同一労働同一賃金に会社はどう対応する?2026年10月までに中小企業がやるべきこと

はじめに

「制度の意味は分かった。でも、結局会社として何をすればいいの?」

ここが経営者にとって一番知りたいところではないでしょうか。

制度対応という言葉を聞くと、

「給与制度を全部作り直すのか?」

「専門家に大掛かりな制度設計を頼まないといけないのか?」

と思うかもしれません。

まず必要なのはもっとシンプルです。

現状を把握し、違いを見つけ、理由を確認する。

ここから始めます。

目次

  1. ステップ1:雇用区分を整理する
  2. ステップ2:待遇差を書き出す
  3. ステップ3:違いの理由を確認する
  4. ステップ4:説明できる資料を準備する
  5. ステップ5:2026年10月の新ルールに備える

ステップ1 どんな人を雇っているか整理する

まず、

正社員、

パート、

アルバイト、

契約社員、

有期社員、

など、自社でどのような雇用区分を使っているか確認します。

小さな会社の場合、

「社員は5人だけだから関係ない」

と思うかもしれません。

しかし重要なのは人数だけではなく、

パートや有期雇用の方と正社員との待遇差があるか

です。

ステップ2 待遇を横に並べる

次に待遇を書き出します。

たとえば、

項目 正社員 パート
基本給 月給 時給
賞与 あり なし
通勤手当 あり あり
家族手当 あり なし
住宅手当 あり なし
夏季休暇 3日 なし
退職金 あり なし

この作業をするだけでも、

「思った以上に違いが多いな」

と気づく会社があります。

ステップ3 その違いに理由を書いてみる

次に一つずつ、

「なぜ違うのか?」

を書いてみます。

たとえば、

正社員には管理責任がある。

転勤がある。

担当する仕事の範囲が広い。

部下の育成責任がある。

会社業績への責任がある。

こうした理由が待遇の目的と結びついているか確認します。

逆に、

「正社員だから」

「昔からそうだから」

だけの場合は、もう一段深く確認してみる必要があります。

ステップ4 従業員に説明できる状態にする

すでに現在の制度でも、パート・有期雇用労働者から求められた場合、 正社員との待遇差の内容や理由などについて説明する必要があります。

参考: 厚生労働省「同一労働同一賃金」

さらに2026年10月からは説明方法も明確化されます。

基本的には、

資料を使いながら口頭で説明する方法

または、

必要事項をすべて記載した、本人が理解しやすい資料を渡す方法

などで対応します。

参考: 厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法に関する改正資料」

つまり経営者としては、

「質問されたらそのとき考えよう」

より、

あらかじめ説明できる材料を用意しておく

方が安心です。

ステップ5 雇用契約書や労働条件通知書を確認する

2026年10月1日からは、パートタイム・有期雇用労働者を雇う際の明示事項に、

待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる旨

が追加されます。

参考: 厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法」

そのため、

現在使っている労働条件通知書、

雇用契約書、

採用時に渡している資料なども確認しておきましょう。

厚生労働省は改正対応のモデル労働条件通知書も公開しています。

参考: 厚生労働省「労働条件通知書等の参考様式」

では、社会保険料はどうなる?

ここで経営者が気になるもう一つの問題があります。

「パートの待遇を見直したら、社会保険料まで増えるのでは?」

という疑問です。

まず、

同一労働同一賃金の制度と、社会保険の加入ルールは別の制度です。

「同一労働同一賃金になったから自動的に全員社会保険に入る」

という仕組みではありません。

ただし、賃金や労働時間を見直した結果、 社会保険の加入条件に該当するケースはあり得ます。

現在、一定の条件を満たす51人以上の企業等では、 対象となる短時間労働者が健康保険・厚生年金の加入対象となります。

さらに2027年10月から企業規模要件が36人以上へ拡大され、 その後も段階的な拡大が予定されています。

参考: 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」

そのため、

同一労働同一賃金への対応と、

社会保険の適用条件の確認は、

分けて考えつつ、一緒に人件費を試算しておく

ことが重要です。

まとめ+要約

中小企業が最初から大規模な制度改革を行う必要があるとは限りません。

まずは、

雇用区分を確認する。

待遇差を書き出す。

差の理由を整理する。

従業員に説明できるようにする。

契約書類を確認する。

この順番で進めてください。

さらに給与を変更する場合は、 社会保険料への影響も含めて人件費を確認しておくと安心です。

FAQ

Q1. 2026年10月までに給与を全部変更する必要がありますか?

一律に変更するということではありません。 まず自社の待遇が改正後のガイドラインの考え方に沿っているかを点検し、 必要な場合に見直します。 厚生労働省も事業主にその点検を求めています。

参考: 厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」

Q2. 社会保険料も必ず増えますか?

必ずではありません。 社会保険の加入は別のルールで判断されます。 ただし賃金や勤務条件の変更によって影響する場合があるため、 併せて確認すると安心です。

Q3. 分からない場合はどこへ相談できますか?

厚生労働省は各都道府県に「働き方改革推進支援センター」を設置しており、 事業主向け相談や支援を行っています。

参考: 厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」

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