健康経営って何をすればいい?中小企業が最初に見直したい5つのポイント

はじめに

健康経営が大切だと分かっても、次に出てくるのがこの疑問です。

「では、実際に何をすればいいのでしょうか?」

健康経営優良法人という言葉を聞くと、専門的な制度や難しい申請をイメージする方もいるかもしれません。

そして、認定に関する項目を見たときに、

  • 「難しそう」
  • 「専門の担当者を置かないと無理なのでは?」
  • 「うちのような小さな会社にはできない」
  • 「何から手を付ければいいのか分からない」

と感じてしまうこともあるでしょう。

しかし、健康経営は、最初から大がかりな制度をつくることではありません。

まずは、普段の職場や社員の働き方を見直すところから始めることができます。

すでに会社で行っていることを整理してみると、

「これは健康経営につながっていたんだ」

と気づくケースもあります。

今回は、中小企業が健康経営を始めるときに、まず確認しておきたい5つのポイントを分かりやすくご紹介します。

目次

  1. 健康経営は身近なところから始められる
  2. 健康診断の受診状況を確認する
  3. 長時間労働になっていないか確認する
  4. 休暇を取りやすい職場になっているか
  5. 相談しやすい環境をつくる
  6. 経営者が健康経営について伝える
  7. 「申請項目を埋める」から始めない

健康経営は身近なところから始められる

健康経営という言葉を見ると、

「社員向けの健康イベントを開催する」

「健康管理のシステムを導入する」

「福利厚生を充実させる」

といった取り組みを想像する方も多いかもしれません。

もちろん、会社の課題に合っていれば、こうした取り組みも一つの方法です。

しかし、健康経営は、必ずしも新しいサービスを導入することから始める必要はありません。

むしろ最初に確認したいのは、

「今の職場で、社員が健康に働き続けるための環境が整っているか」

ということです。

たとえば、

  • 健康診断をきちんと受けられているか
  • 残業が一部の社員に集中していないか
  • 休暇を取りやすい雰囲気があるか
  • 困ったときに相談できるか
  • 経営者が社員の健康を大切にする姿勢を伝えているか

こうしたことを一つずつ確認していくだけでも、健康経営の第一歩になります。

つまり、

「新しいことを始める」前に「今あるものを見直す」

ことが大切なのです。

1. 健康診断の受診状況を確認する

最初に確認したいのが、健康診断です。

会社として毎年健康診断を案内していても、

「実際に全員が受診できているか」

まで確認できていないケースがあります。

たとえば、

  • 忙しくて受診する時間が取れない
  • 予約を後回しにしている
  • 本人任せになっている
  • 勤務日との調整が難しい

といった理由で、受診できていない社員がいるかもしれません。

その場合は、まず、

「なぜ受診できていないのか」

を確認することが大切です。

受診を呼び掛けるだけではなく、必要に応じて勤務時間との調整をしやすくするなど、受診しやすい環境を整えることも考えられます。

また、健康診断は、単に受けてもらえば終わりという話ではありません。

会社として必要な対応がある場合には、その後のフォローについても確認していく必要があります。

健康経営に取り組むうえで、健康診断はとても基本的な部分です。

だからこそ、

「案内しているから大丈夫」

ではなく、

「実際に受診できているか」

というところまで見てみましょう。

2. 長時間労働になっていないか確認する

次に確認したいのが、社員の働く時間です。

中小企業では、一人が幅広い仕事を担当していることも多くあります。

忙しい時期になると、

「少しくらい残業するのは仕方がない」

「みんな頑張っているから大丈夫」

という感覚になってしまうこともあるでしょう。

しかし、その状態が長く続いていないでしょうか。

一度、

  • 残業が特定の社員に集中していないか
  • いつも遅くまで残っている社員はいないか
  • 休憩をきちんと取れているか
  • 持ち帰り仕事が増えていないか
  • 一人に仕事を抱え込ませていないか

