確定申告で使える控除は何がある?生命保険・iDeCo・医療費などを基本から確認

確定申告で使える控除は何がある?生命保険・iDeCo・医療費などを基本から確認
「生命保険の控除証明書は届いたけれど、ほかにも確認したほうがよいものはある?」
「iDeCoの掛金も、確定申告に関係するの?」
年末が近づくと、控除証明書や勤務先からの案内を見ながら、こんな疑問が浮かぶことがあります。
確定申告で確認したい控除には、生命保険料だけでなく、社会保険料、iDeCoなどの掛金、医療費、寄附金、家族の状況に応じた控除などがあります。
ただし、支払ったものがすべて対象になるわけではありません。それぞれに条件があり、年末調整ですでに適用されているものもあります。
この5日間では、2026年分の所得税の申告に向けて、控除の基本、対象になり得る支出、家族に関する確認事項、書類の準備を順番に整理します。
初日のDay1は、「そもそも控除とは何か」と「自分が確認したい控除の全体像」をつかむところから始めましょう。
1.そもそも「控除」って何?
税金の計算で使う「控除」は、一定の金額を差し引く仕組みです。所得税では、どこから差し引くかによって、主に「所得控除」と「税額控除」に分かれます。
所得控除:税金を計算するもとになる所得から差し引く
所得控除は、本人や家族の状況、一定の支出などを考慮して、所得から金額を差し引く仕組みです。
生命保険料控除、社会保険料控除、医療費控除、iDeCoの掛金に関する控除などが含まれます。
ここで大切なのは、控除額と、戻ってくる税金の額は同じではないということです。
例えば、所得から10万円を差し引ける場合でも、税金が10万円戻るという意味ではありません。実際の税負担への効果は、所得や適用される税率などによって変わります。
税額控除:計算した税額から差し引く
税額控除は、所得に税率を当てはめて計算した税額から、一定の金額を差し引く仕組みです。
代表的なものに、条件を満たす住宅ローン控除があります。
最初から細かい計算を覚える必要はありません。まずは「自分に当てはまりそうな制度はあるか」を確認しましょう。
2.まず確認したい、主な控除の一覧
一般的な暮らしや仕事に関係しやすいものを、次の表にまとめました。どの項目も、適用には条件があります。
| 控除の種類 | 確認するきっかけ | 準備・確認する情報 |
|---|---|---|
| 社会保険料控除 | 国民年金、国民健康保険などの保険料を支払った | 支払額、実際の負担者、年金の控除証明書など |
| 小規模企業共済等掛金控除 | iDeCoや小規模企業共済などの掛金を支払った | 掛金の証明書、年末調整での適用状況 |
| 生命保険料控除 | 対象となる生命保険・医療保険・個人年金保険などの保険料を支払った | 控除証明書、契約区分、支払額、家族の状況 |
| 地震保険料控除 | 対象となる地震保険料などを支払った | 地震保険料控除証明書 |
| 医療費控除 | 本人や生計を一にする家族の医療費を負担した | 医療費の記録、領収書、医療費通知、補填された金額 |
| 寄附金控除 | ふるさと納税など、対象となる寄附をした | 受領証明書など、寄附先と支払額の記録 |
| 配偶者控除・配偶者特別控除 | 配偶者がいる | 本人と配偶者の年間所得など |
| 扶養控除・特定親族特別控除 | 子どもや親などを経済的に支えている | 親族の年齢、年間所得、生計の状況など |
| 障害者控除・ひとり親控除・寡婦控除・勤労学生控除 | 本人や家族の状況が、それぞれの条件に当てはまる可能性がある | 該当する状況、所得要件など |
| 基礎控除 | 本人の所得に応じた控除を確認したい | その年の合計所得金額と、対象年分の制度 |
| 雑損控除 | 災害・盗難・横領で、一定の資産に損害を受けた | 損害の内容、金額、保険金などの記録 |
住宅ローンがある方は、この表の所得控除に加えて、税額控除である住宅ローン控除も確認したい項目です。
「控除証明書が郵送されてこないから対象外」とは限りません。家族の状況や医療費など、本人が情報を整理して確認するものもあります。
3.生命保険料控除とiDeCoの控除は別のもの
生命保険とiDeCoは、どちらも将来への備えに関わるため、控除も同じだと思われることがあります。しかし、税金の計算では別の制度です。
生命保険料控除は、対象の保険料から控除額を計算する
生命保険料控除は、対象となる保険契約について支払った保険料をもとに、決められた計算方法と上限に従って控除額を求めます。
支払った保険料の全額が、そのまま所得から差し引かれるわけではありません。契約の時期や、一般の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料などの区分も確認が必要です。
また、2026年分では、23歳未満の扶養親族がいる場合の一般生命保険料の控除に特例があります。対象となる契約や親族の条件を確認し、前年と同じ計算でよいと思い込まないようにしましょう。
iDeCoの掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象
