Day2|65歳までの雇用確保、会社は何をすればいい?3つの選択肢と選び方

65歳までの雇用確保、会社は何をすればいい?3つの選択肢と選び方

Day2:中小企業のための実務|「3つの選択肢」どれを選ぶとラクか?

はじめに

制度対応は、完璧を目指すほど止まります。

大事なのは「自社の体力(人件費・仕事量・管理の手間)」に合う現実解を選ぶことです。

このDay2のゴール:3つの選択肢を「どれが正しいか」ではなく、どれが自社で回るかで選べるようにすること。

目次

本文

1) 企業が取れる3つの選択肢(再確認)

2025年4月1日以降は、次のいずれかを実施する必要があります。

  • 定年制の廃止
  • 65歳までの定年引上げ
  • 希望者全員の65歳までの継続雇用制度

※ポイントは「定年を65歳にすること」が義務という意味ではなく、「65歳まで働ける仕組みを用意する」ことです。

2) それぞれのメリット・注意点

ここでは、難しい言葉を避けて、現場で起こりやすい話にしぼります。

選択肢A定年制の廃止

メリット:「何歳まで」という区切りがなくなり、柔軟に運用しやすいです。本人の希望や会社の状況に合わせて、働き方の調整がしやすくなります。

注意点:柔軟な分、ルールがないと揉めやすいです。役割(どんな仕事をお願いするか)、評価(何をもって更新や配置を決めるか)、面談(いつ話すか)など、運用の型が必要になります。

選択肢B65歳までの定年の引上げ

メリット:制度がシンプルです。「うちの会社は65歳定年です」と一言で説明できます。

注意点:制度がシンプルでも、現場は自動で回りません。60歳以降の「役割・賃金・勤務日数」をどうするかをセットで決めないと、会社の負担が読みにくくなります。

選択肢C希望者全員の65歳までの継続雇用制度

メリット:中小企業ではこれが現実的になりやすいです。現場の状況に合わせて、働き方(週何日・何時間・どの仕事か)を調整しやすいからです。

注意点:揉めやすいのは、次の2点です。

  • 「希望者全員」の前提が社内で共有されていない(現場が「選べる」と思っている)
  • 処遇(賃金)だけが先に出て、役割や説明が後回しになる

迷ったときの判断軸(超シンプル版):

  • 運用の手間を最小にしたい → 定年引上げ(ただし処遇設計は必須)
  • 現場に合わせて柔軟に回したい → 継続雇用制度
  • 年齢の区切りをなくして柔軟にしたい → 定年廃止(運用設計力が必要)

3) “対象者限定”をしていた会社が最優先でやること

以前は、一定条件の企業で「継続雇用の対象者を限定できる」考え方がありました。

ですが、2025年4月以降は、希望者全員を65歳まで継続雇用する旨が就業規則に定められていない場合、就業規則の変更が必要になります。

ここが最優先ポイント:
「うちは再雇用してるからOK」ではなく、規程(就業規則・再雇用規程)に“希望者全員”が書かれているかが分かれ目です。

現場でよくあるのは、制度は運用しているつもりでも、文章が古いまま(経過措置前の書き方のまま)で、いざという時に説明できず揉めるパターンです。

4) 就業規則を直すときの考え方(難しくしない)

就業規則の見直しは、難しい文章を増やすことではありません。最低限、次の4つを「会社として決めた言葉」でそろえることが大事です。

① 対象

まずはこれです。希望者全員(65歳まで)を前提に書きます。

② 形(雇用の形)

再雇用なのか、契約社員なのか、短時間勤務なのか。ここは会社の実態に合わせます。大切なのは「形」よりも、更新や配置の考え方をブレさせないことです。

③ 処遇(賃金の基準)

年齢で決めると不満が出やすいです。おすすめは、役割・勤務日数・職務で整理する方法です。

  • 教育担当:週2〜3回
  • 品質チェック:午前のみ
  • 引き継ぎ・顧客対応:月末集中

こうした「役割」を先に決めると、賃金も説明しやすくなります。

④ 配置(どの仕事をお願いするか)

「何でもやって」だと現場が混乱します。最初から、無理のない職務に分解して設計しておくと、継続雇用が戦力になります。

ひとことで言うと:
「希望者全員」+「役割を決める」+「役割に合わせて処遇を説明する」
これができると、制度は“作っただけ”から“回る”に変わります。

5) 70歳までの話はどう扱う?

ここでよく混乱するのが「70歳まで」の話です。

70歳までの就業機会の確保は、扱いとしては「まず65歳までを固め、その後に段階的に検討」でも十分に現実的です。

制度を一気に広げるほど、運用が崩れやすくなります。特に中小企業は、“できることを確実に”が一番の近道です。

まとめ

会社がやるべきことは、「定年を65にする」ことではなく、希望者が65歳まで働ける制度を“どれか1つ”成立させることです。

特に、以前“対象者限定”をしていた場合は、就業規則(再雇用規程を含む)の見直しが最優先です。

要約

  • 2025年4月1日以降は「定年廃止/定年65へ/希望者全員の継続雇用」のいずれかが必要
  • “対象者限定”運用だった会社は、規程が古いままになりやすく、見直しが要点
  • 就業規則の直し方は難しくしない:「希望者全員」「役割」「処遇の説明」「配置」の4点をそろえる
  • 70歳の話は一気にやらず、まず65歳までを確実に固める

FAQ

Q1. どれを選べば正解ですか?

A. 正解は「自社の運用が回ること」です。多くは継続雇用制度が取り入れやすいですが、賃金・配置まで含めて決めると失敗しにくくなります。

Q2. 就業規則の変更は必須ですか?

A. 経過措置終了後の内容が規程に書かれていない場合は、変更が必要になります。まずは現行の就業規則・再雇用規程を確認してください。

Q3. 行政に相談できますか?

A. 相談先として、都道府県労働局・ハローワークなどが案内されています。制度の整理や進め方に不安がある場合は、早めに相談しておくと安心です。

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