家族を困らせないために今できる相続・贈与の整え方

相続 贈与 準備/生前整理 お金/遺言書 家族/親の相続 対策

はじめに

相続や贈与の準備というと、「難しそう」「専門家に頼まないとできない」と感じる方が多いかもしれません。

でも、最初から大きな対策をする必要はありません。

家族を困らせないために大切なのは、
「見えるようにする」
「伝わるようにする」
「相談できるようにする」
この3つです。

この回では、高齢の方も、その子や孫も取り組みやすい、現実的な準備をお伝えします。

1. 相続準備は“分け方”より“見える化”から

相続準備というと、「誰に何を渡すか」を決めることだと思われがちです。

もちろん、それも大切です。

しかし、最初の一歩は分け方ではなく、見える化です。

  • 預金口座
  • 保険
  • 不動産
  • 年金
  • 借入れ
  • クレジットカード
  • 公共料金
  • スマートフォンやインターネット契約
  • 相談先

これらを一覧にしておくと、家族は手続きの入口で迷わずに済みます。

細かい金額まで書けなくても大丈夫です。
まずは「どこに何があるか」がわかることが大切です。

2. 贈与を考える前に確認したいこと

生前に子や孫へ財産を渡すことを、贈与といいます。

ただし、贈与は「渡せば終わり」ではありません。税金のルールが関係する場合があります。

贈与税には、暦年課税や相続時精算課税などの制度があります。2024年からは相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が設けられるなど、制度の見直しが行われています。

ここで大切なのは、「得をしそうだから贈与する」と急がないことです。

贈与は、税金だけでなく、家族関係にも影響します。

ある子には渡した。
別の子には渡していない。
孫には渡したが、親である子には話していない。

こうしたことが、あとで不公平感につながることがあります。

贈与を考えるときは、金額だけでなく、家族が納得しやすい形かどうかも考える必要があります。

3. 遺言書を考えた方がよい家庭

遺言書は、お金持ちだけが作るものではありません。

次のような場合は、遺言書を考えておくと安心です。

  • 不動産がある
  • 子どもが複数いる
  • 再婚している
  • 前の配偶者との子どもがいる
  • 特定の人に多く残したい
  • 家業や事業を引き継ぐ人がいる
  • 家族同士の関係に不安がある
  • 介護をしてくれた人に気持ちを残したい

遺言書がない場合、相続人同士で話し合いをする必要があります。
仲が良い家族でも、お金や家の話になると気持ちがすれ違うことがあります。

遺言書は、家族への最後の命令ではありません。
自分の気持ちを伝え、家族が迷わないようにするための手紙でもあります。

4. 法務局で遺言書を保管する制度

自分で書く遺言書は、手軽に作れる一方で、紛失や改ざん、発見されないといった心配があります。

その対策として、法務局で自筆証書遺言を保管する制度があります。法務省によると、この制度は2020年7月10日から始まり、自筆証書遺言の紛失や改ざんなどの問題を防ぐために設けられています。

ただし、遺言書は書き方を間違えると、思った通りに使えないことがあります。

「自分で書けば大丈夫」と思い込まず、必要に応じて専門家に確認してもらうと安心です。

5. 家族で準備を進める順番

相続・贈与の準備は、次の順番で進めると取り組みやすくなります。

第1段階:情報を集める

通帳、保険、不動産、借入れ、契約関係を確認します。

第2段階:一覧にする

どこに何があるかを紙やノートにまとめます。

第3段階:希望を書く

誰に何を伝えたいか、家をどうしてほしいか、葬儀や供養の希望があるかを書きます。

第4段階:家族に保管場所を伝える

内容をすべて話せなくても、必要なときに見つけられる場所を伝えます。

第5段階:専門家に相談する

不動産、贈与、遺言書、借金、家族関係が複雑な場合は、早めに相談します。

相続準備は、一度で完璧にするものではありません。
少しずつ整えていくものです。

まとめ+要約

家族を困らせない相続・贈与の準備は、まず情報を見える化することから始まります。
預金、保険、不動産、借入れ、契約関係、相談先を一覧にしておくことで、残された家族の負担は大きく減ります。

贈与は税金の制度だけでなく、家族の納得感も大切です。
遺言書は財産が多い人だけのものではなく、家族が迷わないための大切な手段です。

完璧を目指す必要はありません。
まずは、家族が必要な情報にたどり着ける状態を作りましょう。

FAQ

Q1. 贈与は早く始めた方が得ですか?

一概には言えません。税金の制度、家族関係、将来の生活費などを考える必要があります。自己判断で進める前に、状況に合った相談をすることが大切です。

Q2. 遺言書は自分で書いても大丈夫ですか?

自分で書くことはできます。ただし、書き方に決まりがあり、内容によっては思った通りに使えないことがあります。不安がある場合は専門家に確認してもらうと安心です。

Q3. 家族に財産の内容を全部知らせたくありません。

全部を知らせる必要はありません。ただし、必要なときに確認できるよう、書類の保管場所や相談先だけでも伝えておくと、家族の負担を減らせます。

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