自社は対象?フリーランス安全衛生対応で中小企業が確認すべきこと

自社は対象?フリーランス安全衛生対応で中小企業が確認すべきこと
はじめに
法改正の話を聞いたとき、多くの経営者が最初に知りたいのは、
「結局、うちは対象なのか?」
という点ではないでしょうか。
法律の文章を読むと難しく感じますが、実務で考えると確認ポイントはそこまで複雑ではありません。
大切なのは、雇用契約の有無だけで判断しないことです。
外部の個人事業主が、自社の現場や管理する場所で、危険のある作業をしていないか。
社員と同じ場所で作業していないか。
発注者として作業内容や場所に関わっていないか。
今回の改正では、労働者と同じ場所で働く個人事業者等について、労働安全衛生法による保護の対象および義務の主体として位置づけています。
この記事では、中小企業が自社の状況を確認するための実践的な視点を解説します。
対象かどうかは「契約名」ではなく「実態」で見る
中小企業でよくある誤解が、「業務委託契約だから関係ない」という考え方です。
たしかに、業務委託先は社員ではありません。労働時間の管理や賃金の支払いも、雇用とは異なります。
しかし安全衛生の場面では、「その人がどこで、どのように作業するか」が重要になります。
たとえば、同じ業務委託でも、次の2つはリスクが違います。
- 自宅でデザインを制作して納品するフリーランス。
- 工場内に入って設備の修理をする個人事業主。
前者は、自社の作業場所で事故が起きる可能性は低いです。
後者は、機械、電気、通路、他の作業者など、自社の現場環境が安全に大きく関わります。
つまり、契約書のタイトルだけでは判断できません。
次の4つを確認することが大切です。
- 現場に入るか。
- 危険に接するか。
- 自社が作業場所を管理しているか。
- 社員と同じ場所で作業するか。
確認すべき外注作業の例
まず、自社で外部の個人事業主に依頼している仕事を洗い出しましょう。
たとえば、次のような仕事です。
- 設備修理
- 機械メンテナンス
- 電気工事
- 内装工事
- 清掃作業
- 配送作業
- 荷物の積み下ろし
- 倉庫作業
- 高所作業
- イベント設営
- 看板設置
- 撮影現場の設営
- 店舗改装
- 建設現場での請負作業
- IT機器の現地設置
- 空調設備の点検
ここで重要なのは、「頻度が少ないから大丈夫」と考えないことです。
年に1回でも、事故が起きれば大きな問題になります。
短時間の作業でも、高所・機械・重量物・車両が関われば危険はあります。
むしろ、たまにしか来ない外部作業者ほど、その現場の危険を知らない可能性があります。
危険がある作業の見つけ方
危険を見つけるときは、専門的な言葉で考える必要はありません。
次の質問に「はい」があるかを確認してください。
- 転ぶ可能性はあるか。
- 落ちる可能性はあるか。
- ぶつかる可能性はあるか。
- 挟まれる可能性はあるか。
- 重い物を持つか。
- 熱い場所、寒い場所で作業するか。
- 車やフォークリフトが近くを通るか。
- 電気を扱うか。
- 薬品、粉じん、ガス、においがあるか。
- 長時間作業や夜間作業があるか。
- 複数の会社が同時に作業するか。
これらに当てはまる場合は、何らかの安全配慮が必要になる可能性があります。
特に、危険有害作業や危険箇所での作業については、これまでも一人親方等や労働者以外の人に対する保護措置が進められてきました。
厚生労働省は、2023年4月施行の改正で危険有害作業に関する保護措置を、2025年4月施行の改正で退避や立入禁止等の措置を示しています。
社内で作るべき簡単な対応フロー
中小企業におすすめなのは、難しい規程をいきなり作ることではありません。
まずは、外部作業者が来るときの流れを決めることです。
たとえば、次のような流れです。
- 依頼前に、作業内容と作業場所を確認する。
- 作業前に、危険箇所と立入禁止場所を伝える。
- 作業中に、社員や他業者との接触リスクを確認する。
- 作業後に、ヒヤリとしたことがなかったか確認する。
- 事故やけががあれば、すぐ報告するルートを決める。
これだけでも、現場の安全意識は大きく変わります。
大切なのは、「誰が伝えるか」を決めておくことです。
社長が伝えるのか。
現場責任者が伝えるのか。
総務担当が事前に案内するのか。
元請け担当者がまとめるのか。
担当があいまいだと、誰も説明しないまま作業が始まってしまいます。
2027年1月からの業務上災害報告制度にも注意
今回のテーマでは、2027年1月1日施行予定の業務上災害報告制度にも注意が必要です。
厚生労働省の改正法令ページでは、令和9年1月1日施行の省令が掲載されています。
事故は「起きないようにする」ことが第一です。
しかし、万が一起きた場合に、誰が、どこへ、何を報告するのかが決まっていないと、対応が遅れます。
中小企業では、報告体制が社長一人に集中しがちです。
そのため、社長が不在のときに事故が起きると、現場が混乱することがあります。
今のうちから、事故発生時の連絡ルートを簡単に決めておくことが大切です。
まとめ+要約
自社が対象になるかどうかは、契約名だけでは判断できません。大切なのは、外部の個人事業主が自社の管理する場所や危険のある現場で作業するかどうかです。
確認すべきポイントは、現場に入るか、危険に接するか、自社が作業場所を管理しているか、社員と同じ場所で作業するかです。
2027年1月1日施行予定の業務上災害報告制度にも備え、事故発生時の連絡ルートを整えておくことが重要です。
外注や業務委託という契約名だけで判断せず、実際の作業内容と現場環境を確認することが、中小企業の安全衛生対応の第一歩です。
FAQ
Q1. オンライン業務のフリーランスも対象ですか?
自社の現場に入らず、危険な作業を行わない場合は、現場の安全衛生措置とは関係が薄い場合があります。ただし、実際の業務内容ごとに確認することが大切です。
Q2. 年に数回だけ来る外注先も確認が必要ですか?
はい。頻度が少なくても、危険な場所で作業する場合は確認が必要です。むしろ初めて来る人や久しぶりに来る人ほど、現場の危険を知らない可能性があります。
Q3. 事故報告の準備はいつから始めるべきですか?
2027年1月1日施行予定の制度に備え、できるだけ早めに事故時の連絡ルートや記録方法を決めておくことをおすすめします。
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