改正物流効率化法にどう対応する?中小運送業の実践事例から学ぶ最初の一歩

はじめに
改正物流効率化法への対応と聞くと、
「大きな会社の話では?」
「うちのような小さな運送会社には難しい」
「何をすれば正解なのかわからない」
そう感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際に大切なのは、最初から完璧な仕組みを作ることではありません。
まずは、自社の現場で起きている問題を見つけ、小さく改善を始めることです。
この記事では、中小運送業で起こりやすいケースをもとに、改正物流効率化法への対応をどのように進めればよいのかをわかりやすく解説します。
目次
- 対応が遅れた会社に起きたこと
- 小さく始めた会社が変わった理由
- 事例1:待機時間を記録しただけで見えた問題
- 事例2:採算の悪い仕事を見直した会社
- 事例3:ドライバーの声を集めた会社
- 実践するときの注意点
- まとめ+要約
- FAQ
対応が遅れた会社に起きたこと
ある中小運送会社では、長年同じ荷主から仕事を受けていました。
社長は、
「昔からの付き合いだから」
「多少ムリをしても仕事があるだけありがたい」
そう考えていました。
しかし、現場では少しずつ問題が積み重なっていました。
- 納品先で毎回1時間以上待つ
- 荷卸し作業に時間がかかる
- 時間指定が厳しく、休憩が取りにくい
- 燃料費や人件費が上がっても運賃は変わらない
ドライバーからは不満の声も出ていました。
それでも会社として記録を取っていなかったため、荷主に具体的な相談ができませんでした。
「待ち時間が長いです」と言っても、どの現場で、どれくらい待っているのかを説明できなかったのです。
その結果、改善の話し合いは進まず、ドライバーの負担だけが増えていきました。
このような状態は、決して特別な話ではありません。
多くの中小運送業で起きている現実です。
小さく始めた会社が変わった理由
一方で、別の会社では、最初から大きな改革をしようとはしませんでした。
まず始めたのは、とても小さなことです。
「待機時間を記録する」
ただそれだけでした。
ドライバーに協力してもらい、納品先ごとに待機時間を簡単にメモしてもらいました。
- 到着時間
- 作業開始時間
- 作業終了時間
- 待機が発生した理由
最初は面倒に感じるドライバーもいました。
しかし、記録を続けるうちに、あることが見えてきました。
特定の納品先で、毎週同じ時間帯に待機が発生していたのです。
そこで会社は、その記録をもとに元請けへ相談しました。
感情的に「困っています」と伝えるのではなく、
「この曜日のこの時間帯に、平均でこれくらい待機が発生しています」
と事実をもとに伝えました。
すると、納品時間の調整や受付方法の見直しについて、話し合いができるようになりました。
大きな設備投資をしたわけではありません。
特別なシステムを入れたわけでもありません。
小さな記録から、改善のきっかけを作ったのです。
事例1:待機時間を記録しただけで見えた問題
物流効率化の第一歩は、現場の時間を見える化することです。
特に重要なのが、待機時間です。
待機時間は、会社にとって大きな損失になります。
なぜなら、車両もドライバーも動いていないのに、時間だけが過ぎていくからです。
しかし、記録がなければ、その損失は見えません。
「なんとなく待ち時間が長い」
という感覚だけでは、改善の話し合いは進みにくいのです。
そこで、まずは次のような項目を記録します。
- 荷主名
- 納品先
- 到着時間
- 受付時間
- 作業開始時間
- 作業終了時間
- 待機時間
この記録を1週間、2週間、1か月と続けるだけで、問題のある現場が見えてきます。
たとえば、
- 特定の曜日だけ待機が長い
- 午前中に車両が集中している
- 受付の順番待ちで時間がかかっている
- 荷卸し作業の人員が足りていない
といった原因が見えてくることがあります。
ここまで見えると、荷主や元請けに対しても、具体的な相談がしやすくなります。
事例2:採算の悪い仕事を見直した会社
別の会社では、長年続けていた仕事を見直したことで、経営の負担が軽くなりました。
その会社では、売上だけを見ると悪くない仕事がありました。
しかし、詳しく確認してみると、実際には利益がほとんど残っていませんでした。
