生命保険・地震保険・iDeCoはどう控除する?保険料と掛金の確認ポイント

「控除証明書は集めたけれど、どこを見ればよいの?」

「家族の保険料を払っている場合は、誰の控除になる?」

「生命保険とiDeCoは、両方申告してよいの?」

確定申告の準備では、書類が手元にあっても、控除の種類や支払った人の違いで迷うことがあります。

Day1では、控除の全体像を確認しました。Day2では、生命保険料、地震保険料、社会保険料、iDeCo・小規模企業共済などの掛金を整理します。

確認する基本は、「何を支払ったか」「誰が負担したか」「その年の対象額はいくらか」「年末調整で適用済みか」の4つです。

ここを押さえると、控除証明書の見方や、追加で確認したいことが分かりやすくなります。

1.保険料と掛金は、4つの控除に分けて整理する

名前が似ていても、同じ控除としてまとめることはできません。まずは、次の表で違いを確認しましょう。

保険料・掛金に関する主な所得控除
控除の種類 主な対象 控除額の考え方
生命保険料控除 対象となる生命保険・医療保険・個人年金保険など 契約区分ごとの計算式と上限に従って計算
地震保険料控除 対象となる地震保険料など 地震保険料は所得税で最高50,000円
社会保険料控除 国民年金、国民健康保険、厚生年金、国民年金基金など その年に支払った対象保険料等の全額
小規模企業共済等掛金控除 iDeCo、小規模企業共済などの対象掛金 その年に支払った対象掛金の全額

この表は所得税の整理です。住民税では控除額の計算が異なるものがあります。

また、「全額控除」は、対象額を所得から差し引けるという意味です。支払った金額がそのまま税金として戻るわけではありません。

2.生命保険料控除は、証明書の「区分」を確認する

生命保険料控除では、保険の商品名だけで判断せず、控除証明書に記載された区分を確認しましょう。

確認したい3つの区分

  • 一般の生命保険料
  • 介護医療保険料
  • 個人年金保険料

同じ保険契約でも、保障内容によって複数の区分に分かれていることがあります。証明書の記載に沿って整理してください。

さらに、「新契約」と「旧契約」では計算方法が異なります。証明書にある新旧区分を見て、自己判断で一つにまとめないようにしましょう。

2026年分は、23歳未満の扶養親族に関する特例も確認

2026年分では、一定の条件を満たす23歳未満の扶養親族がいる場合、新契約に基づく一般生命保険料の所得税の控除上限が60,000円となる特例があります。

特例の対象は一般生命保険料です。介護医療保険料や個人年金保険料の上限が、同じように増えるわけではありません。生命保険料控除全体の所得税の上限は120,000円です。

