「言った言わない」「追加作業タダ」を減らす|取適法時代の発注・受注の整え方

「言った言わない」「追加作業タダ」を減らす|取適法時代の発注・受注の整え方

※本記事は、2026年1月1日施行の「中小受託取引適正化法(取適法)」を前提に、現場で起きやすい「曖昧な運用」から生まれるトラブルを減らすための整理です。 最終的な判断は、取引の形や相手の規模、個別事情で変わります。

はじめに

取適法で目立つのは、悪意ある違反だけではありません。
むしろ多いのは、口頭・チャット・曖昧な仕様のまま進むことで、後から「無理が受注側に寄る」パターンです。

たとえば、こんな場面はありませんか。

  • 発注側:「ちょっとだけ直しておいて」
  • 受注側:(これ、追加作業だけど言いづらい…)
  • 結果:納期が遅れる/やり直しが増える/利益が消える

取適法は、こうした「気づいたら受注側に負担が偏る」状態を減らす考え方に立っています。
Day4では、難しい契約書づくりではなく、最小限の言葉(短い文章)で整える方法を紹介します。

本文

揉めやすいのはこの3つ(仕様・検収・追加)

取引がこじれるとき、原因は「人」ではなく「曖昧さ」であることが多いです。
特に揉めやすいのは、次の3つです。

① 仕様

仕様が途中で変わる(でも金額は同じのまま)

「これもお願い」「ついでにここも」が積み重なると、受注側の工数(作業時間)が膨らみ、利益が消えやすくなります。

② 検収

検収(OK/NG)が曖昧で、やり直しが終わらない

「どこまで直せばOKか」が見えないと、受注側は“終わらない仕事”になりやすく、発注側も納品が遅れて困ります。

③ 追加

「ついでにこれも」が増えて、無償が常態化

小さな追加ほど言い出しにくく、積み重なると「無料が当たり前」の空気になります。後で大きな揉め事になりやすい典型です。

注意:ここが曖昧だと、悪気がなくても「受注側に不当な負担が寄る」形になりやすいです。
取適法の文脈では、こうした“偏り”が問題視されやすくなるので、早めに整えるほどラクになります。

“少ない文章”で整える方法

「契約書を完璧に作らないと…」と思うと止まってしまいます。
でも実務では、まず短い文章を3つ置くだけで、揉めにくさが一気に上がります。

最小3点セット(これだけでOK)

  • 範囲:どこまでやるか(成果物・作業範囲)
  • 変更:変わったら追加相談(追加費用や納期の再調整)
  • 検収:OKの基準と期限(いつまでに何をもって完了か)

ここで大事なのは、細かい法律用語ではなく、現場で同じ絵が見える言葉にすることです。
「誰が読んでも同じ意味になる文章」があるだけで、ほとんどのトラブルは未然に減ります。

例:範囲

例文(そのまま使えます)

本件の成果物は「A(●●)の作成」とし、含まれる作業は「B(●●)」までとします。

例:変更

例文(そのまま使えます)

仕様・納期・成果物が変更になる場合は、追加作業となるため、費用または納期を再協議します。

例:検収

例文(そのまま使えます)

納品後●日以内に確認いただき、修正点は一度にまとめてご連絡ください。期限までに連絡がない場合は検収完了とします。

発注側が安全になる一言テンプレ

発注側は、「追加を頼むこと」自体が悪いわけではありません。
問題になるのは、追加を追加として扱わず、受注側に黙って負担を背負わせてしまう形です。

仕様変更や追加依頼のときは、次の一言だけで揉めにくくなります。

発注側:安全になる一言

それは追加になるので、費用(または納期)を一度相談させてください

コツ:この一言が言えると、受注側は「言い出していいんだ」と感じます。
結果として、納期遅延・品質低下・不満の蓄積が減り、長期的に発注側も得をします。

受注側が自分を守る一言テンプレ

受注側は、追加費用の話をすると「面倒な人と思われそう」で言えなくなることがあります。
でも、追加を無料で抱え続けると、結局は品質や納期に影響が出て、関係が壊れやすくなります。

断るより先に、こう返すと角が立ちにくいです。

受注側:自分を守る一言

追加作業になるので、金額(または納期)を調整してもよいですか?

この言い方は「嫌です」ではなく「条件調整」に変わるので、対立になりにくいです。
取適法時代は、こうした“条件を整える言葉”を持っている人ほど強いです。

今日からできる小さな整え方(両者共通)

  • 追加依頼が出たら、まず「追加相談」に切り替える(費用 or 納期)
  • 修正依頼は「一度にまとめて」もらう(無限ループを防ぐ)
  • 範囲・変更・検収の3点を、メールやチャットの冒頭に固定する

まとめの一言:
取適法対応は「ルールを守るため」だけではなく、取引を長く続けるための土台づくりです。
曖昧さを減らすほど、発注側も受注側もラクになります。

まとめ+要約

  • 取適法時代は「曖昧運用」が一番事故りやすい
  • 仕様・検収・追加作業の3点を短く残すだけで揉めにくくなる
  • 追加依頼は“追加相談”に切り分ける一言テンプレが効く

FAQ(3問)

Q1. チャット発注でも大丈夫?

A. 大事なのは「後から見て条件が分かる」ことです。 チャットでも、範囲・金額・納期・変更ルール(追加相談の扱い)が追える形で残っていれば、実務は回しやすくなります。 逆に、口頭だけ・断片的なチャットだけだと「言った言わない」が起きやすいので、要点だけはまとめて残すのがおすすめです。

Q2. “追加費用の話”をすると嫌がられます

A. 追加を追加として扱わない方が、後で関係が壊れます。 「追加になるので、費用(または納期)を相談させてください」と“条件調整”の形にすると、感情の衝突が減ります。 テンプレ化しておくと、毎回の言いにくさも下がります。

Q3. フリーランスも取適法の影響がありますか?

A. 取引の形や基準に当たれば影響があります。 フリーランスでも、相手が発注側としての基準に当たる場合は、支払い・価格交渉・不当な負担の押し付けといった点で影響を受けます。 まずは「範囲・変更・検収」を短く残すところから始めると、すぐ効果が出ます。

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