iDeCoの本人の掛金は、「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象です。制度上、その年に支払った対象掛金の全額を控除できます。
名称に「小規模企業」と入っていますが、会社員などが利用するiDeCoの掛金も、この控除に含まれます。
生命保険料控除とiDeCoの掛金の控除は、それぞれの条件を満たせば併用できます。
ただし、控除できる金額があっても、課税される所得がなければ、所得控除による所得税の軽減は生じません。家計への負担や、お金を使う時期も合わせて考えましょう。
4.経営者・個人事業主が気を付けたい「経費」との違い
個人事業主や副業をしている方は、「必要経費」と「所得控除」を分けて整理すると、申告準備が進めやすくなります。
必要経費は、事業の収入を得るために必要な支出として、事業所得などを計算する際に差し引くものです。
一方、所得控除は、計算した所得から、本人や家族の状況などに応じて差し引くものです。
例えば、個人として支払った国民健康保険料や本人のiDeCo掛金は、事業の必要経費として処理するのではなく、該当する所得控除として確認します。
同じ支出を、経費と所得控除の両方に入れてはいけません。
また、法人と経営者個人では申告が異なります。会社が支払った保険料などを、経営者個人の控除として扱えるとは限らないため、契約内容や負担者を確認してください。
5.会社員も、年末調整で終わりとは限りません
会社員の方は、生命保険料控除やiDeCoの掛金の控除などを、年末調整で受けられる場合があります。
一方、医療費控除などは、年末調整では扱われません。自分に関係する支出があれば、確定申告での確認が必要です。
確定申告をする場合は、源泉徴収票に記載された情報と、年末調整で扱っていない情報を整理しましょう。すでに適用された控除を、追加の支出として二重に計上しないことが大切です。
副業をしている主婦の方も、売上だけで判断せず、必要経費を差し引いた所得や、ほかの所得を確認してください。税金上の扶養と、社会保険上の扶養は、判断の仕組みが異なります。
6.今日できることは「該当しそうな項目」を集めること
Day1の段階では、控除額をすべて計算する必要はありません。まず、次の3つを整理してみましょう。
- 支払いを確認する:保険料、年金保険料、iDeCoや共済の掛金、医療費、寄附金などを書き出します。
- 家族の変化を確認する:結婚、離婚、子どもの就職やアルバイト収入、親の扶養などを振り返ります。
- 書類をまとめる:控除証明書、医療費の記録、寄附の証明書、年末調整後に受け取る源泉徴収票などの保管場所を決めます。
紙の書類と電子データが混在していても構いません。「どこにあるか分かる状態」にするだけでも、申告時の確認がしやすくなります。
書類がない項目は、支払先の案内や利用しているサービスで、確認・再発行の方法を調べておきましょう。
よくある質問
Q.控除を使えば、必ず税金が戻ってきますか?
A.必ず還付されるとは限りません。所得、控除、すでに納めた税金などを合わせて計算した結果によって、還付になる場合も、納税になる場合もあります。
Q.生命保険に入っていれば、すべての保険料が対象ですか?
A.契約内容や保険金の受取人などの条件があります。保険会社からの控除証明書と、対象年分の公式案内を確認しましょう。
Q.iDeCoをしていれば、会社員でも控除を受けられますか?
A.本人の対象掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象です。年末調整で適用を受けたか、確定申告で手続きする必要があるかを確認してください。
Q.去年の申告内容をそのまま使ってもよいですか?
A.前年の内容は確認の参考になりますが、支払額、家族の所得、年齢、制度が変わっている可能性があります。2026年分に適用される条件を確認しましょう。
まとめ+要約
確定申告の準備では、生命保険だけでなく、社会保険料、iDeCo、医療費、寄附金、家族に関する控除まで、一度全体を見渡すことが大切です。
- 所得控除は所得から、税額控除は計算した税額から差し引く仕組みです。
- 生命保険料控除とiDeCoの掛金の控除は、別の制度です。
- 控除額がそのまま還付額になるわけではありません。
- 事業の経費、個人の所得控除、年末調整で適用済みの控除を整理しましょう。
- 今日の一歩は、該当しそうな項目を書き出し、書類をまとめることです。
次回は、保険料と掛金の控除を詳しく確認します
Day2では、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、iDeCo・小規模企業共済の掛金の控除を取り上げます。
「誰が支払ったものか」「どの証明書を確認するか」という、間違えやすいポイントを整理していきましょう。
家計や将来の備えを見直しながら、確認したい控除を整理してみませんか?
保険やiDeCoなどの支出を家計全体から考えたい方は、LINEで相談するから気軽にご相談ください。
個別の控除の適用判断や申告内容については、税務署または税理士にご確認ください。
参考情報
本記事は2026年10月10日時点の公表情報に基づき、2026年分の所得税の申告に向けた一般的な内容をまとめています。控除額や適用条件、必要書類は、対象年分の最新の公式案内をご確認ください。