年末調整・確定申告は今から何をすればいい?控除と副業の確認から始める準備

年末調整・確定申告は今から何をすればいい?控除と副業の確認から始める準備【Day1】
「控除証明書が届き始めたけれど、まだ何も整理していない」「副業の売上は少ないから、申告は関係ないと思っている」。そんな方もいるのではないでしょうか。
年末調整や確定申告というと、書類に数字を記入する作業を思い浮かべがちです。しかし、その前に必要なのは、自分や家族の収入、すでに支払ったお金、利用できる控除を確認することです。
今から始めやすいのは、収入の記録と控除資料を集め、分からないことを整理することです。節税のために、急いで保険を増やしたり、必要のないものを買ったりする必要はありません。
この5日間では、控除の確認、副業と申告、個人事業を始める際の考え方、資料整理、実際の行動までを順番にお伝えします。Day1は、準備の全体像をつかみましょう。
「今からでも間に合うこと」と「期限の確認が必要なこと」を分けましょう
資料整理や収入の集計は、今日から始められます。一方、勤務先の提出期限や、税制上の届出・申請期限は、それぞれ異なります。
例えば、青色申告は、確定申告の直前に選択すれば誰でもその年から使えるという制度ではありません。事前の承認申請などが必要です。
そのため、「年末までなら何でも間に合う」と考えず、次の順番で確認してください。
- 自分に必要な手続きは何か。
- 提出や申請の期限はいつか。
- 期限までに、どの資料や確認が必要か。
会社員の方は勤務先の年末調整案内を、個人事業主の方は帳簿の状況や提出済みの届出を、まず確認しましょう。
年末調整と確定申告は、どう違うのでしょうか
年末調整は、勤務先が給与から差し引いた所得税などと、その年の給与や申告された控除に基づく年税額との差を精算する手続きです。
確定申告は、本人が一年間の所得や控除などをまとめ、税額を計算して申告する手続きです。
| 立場・状況 | まず確認したいこと |
|---|---|
| 会社員・パート勤務の方 | 年末調整の対象か、勤務先への提出資料と期限は何か |
| 副業をしている会社員の方 | 本業以外の所得と、所得税・住民税の申告の要否 |
| 個人事業主の方 | 売上・必要経費・控除資料と、確定申告の準備状況 |
| 法人経営者の方 | 法人の申告と、自分個人の給与・その他の所得を分けた確認 |
| 家事を中心にしながら収入を得ている方 | 収入が給与なのか、業務委託などによるものなのか |
「主婦だから申告しなくてよい」「会社員だからすべて会社が処理してくれる」とは限りません。肩書きよりも、どのような収入があるかで確認しましょう。
また、令和8年分は基礎控除や扶養親族等の所得要件などに改正があります。前年の申告内容をそのまま写すのではなく、今年の案内を使うことが大切です。
まずは、各種控除に関係する支払いを振り返りましょう
控除とは、一定の条件に当てはまる場合に、所得や税額から所定の金額を差し引く仕組みです。
ただし、支払った金額がそのまま戻ってくるわけではありません。生命保険料控除などの所得控除と、税額から差し引く税額控除では、計算の仕組みも異なります。
最初は、次のような資料がないかを確認してみてください。
| 確認したい項目 | 集めておきたい資料の例 |
|---|---|
| 生命保険料控除 | 生命保険料控除証明書 |
| 地震保険料控除 | 地震保険料控除証明書 |
| 社会保険料控除 | 国民年金の控除証明書、国民健康保険料などの支払額が分かる資料 |
| iDeCo・小規模企業共済など | 掛金に関する証明書や支払記録 |
| 医療費控除 | 医療費通知、領収書、保険金等の補てん額が分かる資料 |
| 寄附金控除 | 寄附金の受領証や控除に関する証明書 |
| 配偶者・扶養親族などに関係する控除 | 家族の所得や年齢、生計の状況を確認するための情報 |
これらは確認の入口です。それぞれ対象条件や計算方法があり、年末調整で扱うものと、確定申告で手続きをするものがあります。
まずは「自分が使える控除を増やす」より、「すでに関係している控除を見落としていないか」を確認しましょう。
「副業の収入が20万円以下なら申告不要」は、確認が必要です
よく聞く「20万円」という基準は、誰にでも使える非課税枠ではありません。
例えば、給与を一か所から受け、その全部が源泉徴収の対象となるなど、一定の給与所得者について、給与・退職所得以外の所得が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告が不要となる場合があります。
ここでは、次の4点を押さえてください。
1.業務委託などでは「収入」と「所得」を分けます
売上や報酬として受け取った金額が収入です。業務委託などの所得は、原則として、その収入から認められる必要経費を差し引いて計算します。
説明用の例として、副業の年間売上が30万円、必要経費が12万円なら、所得は18万円です。ただし、実際の申告要否は本人の給与やほかの所得なども含めて判断します。
副業がアルバイトなどの給与である場合は、同じ計算をそのまま使えません。給与を二か所以上から受ける場合の基準を確認してください。
2.所得税の申告が不要でも、住民税の確認は必要です
所得税の20万円以下の申告不要の取扱いが、住民税にもそのまま当てはまるわけではありません。
所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。お住まいの市区町村の案内を確認しましょう。
3.別の理由で確定申告する場合は、20万円以下の所得も確認します
医療費控除などのために確定申告をする場合、申告不要の取扱いに当てはまっていた副業所得も、原則として申告に含める必要があります。
