「パートだから手当なし」は大丈夫?中小企業で起こりやすい同一労働同一賃金の事例

はじめに

制度の説明だけを聞いても、

「自分の会社では何を見ればいいのか分からない」

という方も多いと思います。

そこで今日は、中小企業で起こりやすい場面を例に考えてみましょう。

※以下は理解しやすくするための一般的な例です。 実際の判断は仕事内容や制度の目的などによって異なります。

目次

  1. ケース1:通勤手当
  2. ケース2:家族手当
  3. ケース3:夏季・冬季休暇
  4. ケース4:賞与
  5. 「昔からこうしている」が危ない理由

ケース1 正社員だけ通勤手当あり

正社員AさんとパートBさん。

二人とも電車で同じ店舗に通っています。

Aさんには交通費を支給。

Bさんには、

「パートだから」

という理由で支給していません。

このようなケースでは、

通勤にかかる費用を補助するという手当の目的

から考えて、その差を説明できるか確認が必要です。

大切なのは、手当の名前ではなく、

「何のために払っているお金なのか」

を見ることです。

ケース2 正社員だけ家族手当あり

2026年10月からの改正ガイドラインでは、 家族手当についても考え方が示されます。

厚生労働省は、相応に継続的な勤務が見込まれる パートタイム・有期雇用労働者について、 家族手当の目的が同様に当てはまる場合には、 正社員と同一の手当を支給する考え方を示しています。

参考: 厚生労働省

「正社員という名称だから支給」

ではなく、

その手当を設けている目的から考える

ということです。

ケース3 正社員だけ夏季休暇あり

たとえば、

正社員には夏休み3日。

パート社員にはなし。

長期間、同じ職場で勤務しているパート社員がいた場合、

「なぜ正社員だけなのですか?」

と聞かれる可能性があります。

2026年10月改正では、夏季・冬季休暇についても記載が追加され、 パートタイム・有期雇用労働者に対して 正社員と同一の夏季・冬季休暇を付与する考え方が示されています。

参考: 厚生労働省

今まで当たり前だった制度も、改めて理由を確認する必要があります。

ケース4 正社員だけボーナスあり

「ボーナスは正社員だけ」

という会社も珍しくありません。

ここでも、

賞与は何に対して支払っているのか?

を考えます。

会社業績への貢献。

勤務成績。

長期勤務への期待。

功労への報酬。

その目的によって判断材料が変わります。

2026年10月改正のガイドラインでは、 賞与や退職手当について、 性質や目的がパート・有期社員にも当てはまるにもかかわらず、 職務内容等の違いに応じた均衡の取れた内容を支給しない場合、 不合理と判断される可能性がある点が示されています。

参考: 厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン関連資料」

「昔からこうしている」が一番説明しにくい

中小企業には長い歴史があります。

10年前、20年前に作った給与制度が、 そのまま残っている会社も珍しくありません。

当時は、

「正社員には住宅手当」

「パートにはなし」

「社員には休暇あり」

「パートにはなし」

という制度が普通だった会社もあるでしょう。

問題は、

現在その差を説明できるか

です。

従業員から、

「なぜ私は対象外なんですか?」

と聞かれたとき、

「うちは昔からそうだから」

だけでは、十分な説明になりにくくなります。

むしろ制度改正を、

給与制度を整理するきっかけ

と考えた方がよいでしょう。

まとめ+要約

同一労働同一賃金では、

「正社員か、パートか」

という肩書きだけを見るのではありません。

それぞれの待遇について、

その待遇は何のためにあるのか

その目的はパート社員にも当てはまるのか

を考えることが重要です。

特に手当、賞与、休暇について 昔から雇用形態だけで分けている会社は、 2026年10月を前に一度整理しておきましょう。

FAQ

Q1. パートにも住宅手当が必要になりますか?

一律ではありません。 たとえば2026年改正ガイドラインでは、 正社員と同様に転居を伴う配置変更があるパート等について、 同一の住宅手当を支給する考え方が示されています。

参考: 厚生労働省

Q2. 福利厚生も対象になりますか?

はい。 厚生労働省のガイドラインは 賃金だけではなく福利厚生などについても扱っています。

参考: 厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」

Q3. 昔作った給与規程でも問題ありませんか?

古いこと自体が問題なのではありません。 ただ、現在の仕事内容や待遇制度と合っているか、 待遇差を合理的に説明できるかは確認した方がよいでしょう。

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