改正物流効率化法に対応するための実践ステップ|中小運送業が今やるべき改善策

はじめに
ここまでの記事では、改正物流効率化法の基本や、対応が遅れる理由、そして実践事例を見てきました。
Day4では、より具体的に「何をどう進めればよいのか」を整理します。
とはいえ、難しく考える必要はありません。
中小零細の運送会社が最初にやるべきことは、大きな改革ではなく、現場で起きているムダを見つけて、少しずつ改善することです。
大切なのは、
- 現状を見える化する
- 改善する順番を決める
- 取引先と話し合う準備をする
この3つです。
この記事では、中小運送業が今日から使える実践ステップを、できるだけわかりやすく解説します。
目次
- 対応は「全部一気に」ではなく「順番」が大切
- ステップ1:待機時間を記録する
- ステップ2:荷役時間を確認する
- ステップ3:採算が悪い仕事を見つける
- ステップ4:改善できる取引先を選ぶ
- ステップ5:荷主・元請けに相談する
- 社内で続けるための工夫
- まとめ+要約
- FAQ
対応は「全部一気に」ではなく「順番」が大切
改正物流効率化法への対応というと、
「すべての業務を見直さなければいけない」
「大きなシステムを入れないといけない」
「専門家でないと対応できない」
と思ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、中小運送業が最初からすべてを完璧に進めるのは現実的ではありません。
むしろ大切なのは、改善の順番を決めることです。
たとえば、次のような順番で考えると取り組みやすくなります。
- まずは待機時間を見る
- 次に荷役時間を見る
- そのうえで採算を確認する
- 改善しやすい取引先から相談する
このように進めることで、現場にも社内にも負担をかけすぎずに対応できます。
大切なのは、「できるところから始める」ことです。
ステップ1:待機時間を記録する
最初に取り組みたいのが、待機時間の記録です。
待機時間は、物流現場で特に見落とされやすいムダのひとつです。
車両もドライバーも現場にいるのに、作業が始まらない。
その時間は、会社にとって大きな負担になります。
まずは、次の項目を記録してみましょう。
- 日付
- 荷主名
- 納品先
- 到着時間
- 受付時間
- 作業開始時間
- 作業終了時間
- 待機時間
最初から完璧な記録でなくても構いません。
紙のメモでも、スマートフォンでも、表計算ソフトでも大丈夫です。
重要なのは、感覚ではなく数字で見えるようにすることです。
たとえば、
- 毎週月曜日の午前中に待機が長い
- 特定の納品先だけ待機が多い
- 受付から作業開始までに時間がかかっている
こうした傾向が見えると、改善の相談がしやすくなります。
ステップ2:荷役時間を確認する
次に確認したいのが、荷役時間です。
荷役とは、荷物の積み込みや荷卸しに関わる作業のことです。
この時間が長くなると、ドライバーの拘束時間が増え、次の運行にも影響します。
特に注意したいのは、次のようなケースです。
- 荷卸しの順番待ちが長い
- 手作業が多く時間がかかる
- 現場ごとにルールが違う
- 荷姿がバラバラで作業しにくい
- フォークリフトや作業員の手配が不足している
荷役時間が長い場合、運送会社だけで解決できないこともあります。
だからこそ、記録が大切です。
「この現場では、荷卸しに平均でこれくらい時間がかかっています」
「この作業があるため、次の運行に影響しています」
このように伝えられると、荷主や元請けも状況を理解しやすくなります。
ステップ3:採算が悪い仕事を見つける
次に必要なのが、仕事ごとの採算確認です。
売上だけを見ると良い仕事に見えても、実際には利益が残っていないことがあります。
たとえば、次のような仕事です。
- 待機時間が長い
- 荷役作業が重い
- 走行距離が長い
- 帰り荷がない
- 高速代や燃料費がかかる
- 拘束時間が長い
こうした仕事は、売上があっても会社の体力を削っている可能性があります。
採算を見るときは、細かく完璧に計算する必要はありません。
まずは、次のような項目を確認してみましょう。
- 運賃
- 走行距離
- 拘束時間
- 待機時間
- 荷役時間
- 燃料費
- 高速代
- 人件費
この中で、特に負担が大きい仕事を見つけることが第一歩です。
「この仕事は売上があるけれど、時間がかかりすぎている」
「この案件は距離のわりに運賃が低い」
