中小零細企業こそ確認したいiDeCo改正|会社の年金制度と個人の備えをどう考える?

はじめに

中小零細企業では、大企業のように退職金制度や企業年金が十分に整っていないことがあります。

「うちの会社には退職金があるのか」
「企業型DCはあるのか」
「自分でiDeCoを使った方がいいのか」

こうした疑問を持ったまま、なんとなく老後資金づくりを後回しにしている方も多いはずです。

2026年12月のiDeCo改正では、会社員の掛金上限が大きく見直されます。企業年金がない会社員は、現在の月額2万3,000円から月額6万2,000円へと上限が広がる予定です。

中小零細企業で働く方にとって、これは「会社に任せる老後対策」から「会社制度と自分の制度を組み合わせる老後対策」へ変わるきっかけになります。

1. 中小零細企業でiDeCo改正が重要な理由

中小零細企業では、退職金制度がない、または金額が限られるケースがあります。

その場合、老後資金は公的年金だけでなく、自分自身で積み立てる仕組みを持つことが大切です。

iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税で再投資されます。受け取り時にも、一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除が使える仕組みです。

つまり、所得がある会社員にとって、iDeCoは「老後資金を準備しながら、税負担を軽くできる可能性がある制度」です。

特に、会社に企業年金や十分な退職金制度がない場合、自分で準備できる制度を知っているかどうかで、将来の安心感が変わります。

今回の改正によって、企業年金がない会社員のiDeCo上限が広がる予定です。そのため、中小零細企業で働く方ほど、自分の勤務先制度とiDeCoの関係を早めに確認しておく価値があります。

2. まず確認したい勤務先の制度

iDeCoを考える前に、まず確認したいのは、勤務先にどのような老後資金制度があるかです。

同じ会社員でも、勤務先の制度によってiDeCoで積み立てられる上限が変わる場合があります。

確認項目 見るポイント
退職金制度 退職時にどのくらい受け取れそうか
企業型DC 会社が掛金を出しているか
マッチング拠出 従業員が上乗せできるか
確定給付企業年金 会社独自の年金制度があるか
iDeCo+ 中小企業向けに会社が掛金を上乗せする制度があるか

勤務先制度がわからない場合は、就業規則、退職金規程、給与明細、人事・総務担当者への確認が必要です。

特に企業型DCや確定給付企業年金がある場合は、iDeCoの上限が会社制度との合算で決まることがあります。

たとえば、会社がすでに企業型DCに掛金を出している場合、その分を含めて上限を考える必要があります。

「会社員だから一律でいくらまで使える」という単純な話ではないため、まずは自分の勤務先制度を知ることが第一歩です。

3. 企業年金がない会社員はどう備えるか

企業年金がない会社員は、今回の改正で特に影響が大きい層です。

これまで月額2万3,000円が上限だった方が、制度改正後は月額6万2,000円まで拠出できる可能性があります。

これは、老後資金づくりの選択肢が大きく広がるということです。

ただし、最初から上限いっぱいにする必要はありません。

iDeCoは原則として60歳まで引き出せない制度です。毎月の掛金を高くしすぎると、急な支出や家計の変化に対応しにくくなることがあります。

たとえば、次のように段階的に考えると現実的です。

家計の状態 考え方
生活費に余裕が少ない まずは貯金を優先
毎月1万円程度なら余裕がある 少額からiDeCoを検討
ボーナスや収入に安定感がある NISAとiDeCoの併用を検討
50代で老後資金を急ぎたい 掛金増額も選択肢

iDeCoは長く続ける制度です。無理な金額よりも、続けられる金額の方が大切です。

制度改正後に上限が広がったとしても、まずは「毎月いくらなら家計に負担なく続けられるか」を確認しましょう。

4. 企業年金がある会社員は何に注意するか

企業年金がある会社員は、単純に「6万2,000円までiDeCoが使える」と考えない方がよいです。

企業型DCや確定給付企業年金など、会社がすでに老後資金づくりを支援している場合、その分を含めて上限を計算する必要があります。

たとえば、会社が企業型DCに毎月2万円を出している場合、iDeCoで使える枠は残りの範囲になる可能性があります。

この確認をせずに計画すると、「思っていたほどiDeCoに掛けられない」ということが起こります。

また、企業型DCに加入している方は、すでに会社を通じて投資信託などで運用している場合があります。

その場合、iDeCoでも同じような商品を選ぶと、資産の中身が偏ることがあります。

企業年金がある方は、次の3点を確認しておきましょう。

  • 会社が毎月いくら掛金を出しているか
  • 自分がiDeCoでいくらまで拠出できるか
  • 企業型DCとiDeCoの商品内容が重なりすぎていないか

まずは、自分の会社がどの制度を導入しているかを確認することが大切です。

5. 経営者・役員が考えておきたい視点

中小企業の経営者や役員にとって、iDeCo改正は従業員の福利厚生を見直す機会にもなります。

従業員が将来への不安を抱えていると、仕事への集中や定着にも影響します。

制度改正をきっかけに、次のような取り組みを検討できます。

  • 従業員向けにiDeCoの基本を案内する
  • 退職金制度や企業型DCの有無をわかりやすく説明する
  • iDeCo+など、中小企業向け制度の活用可能性を確認する
  • 家計や老後資金に関する相談機会をつくる

特に中小零細企業では、制度があっても従業員に十分伝わっていないことがあります。

「会社に退職金があるのか」
「自分はいくらまでiDeCoを使えるのか」
「NISAとiDeCoをどう使い分ければいいのか」

このような不安を放置せず、会社として情報提供の機会をつくることは、従業員の安心感につながります。

経営者自身にとっても、役員報酬、退職金、事業承継、老後資金を一体で考えるきっかけになります。

まとめ+要約

中小零細企業で働く方にとって、2026年12月のiDeCo改正は大きな意味があります。

特に企業年金がない会社員は、iDeCoの活用枠が大きく広がる可能性があります。一方で、企業年金がある場合は、会社制度との合算上限を確認する必要があります。

まずは、勤務先の退職金制度、企業型DC、確定給付企業年金、iDeCo+の有無を確認しましょう。

経営者にとっても、従業員の将来不安を減らす福利厚生の見直し機会になります。

制度改正を正しく活かすためには、「自分はいくらまで使えるか」だけでなく、「家計に無理なく続けられるか」「会社制度と重なっていないか」まで確認することが大切です。

FAQ

Q1. 会社に企業年金があるかどうか、どう確認すればよいですか?

就業規則、退職金規程、給与明細、人事・総務担当者への確認が基本です。企業型DCに加入している場合は、運営管理機関から案内が届いていることもあります。

Q2. 企業年金があるとiDeCoは使えないのですか?

使える場合があります。ただし、企業年金等との合算上限があるため、自分がいくらまで拠出できるか確認が必要です。

Q3. 中小企業の経営者もiDeCoを使えますか?

役員報酬を受けている場合など、加入区分によって扱いが変わります。個人の働き方や社会保険加入状況により判断が必要です。

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