医療費・ふるさと納税・家族の控除を見落としていませんか?確定申告前に確認したいポイント

「医療費は10万円を超えていないから、関係ないと思っていた」

「ふるさと納税はワンストップ特例を申請したので、そのままでよい?」

「子どものアルバイト収入が増えたけれど、扶養の控除はどうなる?」

確定申告の準備では、保険料の控除証明書だけを集めていても、確認しきれない項目があります。

Day2では、生命保険料や社会保険料、iDeCoなどの掛金を整理しました。Day3では、日々の支払いと家族の状況から確認する、医療費・寄附金・家族に関する控除を取り上げます。

大切なのは、前年と同じと思い込まず、「今年支払ったもの」と「今年の家族の状況」を確認することです。

2026年分の申告に向けて、具体例を交えながら整理していきましょう。

1.医療費控除は「10万円を超えたか」だけで判断しない

医療費控除は、その年に本人や生計を一にする家族のために支払った対象医療費をもとに計算する所得控除です。

基本の計算は、次のようになります。

医療費控除額=対象医療費の合計-保険金などで補填される金額-10万円

ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の場合は、最後に差し引く金額が「総所得金額等の5%」になります。控除額の上限は200万円です。

ここでいう総所得金額等は、給与の額面年収や事業の売上とは異なります。「年収が200万円未満かどうか」で判断しないようにしましょう。

説明用の例:医療費が8万円でも確認する意味がある

例えば、総所得金額等が100万円で、対象医療費が8万円、補填される金額がない場合を考えてみます。

差し引く基準額は100万円の5%である5万円なので、医療費控除額は3万円になります。

この3万円は所得から差し引く金額です。3万円がそのまま還付されるわけではありません。

「10万円未満だから対象外」と決めず、自分の所得と合わせて確認してみてください。

2.医療費は「対象・支払者・補填額」を整理する

医療費の領収書を集めたら、合計する前に次の3点を確認しましょう。

① 治療に必要な費用か

診療費、治療のための医薬品代、通常必要な通院交通費などは、対象になり得ます。

一方、健康維持のためのサプリメント、美容を目的とする施術、通常の自家用車のガソリン代や駐車料金などは、一般に医療費控除の対象にはなりません。

病院や薬局で支払ったものが、すべて対象になるわけではないため、支出の目的を確認してください。

② 誰が実際に支払ったか

家族の医療費でも、生計を一にし、自分が負担した対象医療費であれば確認できます。

ただし、家族の誰にでも自由に付け替えられるものではありません。「税率が高い人にまとめればよい」と考える前に、実際の支払者を確認しましょう。

③ 医療費を補填する給付があったか

高額療養費や入院給付金など、医療費を補填する金額も整理する必要があります。

補填額は、その給付の対象となった医療費から差し引きます。対象医療費を超える給付があっても、その超過分を別の治療の医療費から差し引く必要はありません。

医療費通知や領収書に加えて、給付金の通知も一緒に保管しておくと、計算しやすくなります。

3.市販薬を購入した方は、別の制度も確認する

対象となる市販薬を購入した方は、セルフメディケーション税制という医療費控除の特例を確認できる場合があります。

一定の健康診断や予防接種などの取組を行っていることなどが条件で、対象医薬品の購入額から補填額を差し引いた金額が年間12,000円を超える場合、その超える部分が控除の対象になります。控除額の上限は88,000円です。

通常の医療費控除と、セルフメディケーション税制は、同じ人が同じ年に両方使うことはできません。

薬局のレシートは、対象商品の表示が分かる状態で保管しましょう。どちらを選ぶかは、条件と控除額を確認して判断してください。

4.ふるさと納税は、確定申告するとワンストップ特例が無効になる

ふるさと納税をした方は、「寄附したこと」と「控除の手続きをしたこと」を分けて確認しましょう。

ワンストップ特例を申請していても、医療費控除や副業などのために、その年分の確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。

確定申告では、ワンストップ特例を申請した分も含め、その年のふるさと納税を漏れなく申告する必要があります。

説明用の例:医療費控除だけを入力しない

会社員の方が、ふるさと納税のワンストップ特例を申請した後、医療費控除のために確定申告するケースを考えてみます。

この場合、医療費だけを入力して申告を終えてしまうと、ふるさと納税の控除が漏れる可能性があります。寄附の受領証明書なども用意し、寄附金の項目を確認してください。

また、控除には上限があります。前年と収入や家族構成が変わった場合は、前年の寄附額をそのまま目安にしないことが大切です。

申告の際は、住民税に関する寄附金の項目も、作成画面の案内に沿って確認しましょう。

5.配偶者の控除は、本人と配偶者の所得を確認する

配偶者控除・配偶者特別控除では、控除を受ける本人と配偶者の所得などを確認します。

2026年分の通常の年末調整・確定申告では、配偶者控除の配偶者の所得要件は、合計所得金額62万円以下です。配偶者に給与収入だけがある場合は、給与収入136万円以下が目安となります。

