はじめに

ここまでで、物流効率化法改正の全体像と、現場で見直すべきポイントは見えてきたと思います。
Day4では、2026年4月から始まる「義務」の中身を、経営者目線で分かりやすく整理します。

2025年度は「努力義務」の段階でした。
一方、2026年4月からは、一定規模以上の事業者に対して、計画づくりや報告など、より具体的な対応が求められる流れになります。

言いかえると、2026年4月からは、
「現場で頑張る」だけでなく、「会社として責任を持って進める」段階に入るということです。

目次

  • 特定荷主とは何か
  • CLOとは何をする人か
  • 中長期計画と定期報告の考え方
  • 経営者が今やるべき準備

本文

特定荷主とは何か

2026年4月以降の義務は、すべての企業に一律でかかるわけではありません。
一定規模以上の企業が「特定事業者」として対象になり、その中に「特定荷主」という区分があります。

ここで大事なのは、
対象企業だけの話で終わらないという点です。

特定荷主になる企業は、物流の実態を把握し、改善方針を立て、進捗を説明できる状態が求められます。
すると現場では、取引先や委託先にも協力が必要になります。

たとえば、次のようなことが起こりやすくなります。

  • 納品条件や受け入れ時間帯の見直し
  • 予約制や受付ルールの整備
  • 発注ロットや納品回数の集約
  • 荷姿やパレット利用の見直し

つまり、自社が特定荷主に該当しない場合でも、
取引先が対象なら、現場の運用変更が発生する可能性があります。
この点を理解しておくだけでも、社内調整のスピードが変わります。

CLOとは何をする人か

CLOは「物流統括管理者」のことです。
一定規模以上の荷主や連鎖化事業者などでは、2026年4月以降、CLOの選任が求められる流れになります。

CLOと聞くと、「物流部門の責任者を置けばいいのでは?」と思うかもしれません。
ただ、ここで求められているのは、単なる“現場の責任者”ではなく、
会社全体として物流を前に進めるための統括役です。

なぜなら、物流の改善は、物流部門だけでは決められないことが多いからです。
発注の締め時間、納品頻度、在庫の持ち方、検品ルール、受け入れ体制。
これらは営業・購買・生産・在庫管理・現場など、複数部門が関わります。

CLOの役割を、イメージしやすく言い換えると次の通りです。

  • 物流を「現場任せ」にせず、会社として優先順位を付ける
  • 部門をまたぐ調整を前に進める
  • 改善の方針を決め、進捗を追い、必要な手を打つ

つまりCLOは、名札だけの役職ではなく、
物流を経営のテーマとして動かす責任者だと考えると分かりやすいです。

中長期計画と定期報告の考え方

2026年4月以降、特定事業者には「中長期計画の作成」や「定期報告」などが求められる流れになります。

難しく感じるかもしれませんが、考え方はシンプルです。

  • 中長期計画:これから何をどう改善するか(道筋を決める)
  • 定期報告:どこまで進んだか(状況を振り返る)

ポイントは、“やっているつもり”をなくすことです。
物流は、忙しい現場ほど属人化しやすく、改善が場当たり的になりやすい分野です。

計画と報告が求められることで、
改善は「気合い」ではなく、「継続して回る仕組み」になっていきます。

そして、計画と報告が必要になるほど、
現場だけでなく経営判断(投資・人員・ルール変更)が必要な場面も増えます。
だからこそCLOのような統括役が重要になります。

経営者が今やるべき準備

「結局、今から何をしておけばいいのか?」
ここが一番大事なので、4つに絞って整理します。

1. 自社が対象になりそうか、ざっくり確認する

まずは、自社(または主要取引先)が、一定規模以上に当たりそうかを把握します。
判断が難しい場合でも、荷量・出荷頻度・物流委託状況を棚卸しするだけで、次の打ち手が見えてきます。

2. 物流の実態を見える化する

荷待ち、荷役、納品頻度、発注ロット、混雑時間帯。
このあたりを“現場の感覚”でなく、“事実”として把握できるようにします。

最初は完璧でなくて構いません。
「どこで時間が止まっているか」が見えるだけでも、改善の優先順位が付けやすくなります。

3. 部門横断で話せる体制を作る

物流改善は、部門間の利害がぶつかりやすいテーマです。
たとえば、営業は小口でも届けたい、現場はまとめて処理したい。
購買は欠品を避けたい、倉庫は保管を増やしたくない。

この状態のままだと、改善は進みません。
だからこそ、経営者が主導して「話せる場」を作ることが重要です。

4. 取引先との会話を先に始める

制度対応が進むほど、取引先から「納品条件を見直したい」という相談が増えやすくなります。
その時に突然対応すると、現場が混乱しやすいです。

今のうちから、次のようなテーマで会話を始めておくとスムーズです。

  • 納品時間帯の分散はできるか
  • 予約制にする場合、どう運用するか
  • 荷姿やパレットのルールをどうそろえるか
  • 発注・納品をまとめられる範囲はどこか

「制度があるから」ではなく、
お互いの現場をラクにするためにという目的で話すと、合意が取りやすくなります。

まとめ+要約

2025年度は努力義務の段階でしたが、2026年4月からは、一定規模以上の事業者に対して、
計画づくりや報告、体制整備など、より具体的な義務が求められる流れになります。

特定荷主などの対象企業は、取引先も巻き込んで運用を見直す必要が出やすいため、
中小企業や一般荷主でも無関係ではありません。

CLOは、物流を「現場任せ」にせず、部門をまたいで改善を進める統括役です。
中長期計画と定期報告は、改善を継続して回すための仕組みと考えると分かりやすいです。

今からできる準備は、
対象の可能性の確認見える化部門横断の体制づくり取引先との対話の4つです。

FAQ

Q1. CLOは誰を選べばいいですか?

CLOは、物流部門だけの責任者というより、部門をまたいで調整し、会社として物流改善を進める統括役です。
そのため、権限と調整力があり、経営判断につなげられる立場の人が適しています。

Q2. 中長期計画は、どのくらい細かく作る必要がありますか?

最初から完璧である必要はありません。
大切なのは、「何を」「どの順番で」「どこまで改善するか」を、会社として説明できる形にすることです。
現場の見える化とセットで進めると作りやすくなります。

Q3. 自社が特定荷主でなくても、準備は必要ですか?

必要です。取引先が対象になると、納品条件や受け入れ方法の見直しが進みやすく、
自社の運用にも影響が出る可能性があります。
「知らなかった」状態を避けるだけでも、現場の混乱は減らせます。

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