という点を確認してみてください。

重要なのは、残業時間の数字だけではありません。

社員が、

「しんどいけれど、周りが忙しそうだから言えない」

という状態になっていないかを見ることも大切です。

特に、真面目な社員ほど無理をしてしまうことがあります。

本人から何も言ってこないから問題がないとは限りません。

新しい制度を導入する前に、まずは今の働き方を確認する。

これも健康経営の大切な取り組みです。

3. 休暇を取りやすい職場になっているか

会社には有給休暇の制度がある。

それでも、実際には休みを取りにくい職場があります。

たとえば、

  • 他の社員が休んでいないので申請しづらい
  • 自分が休むと仕事が止まってしまう
  • 忙しい時期なので遠慮してしまう
  • 上司に言い出しにくい

といった理由です。

ここで大切なのは、

「制度があるかどうか」だけではなく「実際に利用しやすいかどうか」

です。

休暇制度があっても、誰も利用できないのであれば、社員にとっては十分に機能しているとは言いにくいでしょう。

反対に、経営者や管理職から、

「休めるときは、しっかり休んでください」

と伝えるだけでも、職場の雰囲気が変わることがあります。

また、特定の人しかできない仕事が多い場合には、仕事の分担や情報共有について見直すことも必要かもしれません。

「休んでも仕事が回る状態」を少しずつつくることは、社員のためだけではありません。

会社にとっても、一人の社員に仕事が集中するリスクを減らすことにつながります。

休暇を取りやすくすることは、単なる福利厚生ではなく、会社を安定して運営するための取り組みでもあるのです。

4. 相談しやすい環境をつくる

社員が体調不良や仕事上の悩みを抱えていたとしても、本人からすぐに相談してくれるとは限りません。

特に小さな会社では、

「社長も忙しそうだから言いにくい」

「こんなことで相談していいのかな」

「周りに迷惑をかけたくない」

と考えて、悩みを抱え込んでしまうこともあります。

だからこそ、日頃から、

「困ったときに話してもいい」

と思える環境をつくることが大切です。

難しい仕組みをつくらなくても、

  • 「最近どう?」と声を掛ける
  • 定期的に短い面談の時間をつくる
  • 忙しそうな人に早めに声を掛ける
  • 困っていることを聞く機会を設ける

といったことから始められます。

もちろん、何でも経営者一人で解決しなければいけないということではありません。

大切なのは、

「問題が大きくなる前に気づける状態をつくること」

です。

何十万円もする制度を導入しなくても、普段のコミュニケーションを少し見直すことはできます。

こうした日常的な声掛けも、立派な健康経営の一部です。

5. 経営者が健康経営について伝える

健康経営を進めるうえで、とても重要なのが経営者の姿勢です。

健康経営は、人事担当者や総務担当者だけが行うものではありません。

特に中小企業では、

「社長が何を大切にしているか」

が職場の雰囲気に大きく影響します。

たとえば、経営者が、

  • 「社員には元気に長く働いてほしい」
  • 「健康を犠牲にしてまで働く会社にはしたくない」
  • 「体調が悪いときは無理をしないでほしい」
  • 「働き方で困っていることがあれば相談してほしい」

と伝える。

これだけでも、健康経営のスタートになります。

逆に、会社がどれだけ立派な健康施策を用意していても、

「忙しいから休むな」

「多少体調が悪くても出勤するのが当たり前」

という雰囲気があれば、社員は制度を使いにくくなります。

健康経営で大切なのは、制度と職場の雰囲気を一致させていくことです。

そして、その土台をつくるうえで、経営者からのメッセージは大きな意味を持ちます。

すでにやっていることも健康経営かもしれません

ここまで読んで、

「意外と普通のことが多いな」

と感じた方もいるかもしれません。

実際、健康経営は、これまで会社で当たり前に行ってきた取り組みと重なる部分があります。

たとえば、

  • 毎年、社員に健康診断を受けてもらっている
  • 残業が増えた社員には声を掛けている
  • 有給休暇を取りやすいようにしている
  • 体調が悪ければ無理せず休んでもらっている
  • 社員と定期的に話をしている

