健康経営優良法人はお金がかかる?中小企業が知っておきたい費用と考え方

健康経営優良法人はお金がかかる?中小企業が知っておきたい費用と考え方
はじめに
健康経営について話すと、経営者の方からよく出てくる言葉があります。
「でも、お金がかかるんでしょう?」
会社として新しい取り組みを始める以上、費用が気になるのは当然です。
特に中小企業では、
- 認定のためだけに大きな予算は使えない
- 新しい福利厚生サービスを導入する余裕はない
- 専門家に依頼すると高そう
- 健康経営という名前だけで費用がかかりそう
と感じることもあるでしょう。
しかし、ここで知っておいていただきたいのは、
健康経営=高額な福利厚生サービスを導入すること
ではないということです。
もちろん、取り組みの内容によっては費用がかかるものもあります。
一方で、今ある職場環境や働き方を見直すだけで始められることもたくさんあります。
大切なのは、
「いくらお金をかけるか」ではなく「自社に何が必要なのか」
を考えることです。
今回は、健康経営優良法人を目指す中小企業が知っておきたい費用の考え方について、分かりやすくお伝えします。
目次
健康経営には必ず大きなお金が必要?
結論から言えば、
「取り組み方によります」
というのが答えです。
健康経営という言葉を聞くと、
- 健康管理システムを導入する
- 運動施設と契約する
- 健康機器を購入する
- 外部講師を呼んでセミナーを開催する
- 福利厚生サービスを追加する
といった取り組みを想像する方もいるかもしれません。
もちろん、会社の課題に合っていれば、こうした方法も選択肢の一つです。
しかし、健康経営を始めるために、必ずこうしたサービスを購入しなければならないわけではありません。
たとえば、
- 朝礼で体調を確認する
- 残業時間を確認する
- 休暇取得を呼び掛ける
- 健康に関する情報を社内で共有する
- 定期的に社員と話す時間を設ける
- 働きすぎている社員に声を掛ける
といったことは、大きな設備投資をしなくても始めることができます。
健康経営で大切なのは、
「何かを買ったかどうか」
ではありません。
「社員が健康に働き続けられるために、会社として何をしているか」
ということです。
まず費用をかけずにできること
健康経営を始めるときにおすすめしたいのは、
「お金を使う前に、今の会社の中を見直すこと」
です。
たとえば、会社に有給休暇の制度があるとします。
しかし、実際には社員がほとんど休暇を取っていない。
その場合、すぐに新しい福利厚生サービスを導入するよりも、
「なぜ休めていないのか?」
を確認するほうが先かもしれません。
また、健康診断の制度があっても、毎年受診していない社員がいるなら、
新しい健康アプリを導入する前に、
「どうすれば受診しやすくなるか」
を考えるほうが重要かもしれません。
このように、すでに会社にある制度や仕組みを見直すだけでも、改善できることはあります。
まずは、
- 今ある制度が本当に使われているか
- 社員が困っていることはないか
- 制度はあるけれど形だけになっていないか
- 経営者や管理職の声掛けで改善できることはないか
という点を確認してみましょう。
費用をかける前にできることは、意外と多くあります。
健康診断や働き方の見直しから始める
では、具体的に何から見直せばよいのでしょうか。
まずは、日常の中にある基本的な部分から確認してみてください。
健康診断
毎年、社員が必要な健康診断を受けられているでしょうか。
案内を出しているだけではなく、実際の受診状況を確認することが大切です。
もし受診できていない人がいる場合は、
- 仕事が忙しくて時間が取れない
- 予約を後回しにしている
- 受診方法が分かりにくい
といった理由がないか確認してみましょう。
残業や働く時間
いつも同じ社員だけが遅くまで働いていないでしょうか。
残業時間を集計するだけでなく、仕事が一人に集中していないか確認することも大切です。
休暇
有給休暇の制度があっても、社員が使いにくいと感じていることがあります。
経営者が、
「休めるときはしっかり休んでください」
と伝えることも、職場づくりの一つです。
コミュニケーション
「最近どう?」
「困っていることはない?」
と声を掛ける。
これも大きなお金をかけずにできることです。
健康経営というと、特別なものを新しく始めるイメージがあります。
しかし実際には、
「今までの働き方を少し丁寧に見直す」
ところから始めることができます。
