SDGsとCSVの違いとは?中小企業が「続けられる取り組み」を考える方法

前回は、SDGsを社会の課題に気づく手がかりにすると、CSVを考えやすくなることをお伝えしました。

では、SDGsとCSVは具体的にどう違うのでしょうか。「SDGsに関係する活動をしていれば、CSVにも取り組んでいる」と考えてよいのか、迷う方もいると思います。

答えは、SDGsに関係する活動が、必ずしもCSVになるわけではない、ということです。Day2では両者の役割を整理し、小さな事業でも無理なく続けられる取り組みの条件を考えます。

SDGsは「課題を見つける手がかり」、CSVは「事業で応える考え方」

SDGsは、2030年に向けた17の国際目標です。働きがい、健康、地域、資源の使い方など、自社の周りにも関係する課題を見つける手がかりになります。

一方、CSVは「共通価値の創造」と呼ばれます。社会や地域の課題に応えながら、事業にも価値を生み出す考え方です。

例えば「使えるものを長く使いたい」という声に気づいたとします。資源を大切にするという視点は、SDGsと結びつけて考えられます。その声に対して、自社の技術を活かした修理や手入れのサービスを提供し、お客様に役立ちながら事業としても続けていく方法を考えるのが、CSVの視点です。

つまり、「何が課題か」を考えるときにSDGsを参考にし、「自社の仕事でどう応えるか」を考えるときにCSVを活かすと整理できます。

SDGsの目標に当てはまれば、CSVになるのでしょうか

SDGsの目標に当てはまるだけでは、CSVとは言い切れません。取り組みが誰にどう役立ち、自社の事業とどうつながるかまで考える必要があります。

例えば、店舗が資源を大切にしようと、包装材を減らしたとします。ごみを減らすことには意味があります。ただ、それだけでお客様の困りごとが解決したり、事業に新たな価値が生まれたりするとは限りません。

そこで、お客様に「包装を減らしたことで使いにくくなっていないか」を聞き、商品を安全に届ける方法も確かめます。包装材の費用や作業時間も確認します。お客様の使いやすさを保ちながら資源の使用を減らし、その方法を無理なく続けられるなら、事業としての価値も見えてきます。

この例は、包装を減らせば必ず売上が増えるという話ではありません。相手への良さと、自社が続けられる条件の両方を確かめることが大切です。

寄付や地域活動とCSVは、どう違うのでしょうか

寄付や地域の清掃活動にも意義があります。事業主として「地域のために何かしたい」と思う気持ちも大切です。

CSVを考える際は、そこから一歩進めて、自社が普段提供している商品やサービスで、地域の困りごとに応えられないかを考えます。

例えば、食品を扱うお店が地域の活動に寄付をすることと、食材を無駄にしにくい販売方法を考えることは、どちらも意味のある行動です。後者では、お客様が必要な量を買いやすくなるか、お店の廃棄や負担を減らせるか、といった事業とのつながりも検討できます。

どちらか一方を選ぶ必要はありません。ただ、CSVとして取り組みを育てたいなら、善意だけに頼らず、本業の中で続ける方法を探すことが重要です。

「社会に役立つ」と「事業として続く」を両立させる三つの問い

取り組みの案が浮かんだら、次の三つを順番に考えてみてください。

1.誰の、どんな困りごとに応えますか

「地域に貢献する」といった大きな言葉だけでは、何をすればよいか決めにくくなります。

「高齢のお客様が商品の持ち帰りに困っている」「忙しい事業者が機器の手入れを後回しにしている」など、相手と困りごとを具体的にすると、提供できることが見えてきます。

2.自社の強みを使えますか

設備、人手、技術、経験、お客様との関係など、自社にすでにあるものを見直します。新しいことを始める場合も、これまでの仕事とつながっていれば、小さく試しやすくなります。

同業他社との差別化も、特別な肩書を掲げることだけで生まれるわけではありません。「相談しやすい」「選びやすい」「長く使えるよう支えてくれる」といった、お客様が実際に感じる違いが大切です。

3.費用と人手の面で続けられますか

お客様に喜ばれても、担当者が疲れ切ってしまったり、必要な費用をまかなえなかったりすれば、長く続けるのは難しくなります。

提供にかかる時間、材料費、価格、担当できる人数を確認しましょう。最初から大きく広げず、対象を絞って試し、結果を見て調整する方法もあります。

小さな事業で考える、三つの例

次の例は、取り組みを考えるための仮想ケースです。実際の効果を示す事例ではありません。

町の修理店の場合

「買い替える前に直せるか知りたい」というお客様の声を受け、修理の可否と費用をわかりやすく案内します。お客様には選択肢が増え、店は修理技術を活かせます。診断にかかる時間や料金を確かめれば、続けられるサービスか判断しやすくなります。

小さな飲食店の場合

「食べきれる量を選びたい」という声に合わせ、提供量を選べるようにする案を考えます。お客様の満足と食材の無駄の両方を見ながら、調理の手間や価格設定も確認します。

一人で営む相談業の場合

「専門用語が難しく、何を選べばよいかわからない」という声を受け、相談前に選択肢を整理できる資料を用意します。相談者が判断しやすくなる一方で、説明の行き違いを減らせるかもしれません。作成や更新にかかる時間も含めて、運用を考えます。

業種が違っても、考える順番は共通です。困りごとを聞く、自社の強みで応える、続けられる条件を確かめる。この順番なら、SDGsを掲げることだけで終わらず、日々の仕事に結びつけられます。

今日できること:取り組みの案を三つの欄に分ける

今、思い浮かんでいる活動やサービスの案を一つ選び、紙に次の三つを書いてみてください。

  1. 相手への価値:誰の、どんな困りごとが軽くなりますか。
  2. 自社への価値:自社の強みを活かせますか。事業を続けるうえで、どんな意味がありますか。
  3. 続ける条件:費用、時間、人手について、何を確かめる必要がありますか。

すべてをすぐに埋められなくても構いません。空欄になったところが、次にお客様へ聞いたり、社内で確認したりするポイントになります。

まとめ

SDGsは社会の課題を見つける手がかりになり、CSVはその課題に自社の事業で応える方法を考える視点になります。SDGsの目標に活動を当てはめるだけで、CSVが成立するわけではありません。

中小零細企業や個人事業主が取り組むなら、「相手の困りごと」「自社の強み」「無理なく続けられる条件」の三つを一緒に考えることが大切です。

よくある質問

Q. SDGsに取り組むには、新しい事業が必要ですか?

必要とは限りません。まずは既存の商品やサービスが、どんな困りごとに応えているかを見直すことから始められます。

Q. 利益が出る取り組みでも、社会のためになると言えますか?

利益が出ることだけを理由に否定する必要はありません。ただし、相手に実際に役立っているか、負担や悪い影響を見落としていないかを確かめることが大切です。

Q. 一人で事業をしている場合、何から確認すればよいですか?

お客様から繰り返し聞く困りごとを一つ選び、今の仕事の範囲で応えられるかを考えてみてください。そのうえで、必要な時間と対価を確認します。

Q. 同業他社との差別化につなげるには、何が必要ですか?

「SDGsに取り組んでいる」と伝えるだけでなく、お客様が受け取る具体的な良さを明確にすることです。まずは利用者の声を聞き、サービスの内容や提供方法に反映していきましょう。

次の記事

Day3では、業種ごとの仮想ケースを使い、身近な困りごとをCSVの取り組みにつなげる過程を、もう少し具体的に見ていきます。

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参考資料