親族の年齢だけでなく、所得や生計などの条件も確認し、2026年分の案内に沿って計算してください。

契約者の名前と、控除を受ける人が同じとは限らない

生命保険料控除では、実際に保険料を支払った人や、保険金の受取人などの条件が関係します。

証明書に配偶者の名前が記載されているからといって、必ず配偶者だけが控除を受けるとは限りません。反対に、同じ保険料を夫婦それぞれが控除することもできません。

家族名義の契約について迷う場合は、契約内容と支払いの記録を確認したうえで、税務署や税理士に相談しましょう。

3.地震保険料控除は、火災保険料の全額が対象ではない

火災保険と地震保険を一緒に契約していると、「まとめて払った保険料がすべて控除になる」と思いやすいものです。

地震保険料控除では、対象となる地震保険料などを確認します。一般的な火災保険料や自動車保険料が、そのまま対象になるわけではありません。

所得税では、対象となる地震保険料が年間50,000円以下ならその全額、50,000円を超える場合は50,000円が控除額になります。

一定の旧長期損害保険契約には経過措置があります。該当する契約がある方は、控除証明書に記載された区分を確認してください。

複数年分をまとめて支払っている場合も、今回の申告で使う金額は、その年分の控除証明書で確認しましょう。契約全体の保険料をそのまま入力しないことが大切です。

4.社会保険料控除は、家族分の支払いにも目を向ける

社会保険料控除には、国民年金、国民健康保険、厚生年金、介護保険などの対象保険料が含まれます。

国民年金基金の掛金も、この控除に含まれます。iDeCoの掛金とは控除の種類が異なるため、分けて整理してください。

自分が負担した、家族の社会保険料も確認する

本人の分だけでなく、生計を一にする配偶者や親族の社会保険料を自分が支払った場合も、控除の対象になり得ます。

例えば、説明用の例として、親が生計を一にする学生の子どもの国民年金保険料を負担した場合は、支払った親の社会保険料控除として確認できます。

ただし、「家族だから」という理由だけで自由に付け替えられるものではありません。誰が実際に支払ったかを、口座振替や納付の記録で確認しましょう。

家族本人の公的年金から天引きされた保険料は、その本人が支払ったものとして扱われます。家族分の保険料を整理するときは、支払い方法にも注意してください。

納付書の金額と、その年に払った金額を区別する

納付書が届いていても、まだ支払っていない分まで控除できるわけではありません。実際の支払額を確認する必要があります。

国民年金を複数年分前納した場合などは、取扱いの確認が必要です。控除証明書や支払先の案内に沿って整理しましょう。

5.iDeCo・小規模企業共済は、専用の掛金控除で確認する

iDeCoの本人の掛金や、小規模企業共済の対象掛金は、小規模企業共済等掛金控除に含まれます。

対象となる掛金は、その年に支払った全額が所得控除の対象です。

「毎月の掛金×12か月」とは限らない

年の途中から加入した、掛金を変更した、引き落としができない月があった。こうした場合は、想定していた年間額と証明書の金額が異なることがあります。

申告前には、その年の掛金の証明書と実際の納付状況を確認してください。

iDeCoは、配偶者の所得から控除することはできない

iDeCoの掛金の控除は、加入者本人の所得について確認します。配偶者のiDeCo掛金を、自分の所得から差し引くことはできません。

家族分を支払う場合がある社会保険料控除とは、取扱いが異なります。

また、本人に課税される所得がなければ、掛金の所得控除による所得税の軽減は生じません。副業をしている方も、売上だけで判断せず、経費やほかの所得・控除を含めて確認しましょう。

6.年末調整で適用済みかを確認する

会社員の方は、今回取り上げた控除を年末調整で受けられる場合があります。確定申告をする際は、源泉徴収票の内容と、年末調整で申告した書類を照らし合わせましょう。

「源泉徴収票に反映された金額」と「年末調整で扱っていない支払い」を分けることが、二重計上を防ぐポイントです。

例えば、給与から天引きされた社会保険料と、個人で支払った国民年金保険料がある場合は、それぞれの金額がどこまで反映されているかを確認します。

証明書を勤務先へ提出した記憶が曖昧な場合は、担当者に確認しましょう。年末調整に間に合わなかったものは、確定申告で適用できるかを確認してください。

7.今日できる、証明書と支払いの整理

次の順番で確認すると、書類を整理しやすくなります。

  1. 控除の種類ごとに分ける:生命保険、地震保険、社会保険、iDeCo・共済の4つに分類します。
  2. 対象年分を確認する:2026年分の申告には、2026年分の情報を使います。
  3. 負担した人を確認する:契約名義だけでなく、実際の支払者を確認します。
  4. 証明額と納付状況を確認する:年末までの見込額が記載された書類は、その後の変更や未払いにも注意します。
  5. 年末調整の状況を記録する:提出済み、未提出、確認中などのメモを残します。

証明書をなくした場合は、保険会社や掛金の証明書の発行元に、再発行方法を確認してください。

電子データで受け取った場合も、保存場所を決めておくと安心です。添付・提示・電子送信などの手続きは、申告方法と対象年分の案内に従いましょう。

よくある質問

Q.生命保険料控除とiDeCoの掛金控除は、両方使えますか?

A.それぞれ別の所得控除なので、各制度の条件を満たせば併用できます。証明書も分けて確認してください。

Q.国民年金基金とiDeCoは、同じ欄に入力しますか?

A.国民年金基金は社会保険料控除、iDeCoは小規模企業共済等掛金控除です。確定申告書等作成コーナーでは、それぞれ該当する項目の案内に沿って入力しましょう。

Q.家族の保険料は、すべて自分の控除にできますか?

A.できません。社会保険料、生命保険料、iDeCoなどで条件が異なります。実際の負担者と、各制度の対象条件を確認してください。

Q.控除を増やすために、保険やiDeCoを増額したほうがよいですか?

A.まずは必要な保障、家計の余裕、お金を使う時期を確認しましょう。控除による税金への効果と、追加の支出は別に考えることが大切です。

まとめ+要約

保険料と掛金の控除は、種類ごとに分け、実際の負担者・対象年の支払額・年末調整の状況を確認しましょう。

  • 生命保険料控除は、証明書の区分や新旧契約に応じて計算します。
  • 2026年分は、23歳未満の扶養親族がいる場合の特例も確認が必要です。
  • 地震保険料控除は、一般的な火災保険料の全額を控除する制度ではありません。
  • 社会保険料控除には、条件を満たす家族分の支払いも含まれます。
  • iDeCoの本人の掛金は、小規模企業共済等掛金控除として確認します。

次回は、医療費・寄附金・家族に関する控除を確認します

Day3では、控除証明書を集めるだけでは気付きにくい、医療費、ふるさと納税などの寄附金、配偶者や扶養親族に関する控除を取り上げます。

日々の支払いと家族の状況を振り返り、自分に関係する項目を整理していきましょう。

保険や老後の積立を、家計全体から整理したい方へ。

「今の保険料は家計に合っているか」「iDeCoの掛金をどう考えるか」と迷っている方は、LINEで相談するから気軽にご相談ください。

個別の控除の適用判断や申告内容については、税務署または税理士にご確認ください。

参考情報

本記事は2026年10月10日時点の公表情報に基づき、2026年分の所得税の申告に向けた一般的な内容をまとめています。適用条件や必要書類は、対象年分の最新の公式案内をご確認ください。