フリーランスにも安全配慮が必要?中小企業が見落としやすい法改正のポイント

フリーランスにも安全配慮が必要?中小企業が見落としやすい法改正のポイント

はじめに

中小企業の現場では、外部の個人事業主に仕事をお願いすることが珍しくありません。

「いつもの職人さんだから大丈夫」
「ベテランだから細かく言わなくてもわかる」
「本人もプロだから、安全管理は自己責任」

そう考えたくなる気持ちは自然です。

しかし、事故は「慣れている人」でも起こります。むしろ、慣れているからこそ確認を省略してしまうこともあります。

労働安全衛生法の改正では、労働者と同じ場所で働く個人事業者等を保護対象に位置づけ、注文者等や個人事業者等自身が講ずべき措置を定めています。

この記事では、なぜフリーランスや個人事業主にも安全配慮が必要になるのかを、経営者目線でわかりやすく解説します。

「自己責任」だけでは済まされにくくなる理由

フリーランスや個人事業主は、会社に雇われている労働者とは立場が違います。

そのため、これまでは「自分で仕事を請けているのだから、安全も本人の責任」と考えられることが多くありました。

しかし、実際の現場ではそう単純ではありません。

たとえば、発注者が作業場所を指定している。
作業の順番を現場管理者が決めている。
危険な場所への立入りを会社側が管理している。
使用する設備や機械が発注者側のもの。
複数の業者が同じ場所で同時に作業している。

このような場合、個人事業主だけで危険を完全に避けることは難しくなります。

だからこそ、今回の改正では、労働者と同じ場所で働く個人事業者等について、注文者等や個人事業者等自身が講ずべき措置が定められました。

現場で起こりやすい危険の例

中小企業が特に注意したいのは、「日常業務の中にある危険」です。

大きな工場や建設現場だけが対象ではありません。小さな事務所、店舗、倉庫、作業場でも事故は起こります。

たとえば、次のような危険があります。

  • 脚立からの転落
  • 濡れた床での転倒
  • フォークリフトや車両との接触
  • 重い荷物による腰痛
  • 電動工具によるけが
  • 熱中症
  • 換気不足による体調不良
  • 有害物質や粉じんへのばく露
  • 狭い場所での作業中の事故
  • 複数業者の作業が重なることによる接触事故

これらは、どれも「少し注意していれば防げたかもしれない」と後から言われやすい事故です。

そして、この「少し注意していれば」が、会社の安全管理として問われることがあります。

発注者・作業場所の管理者に求められる視点

発注者や作業場所の管理者に求められるのは、すべてを完璧に管理することではありません。

まず必要なのは、「危険を知っている側が、知らない人に伝える」という姿勢です。

たとえば、現場の床が滑りやすいなら、事前に伝える。
立入禁止区域があるなら、明確に表示する。
機械の近くで作業するなら、近づいてはいけない範囲を説明する。
複数業者が入るなら、作業時間や動線を調整する。
緊急時の連絡先を共有する。

こうした対応は、難しい制度づくりではなく、現場の一言から始められます。

「今日はこの場所で別業者が作業しています」
「この通路はフォークリフトが通ります」
「このエリアは立ち入らないでください」
「体調が悪くなったら、すぐこの番号に連絡してください」

この一言が、事故を防ぐことがあります。

安全配慮を仕組みにする方法

安全配慮を属人的にすると、担当者によって対応に差が出ます。

ある現場責任者は丁寧に説明する。
別の担当者は何も説明しない。
忙しい日は省略される。
初めて来た外注先にだけ説明が漏れる。

これでは安定した安全管理とは言えません。

中小企業では、まず簡単な仕組みにすることが大切です。

たとえば、外部作業者が来る前に確認する項目を3つだけ決めます。

  • 作業場所の危険は何か。
  • 立入禁止や注意事項は何か。
  • 緊急時の連絡先は誰か。

この3つを、現場に入る前に必ず伝えるだけでも、安全管理の質は大きく変わります。

さらに、口頭だけでなく、簡単なチェックシートや案内文を用意しておくと、説明漏れを防ぎやすくなります。

「守る会社」は選ばれる会社になる

安全衛生の話をすると、「義務」「罰則」「責任」という言葉が先に浮かぶかもしれません。

しかし、経営者としてはもう一つの視点を持つことが大切です。

それは、安全に働ける会社は、外部パートナーから選ばれやすいということです。

個人事業主にとっても、危険な現場は不安です。
説明がない現場は不信感につながります。
事故が起きても誰に言えばいいかわからない現場では、安心して仕事ができません。

反対に、きちんと説明してくれる会社、危険を共有してくれる会社、無理な作業をさせない会社は信頼されます。

人手不足が続く中で、これは大きな差になります。

まとめ+要約

フリーランスや個人事業主であっても、労働者と同じ場所で働く場合には、安全衛生上の保護が重要になります。

今回の改正では、個人事業者等を労働安全衛生法による保護対象および義務主体として位置づけ、注文者等や本人が講ずべき措置が定められています。

中小企業がまず意識すべきことは、「自己責任で終わらせない」ことです。

  • 危険を伝える。
  • 立入禁止を明確にする。
  • 作業の重なりを調整する。
  • 緊急時の連絡先を共有する。

この基本が、会社と働く人の両方を守ります。

FAQ

Q1. フリーランス本人にも責任はありますか?

はい。今回の改正では、個人事業者等自身も義務の主体として位置づけられています。ただし、発注者や作業場所の管理者が把握している危険については、適切に伝えることが重要です。

Q2. 口頭で注意すれば十分ですか?

内容によります。簡単な注意は口頭でもよい場合がありますが、重要なルールや危険箇所は書面、掲示、チェックシートなどで残す方が安全です。

Q3. どの業種が特に注意すべきですか?

建設、製造、運送、倉庫、清掃、設備工事、イベント設営、店舗改装など、外部の個人事業主が現場に入る業種は特に注意が必要です。

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