改正物流効率化法で運送事業者が見落としやすい荷待ち・荷役時間の問題

はじめに

運送の現場では、「待つのも仕事のうち」と考えられてきた場面が少なくありません。

しかし、これからはその考え方のままでは危険です。

改正物流効率化法では、荷待ち時間や荷役等時間の短縮が大きなテーマになっています。つまり、今まで見過ごされてきた待機時間や積み卸し作業の時間が、改善対象として見られるようになったということです。

この記事では、運送事業者が見落としやすい荷待ち・荷役時間の問題と、今すぐ始めるべき記録・整理の方法を解説します。

なぜ荷待ち・荷役時間が問題になるのか

ドライバーの拘束時間が長くなる原因のひとつが、荷待ちと荷役です。

運転している時間だけでなく、荷主先で待つ時間、積み込みを待つ時間、検品に付き合う時間、手作業で荷卸しをする時間も、現場の負担になります。

この時間が長くなると、次のような問題が起きます。

  • 残業時間が増える
  • 次の配送に遅れる
  • ドライバーの疲労がたまる
  • 採用や定着が難しくなる
  • 実質的な利益が下がる

今までは「仕方ない」で済ませていた時間が、これからは改善対象として見られるようになります。

国の資料でも、荷主・物流事業者間の商慣行を見直し、荷待ち・荷役等時間の削減や積載効率の向上を図ることが示されています。

荷待ち時間とは何か

荷待ち時間とは、簡単に言えば、荷主側や施設側の都合で、トラックが待たされている時間です。

たとえば、次のようなケースです。

  • 指定時間に到着したのに受付で待たされる
  • バースが空かずに待機する
  • 積み込み準備ができていない
  • 荷卸し順番が来ない
  • 検品担当者が来るまで待つ

公式ポータルでは、荷待ち時間の算定方法について、到着後の受付や業務上の指示、通常生じる範囲の待機などに関する考え方が示されています。

ここで重要なのは、「全部を荷主のせいにする」という話ではないことです。

交通事情、天候、運送側の遅れなど、原因によって扱いが変わる場合があります。

だからこそ、到着時刻、受付時刻、作業開始時刻、作業終了時刻を記録しておくことが大切です。

荷役等時間とは何か

荷役等時間とは、積み込みや荷卸し、仕分け、検品、ラベル確認など、荷物を扱う作業にかかる時間です。

問題になりやすいのは、次のような現場です。

  • バラ積み・バラ卸しが多い
  • パレット化されていない
  • 検品が細かすぎる
  • 伝票やラベル確認に時間がかかる
  • ドライバーが本来以上の作業をしている
  • フォークリフトや作業員が不足している

荷役時間が長いと、ドライバーは運転以外の作業で体力を使います。

その結果、安全面にも影響します。

公式情報では、パレット等の利用、標準化、入出庫の効率化に役立つ資機材の配置、施設改善などが取り組み例として示されています。

記録していない会社が困る理由

荷待ちや荷役の問題は、記録がなければ交渉できません。

たとえば、荷主に「待機が長いです」と伝えても、相手はこう思うかもしれません。

「本当にそんなに待っているのか?」

「どの拠点で多いのか?」

「何曜日が多いのか?」

「どれくらい改善すればいいのか?」

感覚だけでは、改善提案になりにくいのです。

一方で、記録があれば話は変わります。

「Aセンターでは平均45分待機しています」

「月曜午前だけ待機が集中しています」

「受付時間を15分ずらすだけで改善できそうです」

「パレット化できれば荷役時間が半分になります」

このように、数字があると荷主との会話が前に進みます。

今日からできる見える化の方法

難しいシステムを入れなくても、最初は簡単な記録で十分です。

最低限、次の項目を残しましょう。

項目 記録内容
荷主名 どの荷主の仕事か
拠点名 どの倉庫・工場・店舗か
到着時刻 現地に着いた時間
受付時刻 受付が完了した時間
作業開始時刻 積み込み・荷卸しが始まった時間
作業終了時刻 作業が終わった時間
待機理由 バース待ち、検品待ち、荷物未準備など
ドライバー所感 現場で感じた改善点

これを1週間だけでも集めると、かなり見えてきます。

特に、主要荷主、時間がかかる現場、クレームが多い現場から始めると効果的です。

まとめ

改正物流効率化法で大切なのは、荷待ち・荷役時間を「仕方ないもの」として放置しないことです。

運送事業者がまずやるべきことは、完璧な改善策を作ることではありません。

まずは、現場の時間を記録することです。

記録があれば、荷主と話せます。
記録があれば、改善提案ができます。
記録があれば、条件交渉の材料になります。

法対応は、現場を守るための準備でもあります。

FAQ

Q1. 紙の日報でも記録になりますか?

はい、最初は紙でも問題ありません。大切なのは、到着時刻、作業開始時刻、作業終了時刻などを継続して残すことです。

Q2. ドライバーに負担が増えませんか?

記録項目を増やしすぎると負担になります。最初は最低限の項目に絞り、スマホや簡単なチェック表を使うのがおすすめです。

Q3. 荷主に改善をお願いすると関係が悪くなりませんか?

伝え方が大切です。「困っている」だけでなく、「こうすれば効率化できます」と提案型にすると、前向きな話し合いになりやすくなります。

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