希望者全員の継続雇用を“回す”ための設計図:中小企業向け5ステップ

希望者全員の継続雇用を“回す”ための設計図:中小企業向け5ステップ
Day4:応用テクニック|中小企業でも回る「再雇用の設計」5ステップ
はじめに
制度は「作る」より「回す」が難しいです。
ここでは、社内に専門部署がなくても回るように、設計を5つに分けます。
このDay4のゴール:継続雇用(再雇用を含む)を「揉めずに」「現場が止まらずに」回すための、実務の設計図を持ち帰ること。
目次
本文
ステップ1:対象者と時期を見える化
最初にやるのは、制度の話ではなく現実の把握です。ここが曖昧だと、すべてが「その場しのぎ」になります。
やること一覧を作る
- 今後3年で「60歳になる人/65歳になる人」を一覧にする
- 部署・職種・業務内容も一言添える(現場で使うため)
- 「誰が面談するか」を決める(社長・上司・人事など)
聞くことざっくりでOK
- 「65歳まで働く希望はありますか?」
- 「週何日・何時間なら現実的ですか?」
- 「体力的に避けたい作業はありますか?」
コツ:この段階で“条件交渉”に入らないこと。まずは「人数」と「時期」と「希望の傾向」だけを集めるとスムーズです。
ステップ2:仕事を「役割」に切り分ける
再雇用・継続雇用で強いのは、次のような会社を支える仕事です。現場の穴を埋め、若手を育て、品質を守る。ここに価値があります。
役割の基本3つ(迷ったらこれ)
- 教える(新人教育、OJT、マニュアル整備)
- 守る(品質、安全、ミス防止、チェック)
- つなぐ(引き継ぎ、顧客対応、過去案件の整理)
“切り分け”のやり方(簡単な手順)
- 現場で「本当は誰かがやるべきなのに、後回しになっている仕事」を3つ書き出す
- その仕事を「教える/守る/つなぐ」のどれかに当てはめる
- 「週何時間あれば回るか」をざっくり決める
例(そのまま使える)
- 教える:新人がつまずくポイントの共有、短い研修、横につくOJT
- 守る:検品、ダブルチェック、ヒヤリハットの共有、注意点の掲示
- つなぐ:担当交代時の引き継ぎ、問い合わせ対応、過去資料の整理
ポイント:役割を先に作ると、「とりあえず残って」問題が消えます。本人も現場も、やることが見えるからです。
ステップ3:処遇は“役割×日数”で決める
ここが一番揉めやすいので、シンプルにいきます。ポイントは「年齢」ではなく役割です。
処遇設計の考え方(例)
- 役割が重い × 日数が多い → 処遇は厚め
- 役割が限定 × 日数が少ない → 処遇はそれに合わせる
- 成果が見えにくい → “品質・教育・引き継ぎ”の達成で評価する
説明の順番(これだけで揉めにくい)
- お願いしたい役割(何を頼みたいか)
- 働き方(週何日・何時間・どの時間帯)
- 処遇(役割×日数に合わせて提示)
NG例:処遇(賃金)から先に出す
OK例:役割と働き方を決めてから、処遇を出す
よくある現場の工夫
- 「週2で教育専任」「午前だけで検品」など、役割を限定して戦力化する
- フルタイムが難しい場合は、繁忙期・月末・週末など必要な時間に集中してもらう
- 「責任の範囲」を明確にする(決裁者ではなく支援者、など)
ステップ4:評価はシンプルにする
評価制度を複雑にすると、運用で壊れます。特に中小企業は、ここで疲弊しがちです。
大事なのは、更新判断ができる最低限を作ることです。
おすすめの評価軸(例:3つだけ)
- 出勤(約束した日に安定して来られているか)
- 品質(ミス防止・チェック・安全面で貢献できているか)
- 引き継ぎ/教育(知識が現場に残る形になっているか)
運用のコツ
- 評価表はA4 1枚で十分(細かい点数化は不要)
- 「できていること」を言葉で残す(本人の安心につながる)
- 課題があるなら「次回までに何を整えるか」を決める(改善に変わる)
ポイント:評価は“裁く”ためではなく、“次の働き方を整える”ために使うと揉めにくいです。
ステップ5:コミュニケーションの型を作る
揉める会社ほど、話し合いが「思いつき」になっています。逆に、型がある会社は淡々と回ります。
最低限の面談の型(これだけでOK)
- 事前面談(60歳前):希望の確認、役割の方向性
- 更新面談(年1回など):働き方の継続・調整
- 配置面談(業務が変わる時):役割のすり合わせ
面談で聞く質問(そのまま使える)
- 「週何日・何時間なら続けられますか?」
- 「体力的に避けたい作業はありますか?」
- 「得意で任せてほしい役割は何ですか?」
- 「若手に残したいコツ(注意点)は何ですか?」
共有のルール(小さく決める)
- 面談の内容は、短いメモで共有(誰が見ても分かる)
- 決裁者(最終判断する人)を明確にする
- 現場に伝えるときは「役割」と「お願いする範囲」だけを簡潔に
一番大事なこと:「言った/言わない」を無くすこと。
型(面談)とメモ(記録)があるだけで、トラブルは激減します。
まとめ
中小企業が継続雇用を回すコツは、「仕事を役割に切り分け、処遇を役割×日数で説明できる形にする」ことです。
次のDay5では、今日から動けるように「何から手を付けるか」の優先順位をチェックリスト化してまとめます。
要約
- 対象者と時期を見える化すると、その場しのぎを防げる
- 仕事は「教える/守る/つなぐ」に切り分けると設計しやすい
- 処遇は“役割×日数”で説明すると揉めにくい
- 評価は3軸程度に絞り、更新判断ができれば十分
- 面談の型と記録を作るとトラブルが激減する
FAQ
Q1. うちの会社は仕事の種類が少ないです。それでも可能?
A. 可能です。「教育」「品質」「引き継ぎ」など“支える役割”は、どの業種にも出てきます。仕事を小さく分けるほど、運用がラクになります。
Q2. 定年の引上げにした方がラクですか?
A. 制度としてはシンプルですが、賃金や配置の見直し負担が出ることもあります。3つの選択肢から自社に合う形を選べます。
Q3. 70歳までの対応も同時にやるべき?
A. 70歳は一気にやらず、まず65歳までを固めるのが現実的です。余力が出たら段階的に検討しましょう。
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