ただし、法律上の婚姻関係、生計、事業専従者の取扱いなど、ほかの条件もあります。控除を受ける本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。

配偶者の所得が配偶者控除の基準を超えても、配偶者特別控除を受けられる場合があります。「少し超えたら控除がすべてなくなる」と決めつけないようにしましょう。

副業がある場合は、給与収入だけで判断しない

パートの給与に加えて副業がある場合は、給与所得と副業の所得などを合わせて確認する必要があります。

副業の売上を、そのまま所得として扱うとは限りません。必要経費や所得の区分を整理し、年間の合計所得金額を確認してください。

税金上の控除、社会保険上の扶養、勤務先の家族手当は、それぞれ条件が異なります。一つの金額だけで、すべてを判断しないことが大切です。

6.子どもや親の控除は、年齢と所得の変化に注意する

扶養控除では、生計を一にする親族の年齢や所得などを確認します。国内に住む親族については、原則としてその年の12月31日時点で16歳以上であることなどが条件です。

16歳未満の子どもは、所得税の扶養控除の対象にはなりません。ただし、住民税などのために申告書への情報記載が必要になる場合があります。

19歳以上23歳未満の親族は、特定親族特別控除も確認

大学生年代の子どもなどの所得が増え、扶養控除の対象から外れても、特定親族特別控除を受けられる場合があります。

2026年分では、生計を一にする19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が62万円超123万円以下であることなどが条件です。控除額は親族の所得に応じて変わります。

学生であること自体が必須条件ではありません。年齢・所得・生計などの条件を確認しましょう。

説明用の例:子どもの収入が増えたら再確認する

20歳の子どものアルバイト収入が前年より増えた場合、「去年は扶養だったから今年も同じ」とは判断できません。

年間所得を確認し、扶養控除に当てはまるのか、特定親族特別控除に当てはまるのかを整理します。両方を同じ親族について重ねて使うことはできません。

親を支えている方も、年金の受取額だけで判断せず、公的年金等に係る所得やほかの所得を確認してください。

家族に関する控除では、別居しているという理由だけで対象外になるとは限りません。生活費の送金など、生計の状況も確認が必要です。

7.今日できる、暮らしと家族の確認メモ

次の項目を、分かる範囲で書き出してみてください。

Day3の確認メモ
確認する項目 書き出す内容
医療費 対象になりそうな費用、支払者、支払日、補填額
市販薬 対象商品の購入記録、健康診断などの取組
ふるさと納税 寄附先、寄附日、金額、証明書、ワンストップ申請の状況
配偶者 給与、副業などを含めた年間所得の見込み
子ども・親など 年末の年齢、年間所得、生計の状況、家族内での申告予定

同じ親族について、家族が重複して扶養控除などを申告しないよう、誰がどの控除を確認するかも共有しておきましょう。

今の時点では見込額でも構いません。年末に金額が確定したら、年末調整で申告した内容と照らし合わせて確認してください。

よくある質問

Q.家族の医療費は、全部まとめて申告できますか?

A.生計を一にする家族のために自分が支払った対象医療費は、合算して確認できます。ただし、別の家族が負担した費用を、自由に自分へ付け替えることはできません。

Q.医療費の領収書を提出すれば、それだけで申告できますか?

A.通常は医療費控除の明細書を作成します。医療費通知を利用できる場合もありますが、記載されていない費用や補填額などの確認も必要です。領収書は、原則として定められた期間保管してください。

Q.ふるさと納税のワンストップ特例を申請した後でも、確定申告できますか?

A.できます。ただし、その年分の確定申告をするとワンストップ特例は無効になるため、申請済みの分も含めて寄附金を申告してください。

Q.子どものアルバイト収入が増えたら、親の控除はなくなりますか?

A.年齢や所得によって異なります。扶養控除の対象から外れても、特定親族特別控除の対象となる場合があるため、2026年分の条件で確認しましょう。

まとめ+要約

医療費・寄附金・家族に関する控除は、支払いの記録と家族の年間所得を確認することが出発点です。

  • 医療費控除は、医療費が10万円未満でも対象になる場合があります。
  • 医療費の対象範囲、実際の支払者、補填額を分けて整理しましょう。
  • 通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は選択適用です。
  • 確定申告をする場合、ワンストップ特例を申請したふるさと納税も申告が必要です。
  • 配偶者や親族の控除は、年齢・所得・生計などを2026年分の条件で確認しましょう。

次回は、申告準備を進める手順を整理します

Day4では、これまで確認した控除を、実際の準備につなげます。

必要な情報を集める順番、年末調整との照合、書類が不足している場合の確認方法など、申告前に進めたい手順をまとめます。

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個別の控除の適用判断や申告内容については税務署または税理士へ、社会保険の扶養条件については加入先の健康保険などへご確認ください。

参考情報

本記事は2026年10月10日時点の公表情報に基づき、2026年分の所得税の通常の年末調整・確定申告に向けた一般的な内容をまとめています。年の途中の死亡・出国に伴う申告などでは適用関係が異なる場合があります。対象年分の最新の公式案内をご確認ください。