「還付のための申告だから、副業分は書かなくてよい」と考えないようにしてください。
4.主婦・個人事業主に、一律20万円の基準があるわけではありません
給与所得者向けの取扱いを、給与のない方や個人事業主にそのまま当てはめることはできません。
所得の種類、所得控除、源泉徴収の状況などから確認します。扶養の判定や社会保険上の取扱いも別に確認が必要です。
「申告しなくてよいか」だけでなく、申告する意味も確認しましょう
確定申告は、税金を納めるためだけの手続きではありません。
申告義務がない方でも、源泉徴収された税金が年間の税額より多い場合は、還付申告によって納め過ぎた税金が戻ることがあります。
ただし、申告すれば必ず還付されるわけではありません。副業などの所得も含めて計算するため、控除を追加しても、期待した金額が戻るとは限りません。
準備を進めることには、次のような実務上のメリットもあります。
- 売上と経費を整理し、副業で実際にいくら残ったかが分かる。
- 年末調整で確認できていない控除を見つけやすくなる。
- 家族の所得に関係する確認を、早めに進められる。
税額だけでなく、家計や仕事の状況を把握する機会として考えてみましょう。
個人事業主になれば、経費を使えて得になるのでしょうか
「開業届を出せば、家賃や食事代を経費にできる」と聞いたことがあるかもしれません。しかし、開業届を出すだけで、生活費が自由に経費になるわけではありません。
必要経費として扱うには、業務との関係を説明できることが大切です。自宅の通信費など、私生活と仕事の両方に関係する支出は、業務上必要な部分を明確に区分する必要があります。
また、開業届を提出しただけで、所得が自動的に事業所得になるわけでもありません。事業所得か雑所得かは、活動の実態などに基づいて判断されます。
事業として取り組むメリット
- 収支を管理し、価格や経費の使い方を見直しやすくなります。
- 要件を満たし、必要な申請や記帳を行うことで、青色申告の特典を検討できます。
- 仕事用と生活用のお金を分け、事業の状況を把握しやすくなります。
負担や注意点
- 売上・経費の記帳や、帳簿・書類の保存が必要になります。
- 申告の準備に時間がかかり、会計ソフトや専門家への費用が生じる場合があります。
- 家族の扶養、勤務先の規則、社会保険などへの影響を確認する必要があります。
開業は、控除や経費だけで決めず、継続して仕事として取り組むかという視点で考えましょう。青色申告の申請期限は、開業時期などによって異なるため、早めの確認が必要です。
今日からできる準備は、3つに分けるだけです
まず、紙のファイルや保存フォルダを、次の3つに分けてみてください。
- 収入:給与明細、副業の売上記録、請求書、入金明細など。
- 支出・控除:業務の経費資料、控除証明書、医療費・寄附の資料など。
- 確認待ち:不足資料、分からない金額、相談したいことのメモ。
「支出・控除」の中では、仕事の必要経費と個人の所得控除を分けます。電子メールやウェブで受け取った取引資料も、必要なデータを確認できるよう保管しましょう。
最初からすべて計算しなくても構いません。資料の所在と、分からないことが見える状態を作ることが、最初の一歩です。
よくある質問
Q1.まだ準備をしていません。今から何を優先すればよいですか?
勤務先の提出期限や、自分に関係する申請期限を確認し、収入記録と控除証明書を集めましょう。期限がある手続きと、資料整理を並行して進めると安心です。
Q2.副業の売上が20万円を超えたら、必ず確定申告が必要ですか?
業務委託などでは、売上ではなく必要経費を差し引いた所得が基準になる場面があります。ただし、給与の状況などの条件も関係するため、売上だけでは判断できません。
Q3.開業していなければ、仕事の必要経費は計算できませんか?
開業届の有無だけで決まるものではありません。業務に係る雑所得でも、収入を得るために必要な経費を差し引いて所得を計算します。私生活の支出と業務の支出を区別し、記録を残しましょう。
Q4.控除を増やすために、年末までに何か買ったほうがよいですか?
控除や経費のためだけに、不要な支出を増やす必要はありません。まず、すでに支払ったものと利用できる制度を確認し、追加の支出は本当に必要かを考えてください。
まとめ+要約
- 今から始めやすい準備は、収入記録と控除資料を集め、期限と不明点を確認することです。
- 年末調整ですべてが完了するとは限らず、確定申告が必要な場合もあります。
- 「20万円以下」は誰にでも使える非課税枠ではなく、収入と所得、所得税と住民税を分けて確認します。
- 開業届を出すだけで、生活費が経費になったり、事業所得と認められたりするわけではありません。
- 節税のための支出を急がず、まず今ある資料を整理しましょう。
年末調整や確定申告の準備は、一度に終わらせなくても大丈夫です。今日、証明書を一枚確認する。副業の入金を一か月分まとめる。その積み重ねが、手続きの負担を減らしていきます。
次回は、確認しておきたい控除と必要資料を整理します
Day2では、生命保険料、社会保険料、iDeCo、医療費、寄附などについて、どの資料を確認し、どの手続きにつなげるかを整理します。
自分に関係する項目を見つけ、確認漏れを減らしていきましょう。
何から確認すればよいか迷っている方へ
「控除資料が整理できていない」「保険や家計の確認も一緒に進めたい」という方へ。
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最初のご相談では、マイナンバーや口座番号などを送らず、確認したい内容をお知らせください。個別の税務判断や申告書作成については税務署・税理士、住民税についてはお住まいの市区町村にご確認ください。