一番トラブルが増えやすいのは価格交渉|「協議した」と言える状態の作り方

一番トラブルが増えやすいのは価格交渉|「協議した」と言える状態の作り方
はじめに
取適法が始まってから、現場で増えやすいのが「値上げ相談」「原価上昇の相談」「人手不足で単価を上げたい」といった話です。
ここで怖いのは、値上げに応じる/応じない以前に、“協議になっていない”扱いになることです。
発注側も受注側も、忙しい中でのやり取りになるほど、こんな流れが起きがちです。
- 受注側:「コストが上がっているので相談したい」
- 発注側:「いまは厳しい。検討します」
- (そのまま返信が止まる/結論だけが一方的に来る)
こうなると、当事者としては悪気がなくても、後から見て「協議したと言えるのか?」が焦点になりやすくなります。
Day2では、結論よりも“過程”を整えるためのコツを、発注側・受注側の両方の目線でまとめます。
本文
何が新しくNGになったのか
取適法で特に意識したいのは、受注側から価格協議を求められたのに、協議に応じずに一方的に代金を決めることが禁止された点です。
ここを短く言うと、
「相談が来たら、無視せず、材料を見て、理由を示して結論を出す」
これが“協議”の芯になります。
「協議」って、どこまでやればいい?
「協議」と聞くと、会議室で議事録を作って…と身構えがちですが、現場ではそこまで重く考えなくて大丈夫です。
答えはシンプルで、相手の話を受け止め、材料を見て、理由を示して結論を出すことです。
返信がない 先延ばし 理由の説明がない 材料を出さない
こうなると“協議になっていない”と見られやすくなります。
つまり、必要なのは「形式」よりも「中身」です。
たとえば、次の3点が残っていれば、後から見ても状況が説明しやすくなります。
- いつ相談が来て、いつ話し合ったか(日時)
- 何を材料にしたか(条件・前提・数字・事情など)
- なぜその結論になったか(理由)
堅い議事録がなくても、メール・チャット・簡単なメモで「過程」が追えるだけで、揉めにくさが大きく変わります。
要は、“後から説明できる状態”を作ることです。
発注側がやりがちな危ない対応
ここは「やりがち」なので、責める話ではありません。
忙しい現場ほど起きます。でも、起きやすいからこそ、先に潰す価値があります。
申し出を放置する(返事しない/既読スルー/先延ばし)
「今は忙しいから後で…」が積み重なると、結果的に協議の場が作れず、相手には“無視された”体験として残ります。
「無理」の一言で終わる(理由・代替案がない)
結論が同じでも、理由があるかないかで揉めやすさは大きく変わります。理由がないと「一方的」と受け取られやすくなります。
判断材料を出さずに押し切る(こちらの事情だけ)
発注量・納期・仕様・予算など、判断に使った材料が共有されないと、相手は納得のしようがありません。結果として対立が深くなります。
大事なのは、発注側が「勝つ」ことではなく、取引が続く形に整えることです。
値上げを全部受けられないときほど、「理由」と「代替案」が効きます。
受注側が通りやすくする出し方
受注側(中小企業・個人事業主・フリーランス)にとっては、「言い方」で損をしやすいのが価格交渉です。
ただ、難しい資料を作り込まなくても、次の3点を短く出すだけで、協議が前に進みやすくなります。
- 何が上がったか(材料費、人件費、外注費など)
- いくら上げたいか(希望)
- 代替案(仕様変更、納期調整、数量調整、段階的改定など)
これが揃うと、発注側は「判断」しやすくなります。
逆に、根拠も代替案もないと、発注側は“怖くて動けない”状態になり、話が止まりがちです。
「原材料が上がり、現状の単価だと赤字になりやすいです。
4月分から単価を10%改定できないか相談したいです。
もし難しければ、納期を1週間延ばす/仕様を一部簡略化などで調整も可能です。」
今日から使える“協議の型”
最後に、発注側・受注側それぞれが「今日から」使える型を置いておきます。
型があると、担当者ごとのばらつきが減り、トラブルも減ります。
発注側(委託する側)の型
- 申し出を受けたら、協議の場(日時)を確保する(先延ばしにしない)
- 判断材料を整理する(発注量、仕様、納期、予算、利益、代替手段)
- 結論と理由を短く出す(なぜその判断か)
- 代替案を添える(段階的改定、数量・仕様・納期の調整など)
- やり取りを残す(メール/チャット/メモでOK)
受注側(中小企業・個人事業主・フリーランス)の型
- 上がった要因を短く出す(ざっくり数字でOK)
- 希望単価と、可能なら最低ラインも添える
- 代替案を用意する(仕様変更、納期、数量、段階的改定)
- 協議の希望日を出す(「今週15分だけ」など小さく)
- 結論を文面で確認する(後で齟齬が出にくい)
取適法で一番ラクになる考え方はこれです。
「勝ち負けの交渉」ではなく、「条件調整の協議」に変える。
そのための道具が「理由」と「代替案」と「過程の記録」です。
まとめ+要約
- 取適法では「協議に応じない一方的な代金決定」が特にリスクになりやすい
- 重要なのは結論よりも“過程が説明できること”
- 発注側は放置・理由なし拒否が危ない。受注側は根拠+代替案が強い
FAQ(3問)
Q1. 何回協議すれば「協議した」ことになりますか?
A. 回数よりも中身です。相手の申し出を無視せず、材料を見て、理由と結論を示すことが大切です。 メールやチャットで過程が追えるだけでも、揉めにくさは大きく変わります。
Q2. 価格の根拠って、どのくらい細かく必要?
A. 完璧な原価表でなくても、上がった要因と影響を説明できれば前に進みます。 重要なのは「説明と材料があること」です。難しいときは、上がった項目を3つに絞って短く出すだけでも効果があります。
Q3. 協議がこじれて、取引が切られそうで怖い
A. だからこそ「代替案」をセットで出すのが有効です。 対立を“条件調整”に変えられると、感情のぶつかり合いが減り、関係も守りやすくなります。
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