こうしたことをすでに行っている会社もあるでしょう。

つまり、

「健康経営のために、すべてをゼロから始めなければならない」

とは限りません。

まずは現在行っていることを整理し、健康経営という視点で見直してみる。

それだけでも、自社の現在地が見えやすくなります。

「申請項目を埋める」から始めない

健康経営優良法人を目指し始めると、つい、

「申請書を埋めるためには、何をすればいいのか?」

という考え方になってしまうことがあります。

もちろん、認定を目指す以上、申請要件を確認することは必要です。

しかし、最初から申請項目だけを見てしまうと、

  • 項目を満たすことだけが目的になる
  • 必要のない施策まで始めてしまう
  • 現場が「また会社が何か始めた」と感じる
  • 続かない取り組みになってしまう

ということも起こり得ます。

本来の順番は逆です。

まず、

「自社の社員が健康に働き続けるために、何が必要だろう?」

と考えます。

そして、現在行っている取り組みを整理します。

そのうえで、認定基準と照らし合わせ、

「ここはできている」

「ここは少し改善したほうがいい」

「ここは新しく考える必要がある」

と分けていく。

この順番のほうが、自社に合った健康経営を進めやすくなります。

認定のためだけに無理をするのではなく、会社にとって必要な取り組みを行い、その結果として認定につなげていく。

それが、長く続けられる健康経営の考え方です。

まずは「できていること」を書き出してみる

「それでも、どこから始めればいいのか分からない」

という場合は、難しく考えなくても大丈夫です。

まず、紙やパソコンのメモに、次の5つを書き出してみてください。

  1. 健康診断についてやっていること
  2. 残業や働く時間についてやっていること
  3. 休暇についてやっていること
  4. 社員とのコミュニケーションでやっていること
  5. 社員の健康について経営者が伝えていること

そして、それぞれについて、

  • できている
  • 少しできている
  • まだできていない

と分けてみましょう。

それだけでも、

「次に何をすればいいのか」

がかなり見えやすくなります。

健康経営は、最初から100点を目指すものではありません。

今できていることを確認し、足りないところを一つずつ整えていく。

その積み重ねが大切です。

まとめ+要約

健康経営というと、大がかりな制度や高額なサービスを想像してしまうことがあります。

しかし、最初はもっと身近なところから始めることができます。

まず確認したいのは、次の5つです。

  • 健康診断をきちんと受けられているか
  • 長時間労働になっていないか
  • 休暇を取りやすい職場になっているか
  • 困ったときに相談できる環境があるか
  • 経営者が社員の健康を大切にする姿勢を伝えているか

こうした取り組みは、すでに会社の中で行っていることかもしれません。

大切なのは、

「うちは何もしていない」

と決めつけないことです。

まずは自社でできていることを書き出してみましょう。

そのうえで、

「できていること」「改善できそうなこと」「これから必要なこと」

に分けて考えていけば、健康経営の最初の一歩が見えやすくなります。

そして、健康経営優良法人の認定を目指す場合も、いきなり申請書を埋めるところから始めるのではありません。

まずは会社の現在地を知ること。

そこから、自社に合った取り組みを一つずつ整えていくことが大切です。

FAQ

Q1. 健康経営は専門の担当者がいなくても始められますか?

会社の規模や取り組み内容によって進め方は異なりますが、最初は現在の健康診断、残業、休暇、コミュニケーションなどを整理するところから始めることができます。

まずは今行っていることを見える化し、何が足りないのかを確認することが大切です。

Q2. 健康経営のために福利厚生サービスを導入しないといけませんか?

必ずしも高額な福利厚生サービスを導入する必要はありません。

健康診断を受けやすくする、残業状況を確認する、休暇を取りやすくする、社員への声掛けを増やすなど、現在の職場環境を見直すところから始めることもできます。

大切なのは、サービスを導入すること自体ではなく、自社の課題に合った取り組みを行うことです。

Q3. 自社で何をしているのか整理できません。どうすればいいですか?

まずは、「健康診断」「働く時間」「休暇」「コミュニケーション」「経営者からの発信」の5つに分けて考えてみると整理しやすくなります。

それぞれについて、現在やっていることを書き出し、「できていること」と「これから改善したいこと」に分けてみましょう。

それでも分からない場合は、健康経営アドバイザーなどに相談しながら、自社の現在地を整理する方法もあります。

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