理由は、次のようなものでした。
- 待機時間が長い
- 荷役作業に時間がかかる
- 距離のわりに運賃が低い
- 帰り荷がなく空車回送が多い
- ドライバーの拘束時間が長い
つまり、売上はあっても、時間と人手を大きく使っていたのです。
そこで会社は、仕事ごとに簡単な採算確認を始めました。
- 運賃
- 走行距離
- 拘束時間
- 待機時間
- 燃料費
- 高速代
- 人件費
細かく完璧に計算する必要はありません。
まずは、「利益が出やすい仕事」と「負担が大きい仕事」を分けるだけでも十分です。
その結果、会社は採算の悪い仕事について、条件の見直しを相談しました。
すぐにすべてが改善したわけではありません。
しかし、少なくとも会社として「どの仕事が苦しいのか」を把握できるようになりました。
これは、経営を守るうえで大きな前進です。
事例3:ドライバーの声を集めた会社
改正物流効率化法への対応では、現場の声を集めることも重要です。
なぜなら、実際に現場で何が起きているかを一番知っているのは、ドライバーだからです。
ある会社では、月に1回、短い時間だけドライバーから話を聞く場を作りました。
難しい会議ではありません。
聞いた内容は、次のようなものです。
- 待ち時間が長い現場はどこか
- 荷積み・荷卸しで困っていることはあるか
- 危ないと感じる作業はないか
- 時間指定で無理が出ていないか
- 改善できそうなことはあるか
すると、経営者が知らなかった問題がいくつも出てきました。
たとえば、
- 受付場所がわかりにくく毎回時間がかかる
- 荷卸し場所に車両が集中している
- 現場ごとにルールが違い、作業前に迷う
- 荷役作業の段取りが悪く待たされる
こうした情報は、現場に行かないとわかりません。
ドライバーの声を集めることで、改善すべきポイントが具体的になります。
また、ドライバーにとっても、会社が現場の声を聞いてくれることは安心につながります。
人手不足が続く中で、ドライバーが働き続けたいと思える環境を作ることは、とても重要です。
実践するときの注意点
改正物流効率化法への対応を進めるとき、注意したいことがあります。
それは、最初から完璧を目指さないことです。
完璧な記録表を作ろうとしたり、高額なシステムを入れようとしたりすると、かえって続かなくなることがあります。
最初は、簡単で構いません。
- 紙のメモ
- スマートフォンのメモ
- 表計算ソフト
- 簡単な日報
続けやすい方法を選ぶことが大切です。
また、ドライバーに記録をお願いする場合は、目的をきちんと伝えましょう。
「管理を厳しくするため」ではなく、
「現場の負担を減らすため」
「取引先と話し合う材料を作るため」
「会社とドライバーを守るため」
という目的を伝えることで、協力を得やすくなります。
まとめ+要約
改正物流効率化法への対応は、大企業だけの話ではありません。
中小零細の運送会社にとっても、これからの取引や経営を守るために必要な取り組みです。
重要なのは、最初から大きな改革をしようとしないことです。
まずは、次のような小さな一歩から始めることができます。
- 待機時間を記録する
- 荷役時間を確認する
- 採算の悪い仕事を見つける
- ドライバーの声を集める
- 荷主や元請けに伝える材料を整理する
感覚ではなく、事実をもとに動くこと。
これが、これからの物流業界で会社を守る大切な力になります。
今すぐ完璧にできなくても大丈夫です。
まずは、1つの現場、1つの取引先、1つの記録から始めてみましょう。
FAQ
Q1. 記録はどこまで細かく取る必要がありますか?
A. 最初から細かく取りすぎる必要はありません。まずは、到着時間、作業開始時間、作業終了時間、待機時間など、現場の負担が見える項目から始めるのがおすすめです。
Q2. ドライバーが記録を面倒に感じそうです
A. 目的を伝えることが大切です。管理を強めるためではなく、現場の負担を減らし、取引先と話し合う材料を作るためだと説明すると、協力を得やすくなります。
Q3. 荷主や元請けに改善を相談するタイミングはいつですか?
A. ある程度の記録が集まり、具体的な待機時間や問題点が見えてきたタイミングがよいでしょう。感情ではなく、事実をもとに相談することが大切です。
📩 自社の待機時間や取引条件をどう見直せばよいかわからない方は、LINEで相談するからお気軽にご相談ください。