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高額療養費制度の改正に備えて、今から家族と会社でできること

高額療養費制度の改正に備えて、今から家族と会社でできること

※本記事は2026年7月19日時点の厚生労働省・協会けんぽの公表情報をもとに作成しています。 制度の利用条件や実際の支給額は、年齢、所得、加入している健康保険、 治療内容などによって異なります。

はじめに

高額療養費制度は、病気になった人だけが知っていればよい制度ではありません。

誰でも、突然の病気やけがによって、入院や手術が必要になる可能性があります。

しかし、元気なときに医療費の制度を調べる人は多くありません。

その結果、いざというときに、

「何を申請すればよいのかわからない」
「どこへ電話すればよいかわからない」
「もっと早く知っていれば準備できたのに」

という状態になりやすいのです。

2026年8月から制度が変わる今こそ、自分、家族、従業員のために、 最低限の確認をしておきましょう。

5日間で確認した制度改正の要点

今回のシリーズでお伝えした重要点は、次のとおりです。

高額療養費制度の基本

1か月の保険診療の自己負担が、 年齢や所得に応じた上限を超えた場合に、 超過分が支給される制度です。

参考: 協会けんぽ「高額療養費制度の見直しについて」

2026年8月の変更

多くの所得区分で、月ごとの自己負担限度額が見直されます。

一方で、8月から翌年7月までの年間上限が新設されます。

参考: 協会けんぽ「高額療養費」

多数回該当

直近12か月で3回以上、高額療養費の対象となった場合、 4回目から限度額が低くなる仕組みです。

今回の見直しでも、多数回該当の金額は原則として維持されます。

参考: 厚生労働省「高額療養費制度の見直しに関する資料」

2027年8月の変更

所得に応じた負担をより細かく設定するため、 所得区分が細分化される予定です。

また、標準報酬月額15万円以下の方について、 多数回該当額の引き下げなどが予定されています。

参考: 協会けんぽ「高額療養費」

個人と家族が今すぐ確認すること

制度を完璧に理解する必要はありません。

まずは、次の5点だけでも確認してください。

1.家族それぞれの健康保険

家族全員が同じ健康保険に入っているとは限りません。

夫婦が別々の勤務先で働いている場合、 子どもがどちらの扶養に入っているかも確認します。

2.自分の所得区分

会社員の場合は標準報酬月額、 国民健康保険の場合は所得区分を確認します。

「年収がおよそいくらだから、この区分だろう」と自己判断せず、 加入している健康保険へ確認することが大切です。

3.高額療養費以外の保障

高額療養費は、保険診療の自己負担を抑える制度です。

次の費用や損失まですべて補うものではありません。

  • 差額ベッド代
  • 食事代
  • 交通費
  • 家族の付き添い費用
  • 先進医療の技術料
  • 休業による収入減
  • 家事や育児の代行費用

公的制度で足りない部分を、 貯蓄や民間保険などでどのように補うか考えます。

4.家族が手続きできる状態か

本人が入院中で動けない場合、 家族が保険や会社の手続きをすることがあります。

健康保険の加入先、会社の連絡先、保険契約、銀行口座などを、 家族が確認できるようにしておきましょう。

5.公式情報の確認先

制度について不明な点があるときは、 SNSの投稿だけで判断せず、次の窓口を確認します。

  • 加入している健康保険
  • 市区町村の国民健康保険窓口
  • 後期高齢者医療制度の窓口
  • 医療機関の相談窓口
  • 厚生労働省
  • 協会けんぽ

中小企業が準備したいこと

中小企業では、総務担当者が一人しかいない、 または経営者自身が労務手続きを担当していることもあります。

そのため、担当者が不在でも案内できるよう、 情報を共有しておくことが大切です。

社内案内に含めたい内容

  • 加入している健康保険
  • 健康保険の連絡先
  • 高額療養費制度の案内
  • 傷病手当金の案内
  • 休職制度
  • 有給休暇の申請方法
  • 復職時の手続き
  • 会社独自の見舞金
  • 団体保険
  • 相談担当者