「この取引先は待機時間が長く、他の仕事に影響している」
このように整理できると、見直すべき仕事が見えてきます。
ステップ4:改善できる取引先を選ぶ
すべての取引先に一度に改善をお願いするのは、現実的ではありません。
まずは、改善しやすい取引先を選ぶことが大切です。
選ぶ基準は、次のようなものです。
- 待機時間が特に長い
- 荷役時間が長く、負担が大きい
- 話し合いの余地がある
- 長く取引を続けたい
- 改善すれば効果が大きい
ここで大切なのは、「文句を言う相手」を選ぶのではなく、「一緒に改善できそうな相手」を選ぶことです。
取引先にとっても、物流の安定は重要な課題です。
運送会社側が現場の状況を整理して伝えることで、取引先も改善を考えやすくなります。
まずは1社、1現場、1つの問題からで構いません。
小さく始めることが、長く続けるコツです。
ステップ5:荷主・元請けに相談する
改善したい取引先が決まったら、次は相談の準備です。
このとき大切なのは、感情ではなく事実で伝えることです。
たとえば、次のように整理します。
- どの現場で問題が起きているか
- どれくらい待機時間が発生しているか
- どの作業に時間がかかっているか
- どの運行に影響が出ているか
- どう改善できそうか
伝え方の例は、次のような形です。
「この納品先では、直近1か月で平均して待機時間が長くなっています。特に午前中に車両が集中しているようです。受付時間や納品時間を少し分散できると、当社としても安定して対応しやすくなります。」
このように伝えると、相手を責める印象が弱くなります。
ポイントは、
- 相手を責めない
- 数字や事実を示す
- 一緒に改善したい姿勢を見せる
- 具体的な提案をする
ことです。
取引先との関係を壊すためではなく、長く取引を続けるための相談として進めましょう。
社内で続けるための工夫
改善活動は、始めることよりも続けることが大切です。
最初はやる気があっても、日々の忙しさの中で記録や確認が止まってしまうことがあります。
続けるためには、仕組みを簡単にすることが重要です。
たとえば、次のような工夫があります。
- 記録項目を増やしすぎない
- ドライバーが書きやすい形式にする
- 毎週1回だけ確認する時間を作る
- 改善できたことを社内で共有する
- ドライバーの負担が減った事例を伝える
特に大切なのは、記録の目的を共有することです。
ドライバーにとって、記録が単なる面倒な作業に見えてしまうと続きません。
「現場の負担を減らすため」
「無理な運行を減らすため」
「会社とドライバーを守るため」
このように目的を伝えることで、協力を得やすくなります。
また、改善できたことがあれば、小さなことでも共有しましょう。
「この現場の待機時間が少し減った」
「荷主との話し合いが進んだ」
「ドライバーの拘束時間が短くなった」
こうした変化を共有することで、社内の意識も少しずつ変わっていきます。
まとめ+要約
改正物流効率化法への対応は、特別なことから始める必要はありません。
中小運送業がまず取り組むべきことは、現場のムダを見える化し、改善の順番を決めることです。
具体的には、次の5つのステップで進めると取り組みやすくなります。
- 待機時間を記録する
- 荷役時間を確認する
- 採算が悪い仕事を見つける
- 改善できる取引先を選ぶ
- 荷主・元請けに相談する
大切なのは、完璧を目指すことではありません。
まずは1つの現場、1つの取引先、1つの記録から始めることです。
小さな改善を積み重ねることで、会社の利益を守り、ドライバーの負担を減らし、取引先から信頼される会社に近づいていきます。
FAQ
Q1. 待機時間や荷役時間は毎日記録しないといけませんか?
A. 最初からすべてを毎日完璧に記録する必要はありません。まずは、待機が多い現場や負担が大きい取引先から始めるのがおすすめです。
Q2. 荷主や元請けに改善を相談するとき、何を準備すればよいですか?
A. 待機時間、荷役時間、発生している問題、改善案を簡単に整理しておくと話し合いやすくなります。感情ではなく、事実をもとに伝えることが大切です。
Q3. 社内で改善活動を続けるコツはありますか?
A. 記録項目を増やしすぎないこと、目的をドライバーに伝えること、改善できたことを社内で共有することが大切です。続けやすい形にすることが成功のポイントです。
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