価格の話し合いが怖いです。角が立たない言い方はありますか?

A. 「お願い」ではなく「条件変更があるので確認したい」という形にすると角が立ちにくいです。 候補日を3つ出して、淡々と進めるのがおすすめです。

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