ルールだけでは足りない!職場の熱中症を防ぐ7つの実践対策

はじめに

熱中症対策の手順書を作った。

連絡先も掲示した。

従業員にも一度説明した。

それでも、職場の環境が暑いままでは、熱中症の危険は残ります。

これから必要なのは、「起きた後の対応」と「起きる前の予防」を 一つにつなげることです。

今回は、中小企業や小規模な事業所でも取り組みやすい 七つの対策を紹介します。

目次

  1. WBGT値を確認する
  2. 冷房設備を点検する
  3. 休憩の取り方を変える
  4. 水分と塩分を取りやすくする
  5. 体調を確認する
  6. 一人作業を減らす
  7. 緊急対応を練習する

1.WBGT値を確認する

気温だけで熱中症の危険を判断しないことが大切です。

WBGTは、気温、湿度、風、周囲からの熱などを考慮した 暑さの指標です。

作業場所にWBGT計を置き、時間帯ごとに確認します。

測る場所は、事務所の入口ではなく、 実際に長く作業する場所です。

屋外であれば日なたと日陰、屋内であれば機械の近くや窓際など、 環境が違う場所を分けて確認します。

厚生労働省は、2026年の職場の熱中症対策でも、 WBGT値の把握と、その値に応じた対策を重点事項としています。

2.冷房設備を点検する

暑くなってから故障に気づくと、 修理業者の手配に時間がかかることがあります。

本格的な暑さが始まる前に、次の点を確認します。

  • 冷たい風が出るか
  • 異音や水漏れがないか
  • フィルターが詰まっていないか
  • 室外機の周囲がふさがれていないか
  • 部屋の広さに能力が合っているか
  • 停電や故障時の代替策があるか

厚生労働省のガイドラインでは、 おおむね4月中までに夏季の対策準備を進めることが示されています。

3.休憩の取り方を変える

「昼休みが1時間あるから大丈夫」とは限りません。

高温環境では、短い休憩をこまめに取ることが重要です。

また、休憩時間が決められていても、移動に時間がかかる、 電話対応を続けている、休憩場所が暑いといった状態では、 身体を十分に冷やせません。

休憩については、次の点を確認します。

  • 暑さに応じて回数を増やせるか
  • 作業者が自分の判断で休めるか
  • 休憩中に仕事をさせていないか
  • 冷房の効いた場所があるか
  • 横になれるスペースがあるか
  • 休憩場所までの移動時間を考慮しているか

4.水分と塩分を取りやすくする

「各自で飲み物を持参してください」だけでは、 十分に飲めない場合があります。

作業場所の近くに、飲料水や必要に応じた塩分補給品を準備します。

ただし、高血圧や糖尿病などで塩分や糖分の制限がある人もいます。 持病のある人には、一律に大量摂取を求めず、 主治医や産業医への相談も必要です。

飲んだかどうかを本人任せにせず、 声かけや巡回で確認することも有効です。

5.体調を確認する

熱中症は、当日の暑さだけでなく、前日の疲労、睡眠不足、 二日酔い、食欲低下、下痢、発熱などが重なると起こりやすくなります。

朝礼や作業開始前に、簡単な確認を行います。

  • よく眠れたか
  • 食事を取ったか
  • 発熱や下痢はないか
  • 頭痛やだるさはないか
  • 前日の疲れが残っていないか

病名や詳しい治療内容を皆の前で答えさせるのではなく、 プライバシーに配慮した方法で確認します。

体調に不安がある人には、作業変更、時間短縮、 涼しい場所への配置などを検討します。

6.一人作業を減らす

熱中症が重症化すると、 本人が連絡できなくなる可能性があります。

高温環境では、できるだけ一人作業を避けます。

避けられない場合は、次の方法を組み合わせます。

  • 定時連絡
  • 管理者による巡回
  • 電話や業務アプリでの確認
  • 緊急連絡ボタン
  • 位置情報の共有
  • 連絡がない場合の確認ルール
  • 作業終了後の報告

ウェアラブル機器も選択肢になりますが、 機器だけで状態を正確に把握できるとは限りません。 厚生労働省も、ほかの確認方法と組み合わせることが 望ましいとしています。

7.緊急対応を練習する

手順書は、読むだけでは身につきません。

年に一度でもよいので、次のような簡単な練習を行います。

「作業者がふらついている」

「呼びかけへの返事がおかしい」

「一人作業者から定時連絡がない」

このとき、誰が作業を止め、誰が身体を冷やし、 誰が救急車を呼び、誰が入口まで迎えに行くのかを確認します。

救急車を呼ぶ際には、事業所名だけでなく、 作業場所の住所、入口、階数、目印などを 伝えられるようにします。

まとめ+要約

職場の熱中症対策は、緊急時のルール作りだけでは完成しません。

WBGT値の確認、冷房設備の点検、こまめな休憩、 水分・塩分補給、体調確認、一人作業への対応、 緊急時の練習を組み合わせることが必要です。

特に重要なのは、「制度として用意しているか」ではなく、 「現場で実際に使えるか」です。

小さな会社でも、一度にすべてを完璧にする必要はありません。 危険性の高い場所から順番に改善していくことが、 事故防止につながります。

FAQ

Q1.WBGT計はどこに置けばよいですか?

実際に作業する場所や、特に暑くなりやすい場所で測ります。 直射日光、熱源、風通しなど、環境の違いがある場合は、 場所を分けて測定します。

Q2.ファン付き作業服があれば安心ですか?

身体を冷やす助けにはなりますが、 それだけで熱中症を完全に防げるわけではありません。 休憩、冷房、水分補給、作業時間の調整などと組み合わせます。

Q3.本人が休憩を断った場合はどうしますか?

明らかな異変がある場合は、本人の意思だけに任せず、 作業を止めて状態を確認します。 熱中症によって判断力が低下している可能性があるためです。