従業員への伝え方

制度改正を伝えるときは、恐怖を強める表現を避けます。

たとえば、

「医療費の負担が大幅に増えます」

と一方的に伝えると、不安だけが広がります。

代わりに、

「2026年8月から月ごとの上限額が見直されます。 一方で、長期治療に配慮した年間上限が新設されます。 詳細は所得区分や治療期間によって異なるため、 該当する方は健康保険へ確認してください」

と伝えると、事実を正確に伝えながら、 必要な行動へつなげられます。

個人情報への配慮

従業員が相談してきたとき、 必要以上に病名や治療内容を聞かないことも大切です。

高額療養費の手続きは健康保険が担当し、 会社は社内の休職や給与、 傷病手当金の事業主記入欄などを担当します。

それぞれの役割を分けることで、 従業員のプライバシーを守りやすくなります。

個人事業主が備えたいこと

個人事業主は、自分が働けなくなったときに、 事業そのものが止まる可能性があります。

そのため、制度の確認だけでなく、 事業を継続する準備も必要です。

最低限まとめておきたい情報

  • 顧客や取引先の連絡先
  • 請求予定
  • 支払い予定
  • 税理士や専門家の連絡先
  • 契約中のサービス
  • 毎月の固定費
  • 家族が代理で連絡できる範囲
  • データやパスワードの管理方法
  • 民間保険や共済の連絡先

病気への備えは、医療保険に加入することだけではありません。

「自分が1か月動けなくても、生活と事業を維持できるか」

という視点で考えることが重要です。

制度だけに頼らない資金準備

高額療養費制度があるからといって、 貯蓄が不要になるわけではありません。

制度の対象外費用や収入減を考えると、 一定の予備資金は必要です。

家庭では、毎月の生活費を確認します。

事業では、毎月の固定費を確認します。

そのうえで、

  • 何か月分の資金を用意するか
  • すぐに使える預貯金はいくらか
  • 保険から受け取れる金額はいくらか
  • 家族や従業員が手続きを把握しているか

を整理します。

大切なのは、むやみに不安になることではありません。

「わからない」を一つずつ減らし、 使える制度と不足する資金を見えるようにすることです。

今日から始める5つの行動

行動1

自分と家族が加入している健康保険を書き出す。

行動2

自分の所得区分と、2026年8月以降の月額上限を確認する。

行動3

高額療養費の対象外になる費用を確認する。

行動4

会社の休職制度、傷病手当金、民間保険を確認する。

行動5

家族や社内で、問い合わせ先と手続き方法を共有する。

この5つを行うだけでも、 突然の入院時に感じる混乱は大きく減ります。

まとめ+要約

高額療養費制度は、医療費の自己負担を抑える大切な制度です。

2026年8月から月ごとの限度額が見直される一方、 長期治療に配慮した年間上限が新設されます。

2027年8月からは、 所得区分がさらに細分化される予定です。

個人や家族は、加入している健康保険、所得区分、 対象外費用、休業中の収入対策を確認しましょう。

企業は、従業員が困ったときに正しい相談先へつなげられるよう、 社内案内を整備することが大切です。

制度を知ることは、不安を増やすためではありません。

突然の病気やけがが起きたときに、 落ち着いて次の行動を選べるようにするためです。

FAQ

Q1.2026年8月までに何をすればよいですか?

自分と家族の健康保険、所得区分、改正後の上限額、 勤務先の保障制度を確認してください。 治療中の方は、年間上限や多数回該当について 加入先へ確認することをおすすめします。

Q2.民間の医療保険は解約しても大丈夫ですか?

高額療養費制度は、差額ベッド代、食事代、 収入減などをすべて補う制度ではありません。 解約や見直しは、公的制度、貯蓄、家族構成、 働き方を確認して慎重に判断してください。

Q3.制度の情報はどこで確認するのが確実ですか?

厚生労働省、協会けんぽ、健康保険組合、 市区町村などの公式情報を確認してください。 個別の上限額や申請方法は、 実際に加入している健康保険へ問い合わせるのが確実です。

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