ジギョケイやBCPを作っただけで終わる会社が見落としている大切なこと

ジギョケイやBCPを作っただけで終わる会社が見落としている大切なこと

はじめに

「ジギョケイを認定してもらった」

「BCPも一応作った」

「これで災害や感染症の対策は大丈夫」

そう思っている中小企業や介護事業者は、決して少なくありません。

たしかに、事業継続力強化計画やBCPを作ることは、とても大切です。何も準備していない状態より、はるかに前進しています。

しかし、本当に大切なのはその後です。

計画は、作った瞬間に会社を守ってくれるものではありません。実際に災害、感染症、人手不足、停電、システム停止、取引先トラブルなどが起きたときに、従業員が動ける状態になっていて、初めて意味を持ちます。

つまり、ジギョケイやBCPは「完成品」ではなく、「育てていく経営の仕組み」です。

ジギョケイとBCPを作っただけでは不十分な理由

事業継続力強化計画、いわゆるジギョケイは、中小企業が防災や減災のために事前対策をまとめ、経済産業大臣から認定を受ける制度です。中小企業庁では、この制度を「中小企業のための取り組みやすいBCP」と位置づけています。

ここで大切なのは、「取り組みやすい」という言葉です。

ジギョケイは、会社を守るための入り口です。

しかし、入り口に立っただけで安全になるわけではありません。

たとえば、避難経路を紙に書いても、従業員がその場所を知らなければ、いざというときに動けません。非常用備品の一覧を作っても、保管場所が変わっていたり、期限切れになっていたりすれば役に立ちません。

BCPも同じです。

「誰が連絡するのか」

「誰が利用者や顧客を守るのか」

「どの業務を先に再開するのか」

「人が足りないとき、何を止めるのか」

これらが現場で共有されていなければ、計画は書類のまま止まってしまいます。

多くの会社が陥る「作成したから安心」という落とし穴

中小零細企業では、日々の業務が忙しく、計画を作った後の見直しまで手が回らないことがあります。

「とりあえず提出できた」

「認定された」

「監査や実地指導に備えて書類はある」

この状態で止まってしまうと、いざというときに困るのは現場です。

特に危ないのは、作成した当時の情報のまま放置されているケースです。

従業員の人数が変わった。

管理者が交代した。

利用者の状態が変わった。

取引先が変わった。

設備や車両が増えた。

感染症対応の考え方が変わった。

会社は毎日少しずつ変わっています。

それなのにBCPだけが昔のままだと、現実とズレてしまいます。

このズレが、非常時の混乱を大きくします。

特に介護事業者が注意すべきポイント

介護事業者の場合、BCPは単なる会社の防災計画ではありません。

利用者の命、生活、家族の安心、地域からの信頼に関わります。厚生労働省も、感染症や自然災害が発生した場合でも介護サービスが安定的・継続的に提供されることが重要だとして、介護施設・事業所向けのBCP作成支援資料や研修動画を公開しています。

介護現場では、災害時に次のような判断が必要になります。

送迎中に地震が起きたらどうするか。

停電でナースコールや空調が止まったらどうするか。

職員が出勤できないとき、どのサービスを優先するか。

感染症が広がったとき、誰がゾーニングを判断するか。

家族への連絡は誰が、どの順番で行うか。

これらは、紙に書いてあるだけでは足りません。

普段から話し合い、訓練し、修正しておく必要があります。

計画を現場で使える状態にするために必要なこと

ジギョケイやBCPを本当に役立てるには、「作成」ではなく「運用」が必要です。

まずは、従業員に内容を共有することです。

難しい説明会でなくても構いません。朝礼や会議で、少しずつ確認するだけでも前進します。

次に、簡単な訓練を行うことです。

大がかりな避難訓練でなくても、「地震が起きたら最初の10分で何をするか」を話し合うだけでも効果があります。

そして、定期的に見直すことです。

年1回でも、半年に1回でも構いません。人員、設備、連絡先、優先業務、備蓄品を確認し、今の会社に合う内容へ直していくことが大切です。

BCPは、一度作れば終わりではありません。

会社の変化に合わせて、少しずつ育てていくものです。

まとめ+要約

ジギョケイやBCPは、作ること自体がゴールではありません。

大切なのは、現場で使える状態にすることです。

特に中小零細企業や介護事業者では、日々の業務に追われて、計画の見直しや訓練が後回しになりがちです。しかし、非常時に本当に会社や利用者を守るのは、書類そのものではなく、日頃からの共有、訓練、改善です。

ジギョケイやBCPを作成済みの企業ほど、次に考えるべきことがあります。

それは、「この計画は、今の現場で本当に使えるのか?」という問いです。

FAQ

Q1. ジギョケイとBCPは同じものですか?

完全に同じではありません。ジギョケイは中小企業向けに取り組みやすく設計された計画制度で、BCPの入り口として活用できます。一方、BCPは災害や感染症などの非常時に、事業を止めない、または早く再開するための具体的な計画です。

Q2. 認定を受けた後も見直しは必要ですか?

必要です。会社の人員、設備、取引先、利用者の状況は変わります。作成時のまま放置すると、実際の現場と合わなくなるため、定期的な見直しが重要です。

Q3. 介護事業者は特に何に注意すべきですか?

利用者の安全、職員の出勤体制、感染症対応、家族連絡、サービス継続の優先順位です。書類作成だけでなく、職員が動けるように共有と訓練を行うことが大切です。

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