申請自体には費用がかかる
一方で、健康経営優良法人の認定を目指す場合は、取り組みにかかる費用とは別に、申請に関する費用も確認しておく必要があります。
中小規模法人部門では、認定申請に申請料が設定されています。
制度の申請料や申請方法は年度によって変更される可能性があるため、実際に申請するときは、必ずその年度の公式情報を確認してください。
また、認定申請を進める際には、申請書を書くことだけではなく、事前に必要な準備や、自社の取り組み状況の整理も必要になります。
そのため、費用を考えるときには、
- 認定申請そのものにかかる費用
- 新しく取り組む施策にかかる費用
- 社内で準備するための時間
- 必要に応じて専門家へ相談する費用
などを分けて考えると分かりやすくなります。
ここで重要なのは、
「健康経営を始める費用」と「認定を申請する費用」を同じものとして考えないこと
です。
健康経営そのものは、認定申請をする前から始めることができます。
まずは社内でできることを進め、そのうえで認定申請を検討するという進め方もできます。
お金をかける前に考えたいこと
健康経営でありがちなのが、
「何か新しいものを導入すれば、健康経営になる」
と考えてしまうことです。
たとえば、会社が高価な健康サービスを導入したとします。
しかし、社員がほとんど利用しなかったらどうでしょうか。
サービスを契約したこと自体は取り組みの一つですが、本当に社員の健康や働きやすさにつながっているかは別の話です。
反対に、費用をほとんどかけなくても、
- 社員と定期的に話す
- 残業状況を確認する
- 休暇を取りやすくする
- 健康診断を受けやすい環境をつくる
- 困ったときに相談しやすくする
といった取り組みが、実際の職場改善につながることもあります。
だからこそ、何かにお金を使う前に、
「そもそも、うちの会社の課題は何だろう?」
と考えてみることが大切です。
たとえば、
- 健康診断を受けていない人が多いのか
- 残業が多いのか
- 休暇を取れていないのか
- 社員が悩みを言いにくいのか
- 経営者の考えが社員に伝わっていないのか
課題によって、必要な対策は変わります。
課題が違うのに、他社と同じサービスを導入しても、自社には合わないかもしれません。
まず課題を知る。
そのうえで必要な取り組みを考える。
この順番が大切です。
「導入すること」が目的になっていませんか?
健康経営に取り組むと、さまざまなサービスや制度が目に入るようになります。
すると、
「このサービスを入れたほうがいいのかな」
「他社もやっているから、うちも必要かな」
と思うことがあります。
ここで一度考えてほしいのが、
「それは何のために導入するのか?」
ということです。
たとえば、運動を促すサービスを導入するのであれば、
「社員の運動不足が課題だから」
という理由があるかもしれません。
一方で、社員の一番大きな悩みが長時間労働なら、まず働き方を見直したほうが効果的かもしれません。
健康経営は、
「何を導入したかを増やしていくこと」
ではありません。
「自社の課題を一つずつ改善していくこと」
が重要です。
そして、認定を目指す場合でも、申請項目を埋めるためだけに不要な施策を増やしてしまうと、社員にも負担がかかります。
せっかく健康経営を始めるのであれば、
「認定のためにやる」
ではなく、
「会社を良くするためにやる」
という視点を持つことが大切です。
小さく始めて続ける
健康経営は、一度大きなイベントを開催して終わりというものではありません。
むしろ、小さな取り組みでも継続することが大切です。
たとえば、
今年は健康診断の受診状況を確認する。
次に、
休暇を取りやすくする。
その次に、
社員とのコミュニケーションを見直す。
というように、一つずつ進めても構いません。
健康経営では、
「やる」
だけではなく、
「やってみて、どうだったか確認する」
ことも重要です。
たとえば、休暇取得を呼び掛けたのであれば、
「実際に休暇を取れるようになったか」
を確認します。
健康診断を受けるよう案内したのであれば、
「受診できていない人はいないか」
を確認します。
そして、うまくいかなければ改善する。
この、
「やる → 確認する → 改善する」
という流れをつくることが、健康経営を続けるポイントです。
最初から完璧にする必要はありません。
会社に無理のない範囲で、小さく始めて少しずつ整えていく。
そのほうが、社員にも経営者にも負担が少なく、続けやすくなります。
