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わが家や会社にはどんな影響がある?高額療養費制度の具体例

わが家や会社にはどんな影響がある?高額療養費制度の具体例

※本記事は2026年7月19日時点の厚生労働省・協会けんぽの公表情報をもとに作成しています。 制度の利用条件や実際の支給額は、年齢、所得、加入している健康保険、治療内容などによって異なります。

はじめに

制度の説明を読んでも、

「結局、自分にはどのような影響があるのだろう」

と感じる方は多いでしょう。

高額療養費制度の影響は、年収だけでは決まりません。

年齢、加入している健康保険、治療が続く期間、家族の医療費、 転職や退職の時期などによって変わります。

ここでは、中小企業の従業員、個人事業主、子育て家庭などを想定しながら、 確認すべきポイントを見ていきます。

※以下は制度を理解するためのモデルケースです。 実際の支給額を保証するものではありません。

ケース1|会社員が1回の手術を受けた場合

Aさんは中小企業に勤める会社員です。

ある日、手術と入院が必要になりました。

医療費が高額になると知り、

「窓口で数十万円を払わなければならないのか」

と不安を感じています。

Aさんが確認すべきなのは、次の項目です。

  • 自分の標準報酬月額
  • 入院する月
  • 保険診療に当たる費用
  • 差額ベッド代や食事代などの対象外費用
  • マイナ保険証による限度額情報の利用可否

たとえば、Aさんが標準報酬月額28万~50万円の区分であれば、 2026年7月までは、通常の上限額の計算は80,100円を基準とします。

2026年8月からは、85,800円を基準とする計算に変わります。

参考: 協会けんぽ「高額療養費」

1回だけの手術で治療が終わり、年間上限や多数回該当に達しない場合は、 改正前より自己負担が増える可能性があります。

そのため、入院日が2026年8月以降になる方は、 以前の資料だけで判断せず、新しい限度額を確認する必要があります。

ケース2|毎月の通院治療が続く場合

Bさんは長期間、定期的な治療を受けています。

毎月の医療費は高いものの、月額上限を少し下回る月もあり、 多数回該当の対象になりにくい状態です。

従来の制度では、このような方の負担が年間を通して積み重なる場合がありました。

2026年8月からは、所得区分に応じた年間上限が設けられます。

たとえば、70歳未満で標準報酬月額28万~50万円の区分では、 年間上限は53万円です。

参考: 協会けんぽ「高額療養費」

毎月の負担が月額上限に届かなくても、 8月から翌年7月までの合計が年間上限に達した場合、 それ以上の対象医療費について支給を受けられる仕組みになります。

Bさんのように、毎月一定額の治療費が長く続く方にとっては、 年間上限が新しい支えになる可能性があります。

ケース3|夫婦や子どもの医療費が重なった場合

Cさん一家では、同じ月に夫が手術を受け、子どもも通院しました。

この場合、一定の条件を満たせば、 家族の自己負担額を合算できる可能性があります。

ただし、家族であれば無条件に合算できるわけではありません。

協会けんぽの場合、同じ被保険者と被扶養者であることが基本です。

参考: 協会けんぽ「高額療養費」

夫は協会けんぽ、妻は勤務先の健康保険組合、 子どもは妻の扶養という場合、 夫と妻・子どもの医療費を一つにまとめられない可能性があります。

反対に、夫が被保険者で、妻と子どもが夫の被扶養者であれば、 一定の条件のもとで世帯合算ができる場合があります。

家族構成だけでなく、 「誰の健康保険に加入しているか」を確認することが重要です。

ケース4|個人事業主が入院した場合

Dさんは一人で事業を営む個人事業主です。

入院によって医療費がかかるだけでなく、 仕事を休むため売上も下がります。

会社員であれば、加入条件を満たすことで 傷病手当金を受け取れる場合があります。

しかし、国民健康保険に加入する個人事業主は、 一般に会社員と同じ傷病手当金が必ず用意されているわけではありません。

そのため、個人事業主は医療費の上限だけでなく、 休業中の生活費や事業の固定費も含めて準備する必要があります。

確認しておきたいのは、次の点です。

  • 自分が加入している健康保険
  • 高額療養費の所得区分
  • 生活費を何か月分確保しているか
  • 家賃、リース料、外注費などの固定費
  • 民間保険や共済の保障内容
  • 自分が休んだ場合の顧客対応方法

高額療養費制度は大切な支えですが、 減少した売上まで補う制度ではありません。

個人事業主は「医療費対策」と「休業対策」を分けて考える必要があります。

ケース5|転職や退職で健康保険が変わる場合

Eさんは長期治療を受けながら転職を予定しています。

現在は高額療養費の多数回該当に該当しています。

ここで注意したいのが、健康保険が変わると、 多数回該当の回数が原則として引き継がれない場合があることです。

協会けんぽでは、国民健康保険や健康保険組合から 協会けんぽに変わった場合など、 保険者が変わると以前の回数は通算されないと案内しています。

参考: 協会けんぽ「高額療養費」

退職によって本人から家族の扶養へ変わった場合も、 同一被保険者として扱われず、 回数が通算されない場合があります。

治療中に転職や退職を考えている方は、

  • 現在の健康保険
  • 退職後の健康保険
  • 多数回該当の回数
  • 年間上限の扱い
  • 資格が切り替わる日

を事前に確認しておくことが大切です。

会社ができること

従業員から医療費について相談を受けたとき、 会社が病名や治療内容を詳しく聞き出す必要はありません。

プライバシーに配慮しながら、次の情報を案内するとよいでしょう。

  • 加入している健康保険の問い合わせ先
  • 高額療養費制度の案内ページ
  • マイナ保険証や限度額適用認定に関する情報
  • 傷病手当金の案内
  • 休職や有給休暇に関する社内制度
  • 病院の医療相談窓口

制度の説明と、会社の就業制度の説明を分けることも重要です。

「医療費の支給は健康保険」
「休職や復職の手続きは会社」

というように、相談先を整理して伝えると、 従業員も行動しやすくなります。

まとめ+要約

高額療養費制度の影響は、年齢や所得だけでなく、 治療期間、家族の加入先、転職や退職の有無によって変わります。

短期間の手術では、 月額上限の引き上げによって負担が増える場合があります。

長期治療では、 新しい年間上限によって負担が軽くなる可能性があります。

家族の医療費は、同じ健康保険に加入しているなどの条件を満たせば、 世帯合算できる場合があります。

転職や退職で健康保険が変わる方は、 多数回該当の回数が引き継がれない可能性に注意が必要です。

FAQ

Q1.同居している家族なら、医療費をすべて合算できますか?

いいえ。同居だけでなく、 同じ健康保険の被保険者と被扶養者であることなどの条件があります。

Q2.転職しても多数回該当は引き継がれますか?

加入する健康保険の運営者が変わる場合、 原則として回数が通算されないことがあります。 転職前後の健康保険に確認してください。

Q3.高額療養費制度で、仕事を休んだ分の収入も補償されますか?

いいえ。高額療養費制度は医療費の自己負担を抑える制度です。 休業中の収入については、傷病手当金、会社の休職制度、 民間保険などを別に確認する必要があります。

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