健康経営に使うお金を「コスト」だけで考えない
経営者としては、健康経営にかかる費用を見ると、どうしても「コスト」という感覚を持つかもしれません。
もちろん、会社のお金を使う以上、費用対効果を考えることは大切です。
ただ、健康経営について考えるときは、
「何もしない場合に起こり得る負担」
にも目を向けてみてください。
たとえば、社員が無理を続けて長期的に休むことになれば、
- 代わりの人員を探す
- 他の社員の負担が増える
- 仕事の引き継ぎが必要になる
- 採用活動が必要になる
- 業務が一時的に止まる
といった影響が出ることもあります。
だからといって、健康経営を行えばすべての問題を防げるわけではありません。
しかし、日頃から社員の働き方や健康状態に目を向けておくことは、会社のリスクを考えるうえでも意味があります。
健康経営にかかる費用を、単純に、
「認定を取るためのお金」
と考えるのではなく、
「社員が長く働ける職場をつくるために、どこへお金や時間を使うか」
という視点で考えてみるとよいでしょう。
まずは「お金をかけずにできること」を書き出してみる
「費用が気になって、なかなか健康経営を始められない」
という方は、まずお金をかけずにできることを書き出してみてください。
たとえば、
- 健康診断の受診状況を確認する
- 残業が多い社員を確認する
- 有給休暇の取得状況を確認する
- 社員へ体調について声を掛ける
- 健康について社内で情報共有する
- 経営者から「健康を大切にしてほしい」と伝える
こうしたものは、大きな費用をかけなくても始められることがあります。
そのうえで、
「ここは自社だけでは難しい」
「ここには専門的な支援が必要そうだ」
という部分が見えてきたら、必要に応じて外部サービスや専門家の利用を検討すればよいのです。
最初からすべてにお金を使う必要はありません。
必要なところに、必要な分だけ使う。
この考え方が、中小企業の健康経営ではとても大切です。
まとめ+要約
健康経営というと、
「お金がかかる」
というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、健康経営は、たくさんお金をかけることが目的ではありません。
まずは、
- 健康診断
- 残業や働く時間
- 休暇
- 職場での声掛け
- 社員とのコミュニケーション
- 経営者からの発信
など、今ある仕組みや働き方を見直すところから始めることができます。
認定申請をする場合には、申請そのものに費用がかかる場合があります。
また、取り組み内容によっては、外部サービスや専門家への相談などで費用が発生することもあります。
それでも、
「健康経営をするなら、最初から大きなお金を使わなければならない」
というわけではありません。
大切なのは、
「お金をかける前に、自社の課題を知ること」
です。
自社の課題が分かれば、必要な取り組みも見えてきます。
そして、できることから小さく始め、
「やる → 確認する → 改善する」
という流れを続けていく。
それが、無理なく続けられる健康経営につながります。
FAQ
Q1. 健康経営を始めるには何十万円も必要ですか?
必ずしも必要ではありません。
健康診断の受診状況を確認する、残業を見直す、休暇を取りやすくする、社員への声掛けを増やすなど、今ある職場環境を見直すところから始めることができます。
会社の課題によって必要な費用は変わるため、最初に大きな予算を用意するのではなく、まず自社の状況を整理することが大切です。
Q2. 健康経営優良法人の認定申請は無料ですか?
中小規模法人部門では、認定申請に申請料が設定されています。
申請料や申請方法などは年度によって変更される可能性があるため、実際に申請する際は、その年度の公式情報を確認してください。
また、申請料とは別に、自社で新たな取り組みを行う場合や専門家へ相談する場合には、内容に応じて費用がかかることがあります。
Q3. 最初に健康関連のサービスを契約したほうがいいですか?
必ずしも最初から契約する必要はありません。
まず、自社の健康診断、働き方、休暇、コミュニケーションなどを確認し、どこに課題があるのかを整理してみましょう。
課題が分かったうえで、その解決に必要なサービスや専門家の支援を検討するほうが、無駄な費用を抑えやすくなります。
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